
最近SNSでも話題になっているMicroStrategy(MSTR)のMSCI指数除外問題。「強制売却が起きる?」「90億ドル流出?」「ビットコイン暴落?」といった不安を煽る情報も多く、初心者はどう捉えていいのか混乱しているテーマです。そこで今回の記事では、公式発表や専門家レポートをもとに事実とデマを正確に整理しつつ、投資初心者にも理解できるように噛み砕いて解説していきます。
本記事で分かること
- 2026年1月15日に何が決まるか
- 資金流出額の実態(28億〜88億ドル)
- 市場への影響とリスク評価

そもそも何が起きているの?MSCI指数除外問題とは

MSCI指数とは何か
まず基本から押さえましょう。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は、世界中の株式市場の指数を作成・管理している会社です。
MSCI指数に組み入れられると、その指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)が自動的にその株を買うため、莫大な資金が流入します。逆に除外されると、パッシブファンド(指数連動型ファンド)は保有株を調整(売却)する必要があります。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】暗号資産ETFとは?日本導入の可能性まで徹底解説!
「DAT企業」という新しい概念
2025年10月10日、MSCIはこう発表しました:
「デジタル資産が総資産の50%を超える企業は、指数から除外する方向で協議を開始する」
この基準に該当する企業をDAT企業(Digital Asset Treasury Companies=デジタル資産保有企業)と呼びます。
MicroStrategyの現状
問題は、MicroStrategy(MSTR)がこの基準に完全に該当してしまうことです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| ビットコイン保有数 | 649,870 BTC |
| 取得コスト | 約484億ドル |
| 現在価値(11月24日時点) | 約567億ドル |
| 含み益 | 約83億ドル |
| 総資産に占める割合 | 推定77〜81%* |
MSTRの総資産の推定77〜81%がビットコイン*。MSCIの「50%ルール」を大幅に超過しています。
(* 分析機関による試算、公式発表値ではありません)
なぜこのルールが作られたのか
MSCIの言い分はこうです:
- 企業は「事業を営む」ことで価値を創造するもの
- ビットコインを買って保有するだけなら、それは「ファンド」と同じ
- ファンドは指数に入れない(企業とは別カテゴリー)
MSTRの マイケル・セイラーCEOは11月21日、Xでこう反論しています:
「我々はファンドでも信託でもホールディングカンパニーでもない。我々はビットコイン担保の構造金融企業だ」
しかし、MSCIはこの主張を現時点では受け入れていません。
指数連動ファンドとは?
指数連動ファンド(パッシブファンド)は、 特定の株価指数(例:MSCI USA)と同じ動きをするように設計された投資信託。指数構成が変わると、機械的に売買が発生します。
数字で見る本当のリスク:「90億ドル」の真実
「90億ドル売却圧力」の真実
SNSで拡散された「90億ドル売却圧力」という数字、実はJPモルガンの最悪ケース試算88億ドルを四捨五入したもので、確定した数字ではありません。
JPモルガンの分析レポートによる正確な数字はこちら:
| シナリオ | 資金流出額 | 条件 |
|---|---|---|
| MSCI除外のみ | 28億ドル | MSCI指数からの除外だけ |
| 全指数追随ケース | 最大88億ドル | Russell 3000やNasdaq100も除外した場合 |
⚠️重要:
- 28億ドルはMSCI除外だけの影響額
- 88億ドルは"他の全主要指数も追随した場合"の上限推計
- これらは「強制売却額」ではなく「資金流出予測」
「強制売却」という言葉の正確な意味
ここで重要な補足です。
✅ 実際に起こること:
- 指数除外 → パッシブファンドが保有比率を調整(売却)
- 資金流出(forced outflows)は発生する
❌ 誤解されやすい点:
- 「即時に一括で全部売られる」わけではない
- 2026年2月のリバランス時に段階的に処理される
- 市場に買い手(個人投資家、他のファンド等)がいれば衝撃は緩和
つまり、「強制売却が起きる?」という懸念は妥当ですが、「一気に暴落」と断定するのは早計です。
他の主要指数の状況
| 指数名 | 除外可能性 | 影響額 |
|---|---|---|
| MSCI | 極めて高い | 28億ドル |
| Russell 3000 | 不透明 | 30〜40億ドル |
| Nasdaq100 | 不透明 | 20億ドル |
| S&P500 | そもそも未加入 | 影響なし |
重要なポイント:
✅ S&P500にはそもそも入っていないため、S&P除外の心配はゼロ
✅ Nasdaq100は2024年12月に追加されたばかりで、判断は不透明
✅ MSCI除外を皮切りに、他指数が連鎖反応的に追随する可能性がある
MSTRの株価とプレミアムの推移
もう一つ注目すべき数字がmNAV倍率(株価がビットコイン価値の何倍で取引されているか)です。
- 2024年11月(ピーク時): 約3.4倍
- 2025年11月現在: 約1.18倍(Strategy.com公式、11月21日時点)
つまり、市場はすでにリスクを織り込み始めていると言えます。ピークから約65%下落しており、プレミアムが大幅に縮小しています。
mNAV倍率とは?
