
11月13日から14日にかけて、ビットコインが再び10万ドルの心理的節目を割り込み、一時9万6600ドル台まで下落しました。今年5月以来の安値を更新し、仮想通貨(暗号資産)市場全体に弱気ムードが広がっています。ファンダメンタル要因から徹底的に分析します。市場を動かしている「大きな力」について理解を深めましょう。
本記事で分かること
- ビットコイン急落の3つのファンダメンタル要因
- FRBの金融政策が仮想通貨に与える影響
- 週末と週明けの市場を動かす経済要因

ビットコイン10万ドル割れの真相|数字で見る市場の現実

衝撃的な数字が物語る市場の変化
ビットコインは11月13日夕方から急落を始め、わずか24時間で米国取引時間帯を中心に大きく下落しました。CoinDeskの報道によると、BTCは一時10万4000ドルまで回復していたものの、米国市場の取引開始後に反転し、東海岸時間の午後早い時間帯に10万ドルを割り込みました。
Bloombergによると、この下落により10月上旬以降で4500億ドル(約70兆円)超相当の時価総額が失われた計算になります。
| 日付 | 価格(UTC時点) | 24時間変動 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 11月12日 | 10万1663ドル | - | CoinDesk |
| 11月13日 | 9万7511ドル | -4.1% | CoinDesk |
| 11月14日 | 9万6635ドル | -1.7%(報道時点) | Yahoo Finance / CoinDesk |
※価格は各取引所や時刻により若干の差異があります。表中の数値は主要データソース(Yahoo Finance、CoinDesk等)の報道値を基にしています。
清算データ:複数ソースで変動
清算データは時刻やデータソースによって変動します。Yahoo Financeは24時間で6億5788万ドルの清算を報告し、CoinDeskは11月4日の大きな下落時に11億4000万ドル超のロングポジション清算があったと報じています。Coinglassのリアルタイムデータでは、清算額は時刻により3億〜7億5000万ドルのレンジで変動しており、ロング寄りの清算が大半を占めています。
急落の3大ファンダメンタル要因|市場を動かす本当の理由
①AI関連株の下落がリスク資産全体を直撃
ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれることもありますが、実際には株式市場、特にハイテク株との相関性が高いリスク資産です。11月14日、Investopediaの報道によると、テック株中心のナスダック指数が2%下落し、S&P500も1.3%下落したことが、ビットコイン急落の引き金の一つとなった可能性があります。
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AI投資への疑念が浮上
Trading Economicsによると、メガキャップテック株が下落を主導し、テスラ、エヌビディア、AMD、パランティア、ブロードコム、オラクルが3.6%〜6.6%下落しました。AI関連銘柄への評価見直しが市場心理を悪化させた可能性があります。
主要AI関連株の動き(11月14日):
- パランティア(PLTR):6%超の下落
- テスラ(TSLA):3.6%〜6.6%のレンジで下落
- エヌビディア(NVDA):同様に大幅下落
Business Insiderは、AI関連株の高い評価額に対する懸念が投資家の間で高まっていると報じています。
リスク資産とは?
リスク資産とは、価格変動が大きく、元本割れのリスクがある投資対象のことです。株式、仮想通貨、高利回り債券などがこれに該当します。景気が良いときには資金が流入しやすく、景気が悪化すると真っ先に売られる特徴があります。逆に、安全資産(国債、金など)は景気悪化時に買われる傾向があります。
②FRBの利下げ期待が大幅後退|金融政策の転換点
ビットコイン市場にとって最も重要なファンダメンタル要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策です。現在、この金融政策が大きな転換点を迎えています。
12月利下げ確率が「コイントス」レベルに急低下
CNBCとMorningstarの報道によると、CME FedWatchツールが示す12月9-10日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ確率は、11月14日時点で約50%まで低下しました。わずか1ヶ月前には95%だったことを考えると、劇的な変化です。
重要な日程
次回FOMCは連邦準備制度理事会の公式カレンダーによると、12月9-10日に開催予定です。
CNBCの報道では、11月13日午後時点で利下げ確率は49.4%となり、わずか数日前の62%から大きく低下しました。先物価格は2025年末までのFF金利を3.775%と示しており、現在の3.87%から若干の低下を織り込んでいる状況です。
| 金利政策の見通し | 1ヶ月前 | 11月14日 | 変化 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 12月利下げ確率 | 95% | 約50% | ▼45ポイント | CME FedWatch / CNBC |
| 2025年末FF金利予想 | - | 3.775% | - | CME FedWatch |
| 1月利下げ確率(12月見送り時) | - | 約70% | - | CNBC |
FRB内部の意見対立が鮮明に
Reutersによると、ほとんどのエコノミストは12月の利下げを予想していますが、FRB内部では意見が分かれています。
Mornin gstarの報道では、ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁が11月13日に「現在の政策金利を当面維持することが適切」と述べ、「短期的な追加利下げには比較的高いハードルがある」と発言しました。これは彼女としては珍しく明確なタカ派的立場です。
なぜ利下げがビットコインに重要なのか?
