
2025年12月、暗号資産運用大手Bitwiseの最高投資責任者(CIO)マシュー・ホーガン(Matt Hougan)氏が、仮想通貨(暗号資産)市場の未来について大胆な予測を発表しました。今後10年間で市場が10倍から20倍に成長する可能性があるとのシナリオを示し、業界関係者の間で大きな話題となっています。規制環境の改善、トークン化の進展、ステーブルコインの普及など、複数の成長ドライバーが揃いつつある今、仮想通貨市場は新たな時代を迎えようとしています。
本記事で分かること
- Bitwiseが示す10年後の成長シナリオと根拠
- 主要金融機関の2030年予測と各社の見解
- 成長を牽引する3つの主要ドライバー

Bitwiseの予測:市場は10〜20倍成長のシナリオ

マシュー・ホーガンCIOの見解
Bitwiseのマシュー・ホーガン(Matt Hougan)最高投資責任者は2025年12月8日に定例メモを公開し、「仮想通貨市場は今後10年間で10倍から20倍まで成長する可能性がある」との見解を示しました。
このメモのタイトルは「仮想通貨における私の最も強い確信のある賭け」。ホーガン氏は8年間フルタイムで仮想通貨業界に関わり、約140名の同僚や業界トップレベルのVC、創業者、研究者と議論を重ねてきた経験から、「どのブロックチェーンが勝つかは予測できない」としながらも、「市場全体が10年後に今よりはるかに重要になること」については確信を持っていると述べています。
ただし、ホーガン氏自身が認めているように、この予測には規制動向、技術の進展、マクロ経済状況、主要プレイヤーの行動、そして運など、多くの不確実な変数が影響します。「どのように展開するかを正確に予測するには超自然的な先見の明が必要だ」とも述べており、これはあくまで一つのシナリオであることを理解する必要があります。
Bitwise(ビットワイズ)とは?
Bitwiseは、2017年に設立された米国の暗号資産(仮想通貨)専門の資産運用会社です。仮想通貨インデックスファンドの世界最大手として知られ、ビットコインやイーサリアムなどの現物ETF(上場投資信託)を提供しています。2025年現在、約50億ドル(約7,800億円)以上の資産を運用しており、機関投資家向けの仮想通貨投資商品を開発するパイオニア的存在です。今回予測を発表したマシュー・ホーガン氏は、同社の最高投資責任者(CIO)として投資戦略を統括しています。
成長を牽引する3つの主要分野
ホーガン氏が成長の核となると予測するのは以下の3つの分野です。
| 分野 | 現状 | 成長の可能性 |
|---|---|---|
| ステーブルコイン | 主に決済・送金用途 | デジタル通貨の標準インフラへ |
| トークン化 | 約6.7億ドル規模 | 約68兆ドル※の株式市場がオンチェーン化 |
| ビットコイン | デジタルゴールドとしての地位確立 | 機関投資家の採用が加速 |
※米国株式市場の時価総額は2025年時点で約68兆ドル(出典:Siblis Research、The Block)
さらに、予測市場、DeFi(分散型金融)、プライバシー技術、デジタルID、新しい形態の株式など、複数のユースケースが続くと予測しています。
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SEC新委員長の発言が後押し
ホーガン氏の予測の根拠として注目されているのが、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス新委員長の発言です。アトキンス委員長は2025年12月3日のFox Businessのインタビューで、「今後数年間で世界中でトークン化が進む」「米国の全株式市場が数年以内にオンチェーン化する可能性がある」と述べました。
驚異的な成長ポテンシャル(概算):
- 米国株式市場の時価総額:約68兆ドル(約1京円、2025年時点)
- 現在のトークン化株式市場:約6.7億ドル(約1,050億円)
- 単純比較で約10万倍の成長余地
※この比較はあくまで概算であり、実際の成長パターンは段階的かつ複雑になる可能性があります
業界各社の長期予測を比較
ARK Investのビットコイン予測
著名投資家キャシー・ウッド氏率いるARK Investは、2025年4月に発表した「Big Ideas 2025」レポートで、ビットコイン価格の2030年予測を提示しました。
ARK Investの2030年ビットコイン価格予測(2025年4月時点):
- ベアケース(弱気):約30万ドル
- ベースケース(基本):約71万ドル
- ブルケース(強気):約150万ドル(アグレッシブなモデリングでは最大240万ドル)