MicroStrategyの株価が、保有ビットコインの価値に対して何倍で取引されているかを示す指標。1.0倍なら等価、2.0倍なら保有BTC価値の2倍で取引されていることを意味します。
債務リスクの現実
MSTRには転換社債を中心とした約82億ドル前後の有利子負債(主に転換社債、2025年11月24日時点)があり、主な満期は2027〜2030年です。
重要な補足:
「ビットコインが74,000ドルを割ると債務リスクが増大」という情報がSNSで拡散されていますが、これは概算値の一つの目安です。
実際の債務リスクは:
- 借入条件(転換価格、満期構造)
- ヘッジ戦略の有無
- 会計処理方法
など複数の要因で変わるため、「74,000ドル割れ=即破綻」ではありません。
現状:
- 11月24日現在のビットコイン価格:約87,683ドル
- まだ一定の安全マージンはあるが、継続的な監視が必要
市場の反応と注目ポイント:JPモルガン vs ビットコインコミュニティ

JPモルガンレポートが引き金に
この騒動の発端は、JPモルガンが11月20日に発表したリサーチノートでした。
レポートの主な内容:
- MSCI除外の可能性が極めて高い
- 28億ドルの資金流出が見込まれる
- 他の指数も追随すれば最大88億ドルに
このレポートを受けて、MicroStrategy株は11月21日に一時下落しました。
ビットコインコミュニティの反撃:JPモルガンボイコット運動
しかし、ビットコイン支持者たちは黙っていませんでした。
11月23日〜24日、CointelegraphやX(旧Twitter)上で「JPモルガンをボイコットしよう」という動きが活発化。
注目の発言:
- 不動産投資家グラント・カードン氏: 「Chase銀行から2,000万ドル引き出して、訴訟も起こした」
- ビットコイン支持者マックス・カイザー氏: 「JPモルガンを潰してMSTRとBTCを買おう」
マイケル・セイラーCEOの反論
2025年11月21日、セイラー氏はXで次のように述べました:
「指数の組み入れや除外は我々の戦略を変えるものではない。MSTRはファンドではなく、5億ドル規模のソフトウェア企業だ」
セイラー氏は強気の姿勢を示していますが、市場は慎重な反応を示しています。
重要な日程:2026年1月15日までのタイムライン
| 日付 | イベント |
|---|---|
| 2025年10月10日 | MSCI、DAT企業の協議開始を発表 |
| 2025年12月31日 | 協議期間終了(パブリックコメント締切) |
| 2026年1月15日 | MSCI最終判断発表 |
| 2026年2月10日 | 2月指数リバランス発表(MSCI公式スケジュール) |
| 2026年3月2日 | リバランス実効日(MSCI公式スケジュール) |
つまり、2026年1月15日が正式な決定日であり、除外が決定された場合、MSCI公式スケジュールに基づき、2026年2月10日にリバランス内容が発表され、3月2日に実施される見込みです。 実際の売却は段階的に行われます。
パブリックコメントとは?
パブリックコメントは、規制や方針変更を行う際に、一般の意見を募集する期間。MSCIは12月31日まで市場参加者からの意見を受け付けています。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】BTCCとは?安心できる海外取引所の特徴・使い方を解説【2025年版】
2026年に向けた3つのシナリオ:あなたはどう見る?
