2025年10月、日本の仮想通貨(暗号資産)業界を大きく変える2つのビッグニュースが飛び込んできました。金融庁が銀行による仮想通貨投資を可能にする制度改正の検討を開始すると報じられ、同時に三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクが円建てステーブルコインの共同発行を検討していることが明らかになったのです。これまで慎重な姿勢を貫いてきた日本の金融機関が、いよいよ仮想通貨市場への本格参入に動き出しました。

本記事で分かること
- 金融庁が検討する銀行の仮想通貨投資制度改正の詳細
- 3メガバンクが共同発行する円建てステーブルコインの仕組み
- 日本の仮想通貨市場が迎える具体的な変化と展望
金融庁が検討開始!銀行の仮想通貨投資制度改正
2025年10月18日、読売新聞をはじめとする大手メディアが、金融庁が銀行による仮想通貨の投資目的での取得・保有を可能にする制度改正の検討を開始すると報じました。
ここで重要なのは、現時点では「検討段階」であり、制度改正が確定したわけではないという点です。近く開かれる金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で議論が始まる段階にあります。
⚠️ 正しい理解のポイント
「解禁が決定した」ではなく「解禁に向けた検討が開始された」段階です。今後の審議会での議論や、金融庁による具体的な制度設計を経て、実際の制度改正に至るプロセスが必要です。
現行の規制はどうなっているのか
現在、銀行グループによる仮想通貨の投資目的での取得は、2020年に改定された金融庁の監督指針により、必要最小限度の範囲にとどめる必要があるとされています。
これは「全面禁止」という明文規定ではありませんが、実質的に銀行グループが投資目的で大量の仮想通貨を保有することは困難な状況でした。その背景には以下の理由があります。
規制の理由 | 具体的な懸念 |
---|---|
価格変動リスク | 株式などに比べて取引価格の変動が極めて大きい |
財務健全性への影響 | 価格急落時に大きな損失が発生し、銀行の財務内容が悪化する可能性 |
管理体制の課題 | 裏付け資産のない暗号資産の適切なリスク管理体制が未整備 |
監督指針とは?
金融庁が金融機関の監督にあたって用いる指針のこと。法律ではありませんが、金融機関が業務を行う上で遵守すべき基準や考え方を示しています。
制度改正検討の背景にある市場の急成長
なぜ今、金融庁は制度改正の検討を始めたのでしょうか。その背景には、日本国内の仮想通貨市場の著しい成長があります。
金融庁が2025年9月に公表した資料によると、驚くべき数字が明らかになっています。
- 口座開設数:延べ1,200万口座超(2025年1月末時点)
- 利用者預託金残高:5兆円以上
- 過去の推移:2024年4月末時点で1,000万口座を突破、その後も増加継続
これらの数字は、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の統計データと金融庁の公表資料に基づくものです。