ただし、ウッド氏は2025年11月に、ステーブルコインの成長がビットコインの採用を一部代替する可能性を理由に、ブルケース(強気シナリオ)を約150万ドルから約120万ドルへ下方修正しました。ベアケース(弱気シナリオ)は約30万ドルで変更ありません。それでも現在価格から見れば大幅な上昇を見込んでいる点に変わりはありません。
Standard Charteredの保守的な見直し
英国大手銀行Standard Charteredは、ビットコイン価格が50万ドルに達するタイミングを2028年から2030年に延期しました。この修正は2025年12月9日に発表され、以下の3つの構造的変化を理由としています。
- ETFが主要な成長ドライバーに:現物ETFの登場で機関投資家の参入経路が変化
- マイニング市場の構造変化:ハッシュレートの分散化が進行
- 規制環境の明確化:時間をかけて規制の枠組みが整備される
それでも50万ドル(現在価格の約5倍)という強気予測は維持しており、長期的な成長見通しは変わらないとしています。目標達成時期を2年延期したのは、より現実的なタイムラインを反映させるための調整と見られています。
Fidelityの超長期ビジョン
米資産運用大手Fidelityのグローバルマクロ部門ディレクター、ユリアン・ティマー(Jurrien Timmer)氏は、ビットコインが2038年から2040年までに1ビットコイン10億ドルに達する可能性があるという極めて楽観的な長期シナリオを提示しています。
⚠️重要な注意点:この予測は、Fidelity公式の正式コミットメントというよりは、同社関係者による長期的なシナリオの一例であり、社内見解の引用として理解するべきです。ティマー氏の予測は、メトカーフの法則(ネットワークの価値はユーザー数の二乗に比例する)に基づいており、以下の要因を考慮しています。
- グローバルな通貨システムにおけるビットコインの地位
- 機関投資家の採用加速
- インフレヘッジとしての需要増加
- 供給量の固定性(2100万枚上限)
- ネットワーク効果の拡大
VanEckのAI×仮想通貨予測
資産運用会社VanEckは、仮想通貨とAIの融合に注目した独自の予測を発表しています。同社は2030年までに「クリプトAI収益」がベースケースシナリオで102億ドルに達すると予測しており、ブロックチェーン技術がAI採用の重要なドライバーになると見ています。
VanEckの2030年クリプトAI収益予測:
- ベアケース(弱気):約3.6億ドル
- ベースケース(基本):約102億ドル
- ブルケース(強気):約516億ドル
各社予想比較表
| 機関名 | 予測年 | 主な予測内容 | 予測の性質 |
|---|---|---|---|
| Bitwise | 2035年 | 市場全体が10〜20倍成長 | シナリオ分析 |
| ARK Invest | 2030年 | BTC 30万〜150万ドル | モデルベース予測 |
| Standard Chartered | 2030年 | BTC 50万ドル | 修正後の目標 |
| Fidelity(ティマー氏) | 2038-2040年 | BTC 10億ドル | 長期シナリオ例 |
| VanEck | 2030年 | クリプトAI収益102億ドル | ベースケース |
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成長を加速させる要因とは

規制環境の劇的な改善
2025年に入り、米国の規制環境が大きく変化しています。特にSECのアトキンス新委員長就任により、仮想通貨に対する姿勢が「規制による締め付け」から「適切な枠組み作り」へとシフトしています。
規制面での主な変化:
- 現物ビットコインETFの承認・上場(2024年1月)
- イーサリアムETFの承認(2024年7月)
- SEC委員長の仮想通貨肯定的な発言
- トークン化証券への明確なガイドライン策定の動き
- 業界との対話姿勢の強化
この規制環境の改善は、機関投資家が参入しやすい土壌を作り出しており、市場の成熟化を後押ししています。
トークン化:金融インフラの革命
トークン化とは、現実世界の資産(不動産、株式、債券など)をブロックチェーン上でデジタル化し、取引可能にする技術です。
❇️ トークン化のメリット:
- 流動性の向上:従来流動性が低かった資産も取引しやすくなる
- コスト削減:仲介業者を減らし、決済時間を短縮
- アクセスの民主化:少額から投資可能になり、参加者が増加
- 透明性:ブロックチェーン上で取引履歴が追跡可能
- プログラマビリティ:スマートコントラクトで自動化が可能
現在、トークン化された株式市場はわずか約6.7億ドル規模ですが、約68兆ドル規模の米国株式市場がオンチェーン化されれば、その差は約10万倍。ただし、この移行は一夜にして起こるものではなく、段階的かつ複雑なプロセスになると予想されています。
トークン化とは?