ここからは、専門家の分析をもとに3つの可能性を整理してみましょう。
(※以下のシナリオと確率は、市場動向および専門家分析に基づく編集部の見解であり、実際の結果を保証するものではありません。)
悲観シナリオ(発生確率:30%)
🔴 前提条件:
- MSCIが予定通り除外を決定
- Russell 3000、Nasdaq100も追随
- 最大88億ドルの資金流出が発生
予想される展開:
| 指標 | 予想値 |
|---|---|
| ビットコイン価格 | 70,000〜80,000ドルまで下落 |
| MSTR株価 | 120〜150ドルへ下落 |
| 市場心理 | 短期的なパニック売り発生 |
リスク要因:
- 2〜3月の段階的売却でも市場が吸収しきれない
- 他のDAT企業も連鎖的に売られる
- 仮想通貨市場全体への波及
中立シナリオ(発生確率:50%)
🟡 前提条件:
- MSCI除外は実施されるが、他指数は様子見
- 売却は2〜3月のリバランスで分散され、影響が緩和される
予想される展開:
| 指標 | 予想値 |
|---|---|
| ビットコイン価格 | 85,000〜95,000ドルで安定 |
| MSTR株価 | 150〜180ドルで推移 |
| 市場心理 | 一時的な混乱後、回復 |
緩和要因:
- Bitcoin ETFへの資金流入が継続
- 除外後も強固な長期ホルダーが残る
- セイラー氏が追加購入で市場を下支え
- 段階的な売却により市場が吸収可能
楽観シナリオ(発生確率:20%)
🟢 前提条件:
- 除外は織り込み済みで、新たな買い手が登場
- ビットコインETFへの資金流入が加速
- トランプ新政権の仮想通貨支援策が発動
予想される展開:
| 指標 | 予想値 |
|---|---|
| ビットコイン価格 | 100,000ドル台回復 |
| MSTR株価 | 200ドル以上へ上昇 |
| 市場心理 | 「押し目買い」のチャンス |
好材料:
- BlackRockのBitcoin ETF(IBIT)への資金流入継続
- 他の大手企業もビットコイン購入を表明
- 政府の仮想通貨戦略備蓄構想
今回のMSCI指数除外問題について重要なポイント
2026年1月15日は「決定日」であり「実行日」ではない
✅ 確実な事実
- 2026年1月15日にMSCIが最終判断を発表(決定日)
- 実際の指数リバランス(売却実行)は2026年2〜3月
- MicroStrategyの総資産77〜81%がビットコイン(50%ルール超過)
- MSCI除外だけで28億ドルの資金流出は避けられない
- 協議期間(パブリックコメント)は2025年12月31日まで
⚠️ 不確実な要素
- 他の指数(Russell 3000、Nasdaq100)が追随するかは不明
- 「90億ドル売却」は最悪ケース88億ドルの四捨五入(確定値ではない)
- 売却は段階的で、市場の買い手次第で衝撃は緩和される可能性
- ビットコインETFへの資金流入が相殺効果を生む可能性
- トランプ新政権の仮想通貨政策次第で状況が変わる
投資家が注目すべきポイント
短期(〜2026年1月)
- ビットコイン価格の推移(74,000ドル水準は一つの目安)
- MSTR株のmNAV倍率が1.0倍を割り込むか
- 12月31日までのパブリックコメント期間中の動向
中期(2026年1月〜6月)
- 1月15日の正式発表内容
- 2〜3月の指数リバランス時の実際の売却規模
- セイラー氏の次の一手(追加購入の有無)
長期(2027年以降)
- 転換社債の償還リスク(2027〜2030年に満期分散)
- ビットコインETF市場の成長
- 規制環境の変化
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】edgeX完全ガイド|安全性とリスク徹底比較!パーペチュアルDEX選び方決定版
まとめ:冷静に見守る姿勢が大切
2026年1月15日は「決定日」であり「実行日」ではありません。
今回の騒動は確かにMicroStrategyにとって大きなイベントです。しかし、「ビットコイン暴落」「即座に売却すべき」といった極端な反応は早計かもしれません。
なぜなら:
✅ 市場はすでにある程度織り込んでいる(mNAV倍率が3.4倍→1.18倍に縮小)
✅ 売却は2〜3月に段階的に実施される(即時一括ではない)
✅ BlackRockのBitcoin ETFなど代替的な受け皿が存在
✅ 除外後も長期ホルダーは残る可能性が高い
✅ 債務は2027〜2030年に分散して満期到来(即座の破綻リスクは低い)
みなさんも焦らす冷静に両社の動きを注視しましょう。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
海外取引所・DEX利用時の重要な注意事項
法的リスクについて
・日本居住者の利用は、完全に自己責任での利用となります
・資金保護や紛争解決において、日本の法的保護を受けられません
・エアドロップや取引利益は課税対象です。必ず税務申告を行ってください
🔐 招待コード:kimchan
📢 最新情報は各SNSでも発信中!
フォローしてお得なチャンスを逃さないでね✨