金融庁の資料では、「暗号資産の投資対象化が進展」しており、国内のアンケート調査によると投資経験者の暗号資産保有者割合は約7.3%で、FX取引や社債等よりも保有率が高くなっているとされています。
制度改正後の規制内容はどうなる見込みか
重要なのは、完全な自由化ではなく、適切な規制を設けた上での解禁が検討されているという点です。
金融庁は銀行の財務内容への影響を考慮し、以下のような規制枠組みが議論される見込みです。
- ✅ 仮想通貨のリスクを管理する体制整備の義務化
- ✅ 保有量や保有比率に関する一定の制限
- ✅ 定期的な財務報告とリスク評価の実施
- ✅ 適切な分散投資の実施
また、金融庁は「暗号資産交換業者」の登録を銀行グループが行えるようにすることも検討しています。信用度が高い銀行グループの参入を可能にすることで、個人投資家がより安心して投資を行える環境を整える狙いがあります。
暗号資産交換業者とは?
仮想通貨の売買や交換サービスを提供する業者のこと。日本では金融庁への登録が必須で、厳格な規制のもとで運営されています。
3メガバンクが共同検討する円建てステーブルコイン
金融庁の制度改正検討と同じタイミングで、もう一つの大きなニュースが報じられました。
2025年10月17日、日本経済新聞が独自に報じたところによると、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが円建てステーブルコインの共同発行を検討していることが明らかになりました。この報道は日経新聞の「イブニングスクープ」として発表されています。
⚠️ 情報源について
このステーブルコインに関する情報は、日本経済新聞の報道に基づくものです。3メガバンクや金融庁からの公式発表ではなく、報道ベースの情報である点にご注意ください。現時点では「検討段階」であり、実現が確定したものではありません。
ステーブルコインとは?
円やドルなどの法定通貨に価値を連動(ペッグ)させた仮想通貨のこと。ビットコインのような大きな価格変動が少なく、決済手段として安定して利用できるのが特徴です。日本では「電子決済手段」として法的に位置づけられています。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】2025年注目のステーブルコイン徹底解説|仕組み・メリット・主要銘柄まとめ
日経報道による共同発行計画の内容
日本経済新聞の報道によると、3メガバンクの共同プロジェクトには以下のような特徴があるとされています。
項目 | 内容(日経報道に基づく) |
---|---|
発行プラットフォーム | 新興フィンテック企業のプログマ(東京・千代田)のシステムを活用 |
発行方式 | 「信託型」を採用(三菱UFJ信託銀行と連携) |
対象通貨 | まず円建て、将来的にはドル建てなど複数の法定通貨に対応予定 |
相互互換性 | 同じ規格で相互に乗り換え可能な法人向けステーブルコイン |
実用化時期 | 実証実験を経て、2025年度内の実用化を目指す |
報道では、三菱UFJ、三井住友銀行、みずほ銀行はまず、同じ規格で相互に乗り換え可能な法人向けステーブルコインの枠組みを構築するとされています。
新興フィンテックのプログマ(東京・千代田)のシステムを使い、金融庁と実務上の課題を検証する予定とのことです。
第一弾は三菱商事での活用検討
日経新聞の報道によると、この円建てステーブルコインの導入第一弾として、三菱商事が社内資金決済での利用を検討しているとされています。同紙の取材に対し、三菱商事の広報担当者は「送金で活用を検討していることは事実」とコメントしたとのことです。
一方、共同通信が同日に独自取材した報道では、同担当者は「送金でステーブルコインの活用を検討していることは事実だが、決まったことはない」とも説明しており、現時点では検討段階であることが強調されています。
報道では、企業にとって以下のようなメリットが期待されるとされています。
- 💰 決済コストの削減 - 従来の銀行送金に比べて手数料を抑えられる可能性
- ⚡ 決済スピードの向上 - 24時間365日、リアルタイム決済が可能に
- 🌏 国際送金の効率化 - 海外送金の時間とコストを削減できる可能性
- 🔒 透明性の向上 - ブロックチェーン技術により取引履歴が明確

⚠️ 注意点
報道では法人向けからスタートする方向で検討されているとされていますが、個人向けサービスの展開時期や詳細については明確に確定していません。また、実証実験の結果次第で、スケジュールや内容が変更される可能性があります。
JPYCと3メガバンク、どう違う?
一足早く認可を受けたJPYCと、今回報道された3メガバンクのステーブルコイン。 実は、この2つは競合ではなく、むしろ市場を『棲み分け』することになると予想されます。 JPYCは個人向け・少額決済に特化し、海外送金がわずか1円以下でできる強みがあります。 一方、3メガバンクは法人向け・高額送金に強みがあります。企業間決済や社内決済での利用を想定しています。 この棲み分けがあるからこそ、日本の円建てステーブルコイン市場は、 個人も企業も両方が利用できる『幅広い市場』として成長できる可能性を秘めています。
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日本の仮想通貨市場が迎える新たな段階
まずは冷静に:現状は「検討・計画段階」
今回報じられた2つのビッグニュースについて、まず押さえておくべき重要なポイントがあります。
⚠️ 現状の正しい理解
- 銀行の仮想通貨投資:制度改正の「検討を開始」する段階(確定ではない)
- ステーブルコイン:日経新聞の報道による「検討・計画段階」の情報
- いずれも金融機関や金融庁からの公式発表ではなく、報道ベースの情報
- 実現までには金融審議会での議論、実証実験、法改正など多くのプロセスが必要
過度な期待や投機的な行動は避け、今後の公式発表や審議会の議論を注視していくことが重要です。
注目の第4回ワーキング・グループが目前に
金融庁は2025年7月から「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」を設置し、暗号資産規制の見直しについて議論を進めています。
そして、これらの報道からわずか数日後の2025年10月22日(水)に第4回会合が開催される予定です。
日付 | 出来事 |
---|---|
10月17日(木) | 日経新聞が3メガバンクのステーブルコイン計画を報道 |
10月18日(金) | 読売新聞が銀行の暗号資産投資制度改正検討を報道 |
10月22日(水) | 金融審議会「暗号資産制度WG」第4回会合 開催予定 |
このタイミングでの一連の報道は、第4回会議での議論と密接に関連している可能性が高いと考えられます。会議では以下のような議題が扱われる見込みです。
🏛️ 金融審議会での主な検討事項
- 暗号資産の規制枠組み見直し(資金決済法から金融商品取引法への一本化検討)
- 銀行による暗号資産投資の制度設計
- インサイダー取引規制などの不公正取引規制の強化
- 情報開示・提供の充実化
- ステーブルコインを含む電子決済手段の運用実態と課題
10月22日の会議の模様はYouTubeで配信され、議事録も後日金融庁ウェブサイトで公表される予定です。具体的な議論の内容を確認することで、今後の方向性がより明確になるでしょう。

