
「上がっても下がっても利益が出る取引なんて、あるわけないでしょ」——そう思っていませんか?「先物だけで約9億円の赤字。それなのに、なぜ157日間で約5,000万円もの資金調達料を受け取れるの?」
普通のトレードなら、これだけの赤字を見た時点で「失敗」と判断したくなりますよね。ところが2026年9月13日時点、Hyperliquid(ハイパーリキッド)の公開オンチェーンデータ45,158口座を調べていくと、約89億円分のHYPE先物を売りながら、ほぼ同量の現物を保有する“大口口座”が見つかりました。
この口座が狙っていたのは、HYPEが上がるか下がるかを当てることではありません。
元手が大きい人だからこそ成立する、「薄い利益を巨大な資金で積み上げる」という、デルタニュートラルという手法の増やし方です。この記事では、その仕組みを実際の157日間のデータから徹底解説いたします📝
まず前提を整理します。今回見つかったのは、暗号通貨HYPEをめぐる「先物を売る」+「現物を買う」を同時にやるポジション。これを専門用語でデルタニュートラル(値動きの影響を消す組み方)と呼びます。
名前は難しげですが、中身はシンプルです。でも、そのシンプルな構造が「元手の大きさ」で天と地ほど結果が変わる——ここが今回の一番のポイントになります。
本記事で分かること
- 先物で約9億円負けても成り立つ「大口トレード」の仕組み
- 157日間で約5,000万円——富裕層が狙う“薄利×巨大資金”の正体
- 元手150万円・1.5億円・150億円で、同じ手法の結果はどう変わる?

89億円をショートしても「暴落予想」ではない——大口口座の中身

「89億円も売るって、HYPEが暴落すると賭けたってこと?」
普通に考えればそう思いますよね。でも違います。この口座のすごいところは、売りと買いを同時に、ほぼ同じ量だけ持っていることなんです。
実測された中身はこの2つです。
- 先物でHYPEを売る:▲730,623枚
- 現物でHYPEを買う:+705,334枚
先物(将来の売買を今の価格で約定させる取引。レバレッジがかかる分、ハイリスク・ハイリターン)を73万枚売り、その一方で現物を70万枚買って持ちます。先物の売りを現物が約96.5%相殺する構造なので、HYPEが上がっても下がっても、損益はほぼ打ち消し合うんです。
ここで1つ注意です。もしこの口座の「89億円の売り」だけを切り取って「大口が暴落を仕込んでいる!」と読む人がいたら、それは現物買いとのセットを見落とした誤読です。売りだけを真似れば、何のヘッジもない裸のショート(下落に賭けるだけのハイリスクな賭け)になってしまいます。
ちなみにHyperliquidという取引所そのものについては、先日HYPEが1ヶ月で70%高騰したときの解説記事で詳しくまとめています。基本から知りたい方はこちらからどうぞ。
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「値動きを殺して、鞘だけを抜く」——デルタニュートラルの仕組み

「損益が打ち消し合うなら、何が利益になるの?」
答えは資金調達料(ファンディング)です。これがこの手法で「抜く鞘」になります。
暗号通貨の先物取引には、決まった時間ごとに売り手と買い手の間でお金が移動する仕組みがあります。Hyperliquidでは原則8時間ごと。このとき先物の売り手は、1回あたり建玉の約0.048%の資金調達料を受け取ることができます。
ココに注意
| ポジション | HYPEが上がったら | HYPEが下がったら |
|---|---|---|
| 先物を売る(▲730,623枚) | 損する | 得する |
| 現物を買う(+705,334枚) | 得する | 損する |
| 2つを合わせると | 値動きの損益はほぼゼロ。資金調達料だけが残る | |
つまりこの口座は、HYPEの価格がどう動くか一切予想せず、8時間ごとに受け取れる0.048%の鞘だけを、巨額の建玉で何度も何度も積み上げているわけです💡
1回あたり0.048%というと小さく聞こえます。でも89億円の建玉なら、1回で約43万円。「薄い鞘」×「巨大な元手」×「回数」——これが成り立つとき、相場観ゼロの収益機械になります。
実際の数字はどうなっていたのか。次は、この口座の157日間の実測データを見ていきます。
細かい分析はインスタグラムでも発信しています💡
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157日間で資金調達料4,732万円——でも先物だけ見れば勝率9.5%だった

