
2025年も終盤、私たちは今、歴史的な転換点に立っています。太平洋の島国・マーシャル諸島が世界で初めて「ブロックチェーンを活用したユニバーサルベーシックインカム(UBI)」の実装に踏み切りました。これは単なる一国のニュースではなく、既存の法定通貨の信用が揺らぐ中で、AI時代に「国家とお金の関係」がどう変わるかを示す、極めて重要な実験なのです。
本記事で分かること
- マーシャル諸島UBIの具体的仕組み
- ブロックチェーンが選ばれた必然性
- AI時代における社会保障の未来像

マーシャル諸島が挑む「通貨の民主化」とその背景

マーシャル諸島は、人口約4万2,000人の小さな島国です。しかし、この国が抱える課題は、実は日本を含む先進諸国が将来直面する問題の先取りでもあります。
彼らは長年、自国通貨を持たず米ドルを法定通貨としてきました。しかし、地理的に分散した島々では、銀行口座を持てない人々が多く、行政コストも膨大です。そこで彼らは、仮想通貨(暗号資産)の基盤技術であるブロックチェーンを使い、中間コストを排除した「直接給付」の仕組みを構築したのです。
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マーシャル諸島の基本データと課題
| 項目 | 内容 |
| 人口 | 約4万2,000人(1,000以上の島々に分散) |
| 現在の法定通貨 | 米ドル(USD) |
| 主な課題 | 高い送金コスト、銀行インフラの欠如、経済的自立 |
| UBIの目的 | 貧困削減、金融包摂、デジタル国家への脱皮 |
そもそもUBI(ユニバーサルベーシックインカム)の本質とは
UBIとは、すべての国民に対して、所得や労働の有無に関わらず一定額を無条件で支給する制度です。
2025年現在、AIによる雇用代替が進む中で、この議論は「理想論」から「現実的な生存戦略」へとシフトしています。
UBIと従来の社会保障の違い
| 特徴 | 従来の社会保障(生活保護など) | ユニバーサルベーシックインカム(UBI) |
| 受給資格 | 低所得、失業などの「条件」あり | すべての国民に「無条件」 |
| 審査コスト | 膨大な事務作業と審査が必要 | 審査不要で極めて低コスト |
| 労働意欲への影響 | 収入が増えると受給額が減る(罠) | 働いても受給額は変わらず、挑戦を促す |
| 支給スピード | 申請から支給まで時間がかかる | デジタル化により即時支給が可能 |
UBIとは?
UBI(ユニバーサルベーシックインカム)は、政府がすべての国民に対し、生活に必要な最低限の現金を「無条件」で「定期的」に「一生涯」支給し続ける仕組みのことです。
最大の特徴は、これまでの社会保障にあった「審査」や「条件」が一切ないという点にあります。例えば、今の生活保護や失業給付は「収入が低いこと」や「働く意思があること」を証明しなければなりませんが、UBIは赤ちゃんからお年寄りまで、大富豪も困窮している人も、全員が同じ額を受け取ります。
「お金持ちに配るのは無駄では?」という意見もありますが、全員に一律で配ることで、膨大な事務コスト(役所の審査人件費など)をカットでき、さらに「働くと給付が減るから働かない方が得」という「貧困の罠」を防げるメリットがあるため、AI時代の新しい経済の形として世界中で注目されているのです。
なぜ「ブロックチェーン」が選ばれたのか
今回のUBI導入において、なぜ銀行振込ではなくブロックチェーン技術が採用されたのでしょうか。その理由は、ビットコインのような投機性ではなく、「トラストレス(信頼を必要としない)」な送金インフラにあります。
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ブロックチェーン活用の3つのメリット
1)金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン):
スマートフォンさえあれば、銀行口座がなくても「デジタルウォレット」を通じて直接お金を受け取れます。これは離島が多い国では決定的なメリットです。
2)透明性の確保:
政府による支給履歴がブロックチェーン上に刻まれるため、横領や中抜きなどの不正を防ぐことができます。
3)リアルタイム決済:
仲介銀行を通さないため、24時間365日、ほぼ一瞬で国民の手元に届きます。
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ステーブルコイン型の運用と「Stellar」の採用
今回使われるのは、価格が乱高下する銘柄ではなく、米ドルと価値が連動する「デジタル債券型トークン(USDM1)」です。短期米国債によって100%裏付けられており、ステーブルコイン(価格が安定した通貨)と同じ性質を持っています。
ステーブルコイン:米ドルなどの法定通貨と価値が1:1で連動するように設計された仮想通貨のこと。
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そして、この「デジタルのお金」を国民に届けるためのインフラとして採用されたのが、ブロックチェーンの「Stellar(ステラ)」です。
なぜStellarが選ばれたのか、それには3つの必然性があります。
- 圧倒的な低コスト: 1円以下の手数料で送金できるため、国家予算を無駄にせず国民へ直接届けられる。
- 爆速の決済スピード: 銀行の営業時間に縛られず、数秒で着金が完了する。
- 金融包摂の理念: 元々「銀行口座を持てない層に金融を届ける」ために設計されたチェーンであり、今回のプロジェクトと相性が抜群。
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CBDC(中央銀行デジタル通貨)との決定的違い
よく混同されますが、今回のマーシャル諸島の取り組みは、いわゆる「CBDC」とは一線を画します。ここが、投資家や中級者が見落としがちなポイントです。
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CBDC(中央銀行デジタル通貨):中央銀行が発行する「通貨そのもの」。管理が中央に集中しやすく、プライバシーの懸念も。
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マーシャル諸島モデル:既存のパブリック・ブロックチェーンや専用プラットフォームを活用した「給付・決済システム」。
この違いにより、マーシャル諸島は国際通貨基金(IMF)などからの「通貨の安定性を損なう」という批判をかわしつつ、実利的なテクノロジー導入を成功させています。
CBDCとは?
CBDC(Central Bank Digital Currency)は、 中央銀行が発行するデジタル通貨。仮想通貨(暗号資産)とは異なり、国家が完全に管理・保証する法定通貨のデジタル版。
AI・自動化時代とUBI:投資家が注目すべき理由
なぜこのニュースをトレーダーが知っておくべきなのか。それは、「AIが生み出す富をどう分配するか」という問いの答えがここにあるからです。

