
2025年の仮想通貨(暗号資産)市場は、多くのレイヤー1ブロックチェーンが苦戦する中、意外な銘柄が急浮上しています。それがビットコインキャッシュ(BCH)です。年初来で約40%の上昇を記録し、イーサリアム、ソラナ、カルダノといった主要チェーンを完全に圧倒。「忘れられた通貨」が、なぜ今になって復活したのか?
本記事で分かること
- BCHが年初来+40%で主要L1を全て圧倒した理由
- ビットコインとビットコインキャッシュの決定的な違い
- 2025年Velmaアップグレードがもたらす今後の展開

ビットコインキャッシュ(BCH)が2025年「最強のL1」になった衝撃

2025年、ビットコインキャッシュは年初来で約40%上昇し、すべての主要レイヤー1ブロックチェーンを上回るパフォーマンスを記録しました。この驚異的な数字は、暗号資産アナリストのCrypto Koryo氏が公開した比較データで明らかになりました。
2025年主要L1トークンのパフォーマンス比較
| ランク | 銘柄 | 年初来パフォーマンス | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | +約40% | プリマインなし、定期アンロックなし | |
| 2位 | +小幅上昇 | Binance取引所トークン | |
| 3位 | +小幅上昇 | 新興DeFiチェーン | |
| 4位 | +小幅上昇 | ステーブルコイン特化 | |
| 5位 | +小幅上昇 | 国際送金特化 | |
| — | イーサリアム(ETH) | マイナス圏 | スマートコントラクトの老舗 |
| — | ソラナ(SOL) | マイナス圏 | 高速L1の代表格 |
| — | カルダノ(ADA) | マイナス圏 | 学術研究ベース |
| — | アバランチ(AVAX) | マイナス圏 | サブネット対応 |
| — | ポルカドット(DOT) | マイナス圏 | パラチェーン接続 |
出典: Cointelegraph, GFA
この対比は衝撃的です。ETFが承認されたXRPやソラナでさえ、BCHのパフォーマンスには及びませんでした。
「クリーンな供給構造」が最大の武器
暗号資産アナリストのCrypto Koryo氏は、BCHの強さを「極めてクリーンな供給ダイナミクス」と分析しています。具体的には以下の3点です:
✅ プリマイン(事前配布)がゼロ - 事前に大量配布された創業者・VC保有分がない
✅ 定期的なトークンアンロックがない - 将来的な定期放出スケジュールが存在しない
✅ 循環供給が上限に近い - 約1,995万BCH/2,100万BCHが既に流通済み(約95%)
「供給はすべて市場に流通している。アンロックはない。財団もなく、VCによる投げ売りもない」とCrypto Koryo氏はXで述べています。
$bch is the best performing l1 coin of the year.
they don't even have an official twitter account.
here might be few reasons why:
supply side:
1/ entire supply is circulating. no unlocks
2/ no foundation, vcs dumpingdemand side:
1/ potential etf
2/ one the most liquid… pic.twitter.com/wi5CFgZ7sS— Crypto Koryo (@CryptoKoryo) December 7, 2025
ビットコインキャッシュは、2017年のビットコイン分裂時に既存のビットコイン保有者に同数配布されたため、ICO(新規コイン発行)やプリマインによる資金調達を行っていない。これが他の新興プロジェクトとの決定的な違いです。
【初心者用】ビットコインキャッシュとは?
ここで、初めてビットコインキャッシュ(BCH)を知る読者のために基礎知識を整理しましょう。
2017年の「ビッグブロック論争」から誕生
ビットコインキャッシュは、2017年8月1日にビットコインから分裂(ハードフォーク)して誕生した仮想通貨です。
分裂の理由は「スケーラビリティ問題」にありました。ビットコインの取引量が増加し、ブロックサイズ1MBでは処理が追いつかなくなり、送金手数料が高騰。この問題に対し、コミュニティは2つの派閥に分かれました:
• ビットコイン(BTC)派 - ブロックサイズは維持し、Segwit(署名データの分離)で効率化する
• ビットコインキャッシュ(BCH)派 - ブロックサイズを拡大して処理能力を向上させる
結果、ビットコインキャッシュはブロックサイズを当初8MB(現在は32MB)に拡大し、独自の道を歩み始めた。
ハードフォークとは?
ハードフォークとは、ブロックチェーンのルールを大幅に変更し、旧バージョンと互換性がなくなることで新しいチェーンが分岐する現象。2017年のビットコインとビットコインキャッシュの分裂が代表例。
スケーラビリティとは?
スケーラビリティとは、ブロックチェーンが処理できる取引量の拡張性のこと。利用者が増えても、送金遅延や手数料高騰を起こさずに対応できる能力を指す。ビットコインは1MBのブロックサイズ制限により、1秒間に約7件しか処理できず、混雑時は送金手数料が数千円に跳ね上がることも。ビットコインキャッシュは32MBの大容量ブロックでこの問題を解決した。