金利が高いと、リスクを取らなくても安全な国債などで高い利回りが得られます。そのため、投資家はリスクの高いビットコインから資金を引き揚げ、安全資産に移す傾向があります。逆に、利下げが進めば、低金利環境でリターンを求める資金がビットコインなどのリスク資産に流れ込みやすくなるのです。
③機関投資家の資金引き揚げが加速
ビットコイン現物型ETF(上場投資信託)の資金動向は、機関投資家の需要を測る重要な指標です。
ETFからの史上2番目の大規模流出
CoinDeskによると、11月14日に米国上場のビットコイン現物ETFから8億6900万ドルの資金流出があり、これは史上2番目に大きな規模となりました。直近3週間で合計26億4000万ドルの流出を記録しています。
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複数データソースの比較
ETFデータはSoSoValue、Farside Investors、Bitboなど複数のトラッカーで確認できますが、集計方法や時刻により若干の差異があります。
SoSoValueのデータによると:
- 11月4日:大規模な純流出(約3億5000万ドル超)
- 11月9日時点:過去1週間で12億ドル超の純流出(記録上3番目の規模)
Farside Investorsのデータでは、11月12日に2億5660万ドル、11月13日にさらなる流出を記録しています。
個人投資家vs機関投資家
興味深いのは、機関投資家が資金を引き揚げる一方で、個人投資家の心理も極度に悪化していることです。CoinMarketCapの恐怖と欲望指数(Fear and Greed Index)は2週間以上にわたって「恐怖」の状態が続いています。
しかし、歴史的に見ると、個人投資家の心理が極度に悪化したときこそ、短期的な底打ちのサインになることが多いのです。
週末と週明けの市場を動かすファンダメンタル要因

週末の市場環境|流動性低下がもたらす影響
週末は伝統的な金融市場(株式市場、債券市場)が休場となります。このため、仮想通貨市場の動きには以下のような特徴が現れます:
流動性の低下
- 大口投資家(機関投資家)の取引が減少
- 個人投資家中心の市場になり、値動きが読みにくくなる
- 突発的なニュースに対して価格が過剰反応しやすい
様子見ムードの強まり
- 週明けの株式市場の動向を待つ投資家が増える
- 大きなポジションを取らず、様子見姿勢が強まる
週明け以降の超重要ファンダメンタル要因
週明けからは、以下のファンダメンタル要因が市場を大きく動かす可能性があります:
| ファンダメンタル要因 | ビットコインへの影響 | 重要度 | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| FRB高官の追加発言 | タカ派発言なら下落、ハト派発言なら上昇 | ★★★★★ | Reuters, CNBC, Bloomberg |
| 米雇用統計・インフレ指標 | 強い数値=利下げ期待後退で下落要因 | ★★★★★ | 米労働省、米商務省の発表 |
| ナスダック・S&P500の動向 | 株価下落ならビットコインも連動下落 | ★★★★☆ | 各取引所終値、AI関連株の動き |
| ETFの資金フロー | 流入再開なら上昇、流出継続なら下落 | ★★★★☆ | SoSoValue, Farside, Bitbo |
| 政府閉鎖後の経済指標 | データ不透明化で不確実性増大 | ★★★☆☆ | 米政府機関の発表スケジュール |
①FRBの動向が最重要|12月9-10日のFOMCに向けて
12月9-10日に開催予定の次回FOMCに向けて、FRB高官の発言が相次ぐと予想されます。現在、FRB内部でもタカ派とハト派で意見が分かれており、今後の発言内容が市場の方向性を決める可能性があります。
タカ派シナリオ(利下げ慎重論)
- インフレ率がまだ高い(目標2%を上回る)
- 雇用市場が堅調で、景気過熱の懸念
- 政府閉鎖による経済データ欠如で慎重姿勢
→ ビットコインには下落要因 📉
ハト派シナリオ(利下げ積極論)
- 雇用統計の悪化兆候
- 消費関連企業の決算悪化
- 現行金利が「過度に引き締め的」との認識
→ ビットコインには上昇要因 📈