「どれくらい儲かったのか、気になる数字ですね」
実測データをまとめると、こうなっていました(2026年9月13日時点)。
| 項目 | 実測値 | 意味 |
|---|---|---|
| 観測期間 | 157日間 | 約5ヶ月間の記録 |
| 資金調達料の受け取り | 220回・合計307,740ドル(約4,732万円) | 1日平均約1,960ドル(約30万円) |
| 建玉に対する年率 | 3.3% | 値動きリスクを消した上での利回り |
| 資産が増えた日 | 157日中の77.8% | 5日のうち4日はプラス |
年率3.3%は地味に見えます。でも「価格が暴落しても崩れない利回り」という意味では、富裕層が好む性質そのものです。実際、157日のうち約8割の日は資産を増やしています。
では、なぜこんなに都合のいい仕組みが、世の中にあまり広まっていないのでしょうか。実はここに「元手1億円の壁」という現実がありました。
元手150万円だと赤字——「1億円の壁」の試算をひも解く
「0.048%の鞘なら、少ない資金でも積み重ねればいいのでは?」
私もそう思いました。でも同じ条件(年率3.3%・レバレッジ5倍(元手の5倍まで建てられる仕組み))で元手だけ変えて試算すると、結果は残酷です👇
| 元手 | 建てられる玉 | 年間収益(試算) | 評価 |
|---|---|---|---|
| 150万円 | 750万円分 | 約25万円 | 手間とコストを差し引くと赤字 |
| 1.5億円 | 7.5億円分 | 約2,537万円 | ようやく本格運用が整う |
| 150億円 | 750億円分 | 約25億円 | 何もしなくても回る規模 |
見ての通り、元手が100倍になっても、やることは同じです。売りと買いを貼り合わせて、8時間ごとの鞘を待つ。ただそれだけ。
だからこそ、この手法は広まらない。0.05%の鞘は、1億円動かしてようやく1回5万円になる世界。100万円では1回500円。手間と手数料で消えてしまいます。
「勝ち方を教えます」系の情報商材が好きな言い方をすると、これは「勝ち方」ではなく「参加できる資金」がすべてという、かなり直視しにくい話なんです。
実際、市場の参加者のうちどれだけの人がこの「参加ライン」に届いているのか。最後に、45,158口座全員の資産分布を見てみましょう。
市場の7割は参加ラインに届かない——45,158口座の資産分布

Hyperliquidの全45,158口座の資産を数えると、分布はこうなっていました👇
| 資産区分 | 割合 | これが意味すること |
|---|---|---|
| 15万円未満 | 49.6%(22,411口座) | 市場の半分はお試し規模 |
| 1,500万円未満(累計) | 68.4% | 7割がこの手法の参加ラインに届かない |
| 1.5億円以上 | 5.8%(2,619口座) | 本格的に鞘を抜けるのは約17人に1人 |
つまり市場の約7割は「元手1億円の壁」の外にいて、この遊びに参加できていない。冒頭の89億円の口座は、その上位5.8%の中でもさらに上の存在です。
ここまで聞くと「じゃあこの手法はお金持ちの特権なのか」となりがちですが、実は資金があってもリスクがゼロになるわけではありません。最後に、この手法の怖いところを押さえておきます。
「値動きを消したはずなのに、それでも危険がある」——ここを誤解したまま真似すると痛い目を見るので、ちゃんと見ていきましょう。
「中立」でも無傷ではない——消せないリスクが2つある
「値動きの損益を消したなら、ロスカットの心配も不要では?」
ここが最大の落とし穴です。実際のデータには、値動きリスクを消しても残るリスクが記録されていました。
リスク①:先物側はロスカットされる
この口座の先物の清算価格(ロスカット水準)は1ドル100.55。現在のHYPE価格から26.7%上にあります。ここまで急騰すると、先物側の損失が証拠金を食い潰して強制決算されてしまう。
現物側の含み益が同じ分だけ膨らむので「合計ではトントン」なのが理論上の話。でも現物はすぐ売らないとその含み益は現金にならないため、急騰時の資金繰りは本当にシビアです。
リスク②:評価額は激しく揺れる
実測では、この157日間のうちに最大で366万ドル(約5.6億円)の評価額の落ち込みが発生しています。最終的に鞘の受け取りで回復する設計でも、保有中は億単位の含み損波に耐える精神力が必要です。
デルタニュートラルは「リスクを消す手法」ではなく「値動きリスクを、清算・資金繰り・流動性といった別のリスクと交換する手法」です。レバレッジのかかる先物取引には元本以上の損失が生じる可能性もあり、本記事は特定の取引を推奨するものではありません。
つまり、この手法は「楽」ではなく「別の緊張」なんです。それでもお金持ちがやるのは、相場観ゼロで年率3.3%の収益機会を、巨額資金で回せるから。私たちの世界の常識とは別の、資金量の世界の話なんですね。
まとめ——「成績の測れない口座」が私たちに教えてくれること
今回、Hyperliquidの全口座データから見えた「相場を当てない口座」の全体像を、3つにまとめます。
- 時価89億円の口座は、HYPEの上下を一度も予想していない。先物売り73万枚+現物買い70万枚(約96.5%相殺)で値動きを消し、8時間ごとの資金調達料(1回0.048%)だけを積み上げ、157日間で約4,732万円。建玉に対する年率は3.3%。
- 先物だけ見れば13勝124敗・▲579万ドル。公表値は通算+約1,300万ドル。現物は測れない——つまり口座全体の成績は外部から判定できない。勝率や部分戦績だけで「儲かっている」を判断しない——SNSの「高勝率シグナル」を見るとき、この実例を思い出してください。
- 同じ手法でも元手150万円なら年25万円で赤字、150億円なら年25億円。市場の68.4%は参加ライン(1,500万円未満)に届かず、この構造は「勝ち方」より「参加できる資金」で決まる。
そんな大金を用意できなくとも、少額からコツコツ積み上げていくことが私たちには大事です。そのための環境認識(今どの場面にいるかを見極める考え方)を、無料インジケーターと一緒にお渡ししています。
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データの出どころ
Hyperliquid の公開 API
- clearinghouseState
- spotClearinghouseState
- userFillsByTime
- userFunding
- metaAndAssetCtxs
あわせて、全 45,158口座 のリーダーボードデータを使用しています。
これらはすべて オンチェーン上で公開されており、誰でも検証できる公開情報 です。
対象アドレス
0xf02d16a272a842f8bac1d9a9e773aba1933454c6
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の暗号通貨の購入や投資を推奨するものではありません。
暗号通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。投資判断は自己責任で行ってください。
必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう。
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