伝統的な資産をブロックチェーン上でデジタルトークンとして表現すること。これにより、24時間365日の取引、少額からの投資、瞬時の決済、透明性の向上などが実現します。
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ステーブルコインの拡大と実用化
ステーブルコインは法定通貨(主に米ドル)に価値が連動した仮想通貨で、価格が安定しているため決済や送金に適しています。
Goldman Sachsは2025年8月、ステーブルコイン市場を「ステーブルコインの夏」と呼び、2025年8月時点の約270億ドルから数兆ドル規模への成長を予測しています。2025年12月現在、ステーブルコイン市場は約3,000億ドル超に成長しています。
ステーブルコインの主な用途:
- 国際送金(従来の送金より高速・低コスト)
- 仮想通貨取引のペア通貨
- DeFiプロトコルでの担保
- 企業間決済
- 新興国での米ドル代替手段
- リアルタイム決済インフラ
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投資家はどう行動すべきか
ホーガン氏が実践する「市場全体を買う」戦略
興味深いことに、ホーガン氏自身は「どのブロックチェーンが勝つか予測できない」と認めています。8年間業界に携わってきた彼ですら、個別銘柄の勝者を選ぶことの難しさを痛感しているのです。
そのため彼が採用しているのは「市場全体の成長を取り込む」というアプローチ。米国では時価総額加重型のインデックスファンド(ETF)を活用し、ポートフォリオの中核に据えています。
「正しく市場が100,000倍成長すると予測しながら、間違ったチェーンを選んで負けることを想像してみてください」
――ホーガン氏はこう述べ、分散投資の重要性を強調しています。
日本の投資家が取れる現実的なアプローチ
日本では2025年12月現在、米国のような暗号資産ETFは承認されていません。そのため、日本の投資家は自分で分散投資を行う必要があります。
実践的な投資アプローチ:
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 主要銘柄への分散 | ビットコイン・イーサリアムを中心に複数保有 |
| 定期積立投資 | 毎月一定額を投資し、購入価格を平準化 |
| ポートフォリオ配分 | 全資産の5〜10%程度を目安に |
| 長期視点 | 最低3〜5年、理想的には10年スパンで |
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リスク管理の徹底
どんなに楽観的な予測があっても、仮想通貨市場には大きなリスクが存在します。
投資する際の基本原則:
- 余剰資金のみ:生活費には絶対に手をつけない
- 長期視点:10年スパンで考える
- 分散投資:一つの銘柄に集中しない
- 感情コントロール:暴騰・暴落時も冷静に
- 継続学習:規制や技術動向をフォロー
⚠️主なリスク要因:価格の激しい変動、規制変更、技術的問題、競合の出現、マクロ経済の影響など。10〜20倍成長はあくまでシナリオの一つであり、予測には大きな不確実性が伴うことを理解しておく必要があります。
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まとめ:仮想通貨市場の新時代到来
Bitwiseのマシュー・ホーガン(Matt Hougan)CIOが示した「今後10年で10〜20倍成長」という見通しは、単なる楽観論ではありません。SEC新委員長による約68兆ドル規模の株式市場トークン化への言及、主要金融機関による相次ぐ強気シナリオ、規制環境の改善など、複数の要因が重なり合っています。
ARK Investの30万〜150万ドル予測、Standard Charteredの50万ドル予測(2030年)、Fidelity関係者による超長期10億ドルシナリオなど、各機関の見方には幅がありますが、重要なのはこれらがすべてモデルと仮定に基づくシナリオであるという点です。実際の市場動向は、規制、技術進化、採用率、マクロ経済など多くの変数に左右されます。
投資家にとっては、個別銘柄選択の難しさが増しています。米国では時価総額加重型インデックスファンド(ETF)が利用可能ですが、日本では2025年12月現在、暗号資産ETFはまだ承認されていません。日本の投資家は、複数の主要銘柄(ビットコイン、イーサリアムなど)に分散投資することや、海外取引所の利用、将来的な日本でのETF導入を待つという選択肢があります。ただし、仮想通貨市場特有の高いボラティリティや規制リスク、予測の不確実性を十分に理解し、余裕資金で長期的な視点を持って投資することが重要です。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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