Evercore ISIのクリシュナ・グハ氏は「12月利下げの確率は55-60%程度」と分析しています。
②政府閉鎖の後遺症|見えない経済の実態
43日間という米国政府閉鎖は終了しましたが、その影響は深刻です。CNBCによると、ホワイトハウスのカロライン・レビット報道官は「10月の一部経済指標が公表されない可能性がある」と述べており、投資家は米国経済の正確な状況把握が困難になっています。
データ不足が生む不確実性
CoinDeskの市場分析によると、連邦政府は9月に1980億ドルの財政黒字を記録し、10月はさらに大きな黒字になる可能性があります。これは「数ヶ月、あるいは数年で最も流動性が枯渇した期間の一つ」とされています。
市場ウォッチャーのメル・マティソン氏は「財政支出の洪水が間もなく解放される」と予測しており、「今後数四半期で財政支出の津波が来る」と述べています。
③米国取引時間帯の弱さが継続
CoinDeskの分析によると、ビットコインは最近のパターンとして「米国取引時間帯に最も大きく下落する」傾向が続いています。オーバーナイトで10万4000ドルまで回復しても、米国市場が開くと反転して下落する動きが繰り返されています。
Wincent社のポール・ハワード氏は
「仮想通貨は今や、過去のどの時期よりもマクロ経済と密接に結びついている」
と述べています。彼は「2025年の高値はすでに見たかもしれない」との見方を示していますが、「来年にかけて着実な上昇が期待できる(ボラティリティは認識した上で)」とも述べています。
長期保有者の動きから見る市場の本質
売り圧力の正体|古参投資家の利益確定
Cointelegraphによると、ストック・トゥ・フロー理論の提唱者PlanB氏は、現在の売り圧力の主因は2017〜2022年に取得した長期保有者からのものであり、古参クジラ(大口投資家)の売却を示す根拠は弱いと述べています。
長期保有者が売る理由
- 2017年:ビットコイン価格は約2万ドルでピーク → 現在9万7000ドルなら約4.8倍
- 2020年:ビットコイン価格は約1万ドル → 現在9万7000ドルなら約9.7倍
つまり、長期保有者にとっては、現在の価格でも十分な利益が出ており、一部利益確定の動きは自然なことなのです。これは、市場の健全な調整と捉えることができます。
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2026年に向けた中長期ファンダメンタル展望
変わらない強固なファンダメンタル
短期的には弱気ムードが続いていますが、ビットコインの市場アナリストの見解では、中長期的なファンダメンタルは依然として強固とされています:
①ビットコインの希少性
- 2024年4月に半減期を迎え、新規供給が半減
- 総供給量2100万枚という絶対的な上限
- 「デジタルゴールド」としての価値が高まる
②機関投資家の参入環境が整備
- ビットコイン現物ETFの承認により、投資ハードルが低下
- 一時的な流出はあるものの、長期的な参入基盤は整備済み
③グローバルな金融不安
- 法定通貨への不信感が世界的に高まる
- インフレヘッジ(インフレ対策)としての需要
④規制環境の明確化
- 各国政府が仮想通貨規制を整備
- 不透明感が減少し、機関投資家が参入しやすく
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まとめ|ファンダメンタルから見た今後の展開
ビットコインの10万ドル割れは、
①AI関連株の下落によるリスク回避
②FRBの利下げ期待後退(12月FOMC確率50%)
③機関投資家の大規模資金引き揚げ(3週間で26億ドル超)
という複合的なファンダメンタル要因が影響した結果です。
週末は流動性が低下するため、様子見ムードが強まる可能性が高く、本格的な動きは週明けの株式市場の動向を見てからになるでしょう。週明け以降は、
・12月9-10日のFOMCに向けたFRB高官の発言
・米経済指標の発表(10月データは一部欠如の可能性)
・ETFの資金フロー
・ナスダック指数の動き
が重要な判断材料となります。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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