AI時代の経済構造の変化
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資本への集中:AIを持つ企業(NVIDIA、Microsoft等)に富が集中する。
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労働価値の相対的低下:単純労働だけでなく、知的労働の価値もAIに代替される。
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購買力の維持:消費者がお金を持っていなければ、AIが生み出した製品も売れない。
OpenAIのサム・アルトマン氏は、自身が主導する「World (旧Worldcoin)」プロジェクトを通じて、人間であることを証明したすべての人にトークンを配布する構想を掲げています。
マーシャル諸島の事例は、この構想の「国家版」と言えます。
2025年の視点:評価と懸念、そして財源の行方
この壮大な実験には、当然ながら課題も山積しています。特に「持続可能性」については、投資家目線で厳しくチェックする必要があります。
メリットとリスクの比較表
| 評価されるポイント(Happiness/Relevance) | 懸念されるリスク(Anger/Mystery) |
| 行政コストの劇的な削減(数億円単位の節約) | 継続的な支給財源の確保(外貨準備に依存) |
| デジタルリテラシーの向上と経済活性化 | サイバー攻撃やスマホ紛失時のセキュリティ |
| 世界中のWeb3企業を誘致する呼び水 | 米ドルの支配から外れることへの政治的圧力 |
最大の謎は、「この財源はどこから湧いてくるのか」という点です。
マーシャル諸島は、デジタル国家としての「市民権」や「法人登記」のデジタル化によって得られる手数料収入をUBIに充てる計画を立てています。つまり、テクノロジーで稼いで、テクノロジーで配るというサイクルです。
日本・先進国への示唆:高市総理の「成長投資」とUBI
日本に目を向けてみると、高市早苗総理大臣などが提唱する「戦略的な財政出動」や「成長投資」は、このUBIの考え方と根底でつながる部分があります。
現在の日本は、円安と物価高に苦しんでいますが、同時に「マイナンバーカードを通じた公金受取」というインフラも整いつつあります。
🇯🇵日本での可能性:
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消費税減税の代替としての「デジタル給付」
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ベーシックサービス(教育・医療の無償化)との組み合わせ
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日本版デジタル円(CBDC)による効率的な分配
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日本のような巨大経済圏でいきなりUBIを導入するのは困難ですが、マーシャル諸島のような小規模国家での成功事例が積み重なれば、2030年代には「社会保障のデジタルトランスフォーメーション」として日本でも議論が加速するでしょう。
まとめ:2025年を象徴する“国家とマネー”の実験
マーシャル諸島のUBI導入は、AIが富を独占する未来に対する、人類の、そして国家の回答の一つなのです。
📊 要点まとめ
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マーシャル諸島はブロックチェーンを使い、銀行不要のUBIを実現。
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AI時代の雇用喪失に対する「購買力の維持」が真の狙い。
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2025年は「投機としての仮想通貨」から「インフラとしてのブロックチェーン」への転換点。
私たちの財布の中身や銀行口座の数字が、10年後にはまったく違う「形」になっているかもしれません。米国株のボラティリティや円相場に一喜一憂するだけでなく、こうした「お金のルールが変わる兆し」にアンテナを張っておくことが、トレーダーに必要な視点です。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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