個人投資家が知っておくべきこと
これらのニュースが、将来的に個人投資家にもたらす可能性のある変化を整理してみましょう。ただし、あくまで実現した場合に期待される変化という前提です。
期待される変化 | 具体的な内容 | 注意点 |
---|---|---|
信頼性の向上 | 大手銀行の参入検討により、市場全体の信頼性向上が期待される | 制度改正が実現するかは未定 |
投資商品の拡充 | 将来的に銀行が提供する仮想通貨関連商品の登場可能性 | 商品設計や時期は不明 |
決済手段の多様化 | ステーブルコインによる新しい決済方法 | まず法人向けから、個人向けは未定 |
規制の明確化 | 金融庁の監督下で透明性の高い市場環境 | 規制内容の詳細は議論中 |

日本独自の規制フレームワークの位置づけ
今回の動きを理解する上で、日本の仮想通貨規制の現状を把握しておくことも重要です。
実は日本は、ステーブルコインの法整備において世界でも早い段階で対応した国の一つです。
- 🇪🇺 欧州:MiCA(Markets in Crypto-Assets規制)により包括的な暗号資産規制を整備
- 🇺🇸 米国:ステーブルコインの発行を規制するGENIUS法が2025年7月18日に成立
- 🇯🇵 日本:すでに2023年6月1日に改正資金決済法で法整備完了
日本ではステーブルコインは仮想通貨とは区別され、法定通貨を裏付けとする「電子決済手段」として既に法的に定義されています。
規制の特徴 | 内容 |
---|---|
法的枠組み | 改正資金決済法により「電子決済手段」として定義済み |
発行者の要件 | 銀行、資金移動業者、信託会社のいずれかが発行可能 |
投資家保護 | 発行者に登録要件と資本規制が適用される |
透明性確保 | 定期的な報告義務が課される |
つまり、今回報道された3メガバンクのステーブルコイン発行計画は、既に整備された法的枠組みの中で検討されているということです。
ただし、実際の発行にあたっては金融庁との実務的な調整や実証実験など、まだ多くのステップが必要とされています。
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まとめ:日本の仮想通貨市場は新たな検討段階へ
2025年10月中旬に相次いで報じられた2つの大きなニュース - 読売新聞による金融庁の銀行仮想通貨投資制度改正検討開始の報道と、日本経済新聞による3メガバンクの円建てステーブルコイン共同発行計画の報道 - は、日本の仮想通貨市場が新たな検討段階に入ったことを示しています。
ただし、繰り返しになりますが、現時点ではいずれも「検討段階」「計画段階」であり、報道ベースの情報です。実際の制度改正やサービス開始までには、10月22日に開催予定の金融審議会第4回会合をはじめとする議論、実証実験、法改正手続きなど、多くのプロセスを経る必要があります。
制度改正が実現すれば、より安全で便利な投資環境が整備されていく可能性がありますが、それまでは慎重な姿勢が求められます。

重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。
仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。投資判断は自己責任で行ってください。
必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう。
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