ビットコインとビットコインキャッシュの違い
| 項目 | ||
|---|---|---|
| 誕生年 | 2009年 | 2017年(BTCから分裂) |
| ブロックサイズ | 約1MB | 32MB |
| 送金手数料 | 高い(混雑時は数千円) | 安い(数円〜数十円) |
| 処理速度 | 約10分/ブロック | 約10分/ブロック |
| 総発行枚数 | 2100万枚 | 2100万枚 |
| 用途 | デジタルゴールド(価値保存) | 決済通貨(日常利用) |
| スマートコントラクト | 限定的 | CashTokensで対応 |
出典: bitFlyer, SBI VC Trade
「決済通貨」として特化した設計
ビットコインが「デジタルゴールド(価値保存)」を目指したのに対し、ビットコインキャッシュは「Peer-to-Peer電子キャッシュ」というビットコイン本来の理念を追求しています。
✅ 大容量ブロック(32MB) - 一度に多くの取引を処理可能
✅ 低手数料 - 日常的な買い物や少額送金に最適
✅ クリーンな供給構造 - プリマインや定期的なトークンアンロックがない
2025年「Velma」アップグレードで技術革新が加速
ビットコインキャッシュは単なる「決済通貨」に留まりません。2023年以降、技術革新が急速に進んでいます。
CashTokens:スマートコントラクト対応へ
2023年5月、ビットコインキャッシュはCashTokensというプロトコルを実装しました。これにより、ビットコインキャッシュ上でもスマートコントラクトやDeFi(分散型金融)アプリケーションを構築できるようになった。
従来、ビットコインキャッシュは「シンプルな決済通貨」としての立ち位置でしたが、CashTokensの導入で以下が可能になりました:
• トークン発行(NFT、FT対応)
• DeFiプロトコル構築
• 分散型取引所(DEX)の展開
出典: FXLeaders
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】未来の資産運用!初心者でもわかる DeFi(分散型金融)ガイド
2025年5月「Velma」アップグレード:VM Limits & BigInt
そして2025年5月15日、ビットコインキャッシュはVelma(ヴェルマ)ハードフォークを実施。以下の2つの大型アップグレードが導入されました:
① VM Limits(仮想マシン制限の拡張)
• スマートコントラクトの処理能力が100倍に向上
• ノード計算負荷が40%削減
• より複雑なDeFiアプリケーションが実行可能に
出典: Jason Dreyzehner氏(CHIP提案者)公式ブログ、CHIP-2021-05公式ドキュメント
② BigInt(大整数演算サポート)
• 高精度な数値計算が可能に
• DeFiの価格計算や金融商品設計の精度が向上
• より洗練されたスマートコントラクトの開発が可能に
出典: CoinMarketCap, AInvest
2025年のビットコインキャッシュエコシステム
Velmaアップグレード後、ビットコインキャッシュのエコシステムは急速に拡大しています:
✅ DeFiプロトコル - CashTokensベースのDeFi開発が進行中(2025年12月時点で約6プロトコル、TVL約900万ドル)
✅ NFTマーケットプレイス - ビットコインキャッシュ上でのNFT発行・取引
✅ 決済アプリ - 低手数料を活かした実店舗決済ソリューション
✅ スマートコントラクト開発 - VM Limits拡張で高度なアプリケーション開発が可能に
エコシステムとは?
エコシステムとは、特定のブロックチェーン上で動作するアプリケーションやサービス、開発者コミュニティなどの総称。生態系を意味する英語「Ecosystem」が由来。例えば、ビットコインキャッシュのエコシステムには、ウォレットアプリ、決済サービス、DeFiプロトコル、NFTマーケットプレイスなどが含まれる。エコシステムが充実しているほど、そのブロックチェーンの実用性と価値が高まる。
ビットコインキャッシュは今から買うべきか?リスクと可能性

では、ビットコインキャッシュは今から投資する価値があるのか?リスクと可能性を冷静に見ていこう。
現在の価格と市場状況(2025年12月8日時点)
• 現在価格: 約600ドル
• 年初来パフォーマンス: +約40%
• 時価総額ランキング: 11位(CoinMarketCap)
• 24時間取引高: 約4億1,368万ドル
• 循環供給: 約1,995万BCH / 2,100万BCH(約95%)
出典: CoinMarketCap
投資のポジティブ要因
1. クリーンな供給構造 プリマインや定期的なトークンアンロックがなく、循環供給が既に95%流通済み。新興プロジェクトに見られる「アンロック→売り圧」のリスクが極めて低い。
2. 技術革新の加速 CashTokens + Velmaアップグレードにより、DeFi対応が進み、ユースケースが拡大している。
3. 低手数料の決済通貨としての実需 日常決済や少額送金での実用性が高く、実需に支えられた価格形成が期待できる。
4. 主要取引所での取り扱い Bybit、BTCC、MEXCなど、日本人が利用可能な主要取引所で取引可能。流動性が確保されている。
5. ETF承認の可能性 米国でビットコインETFが承認された流れで、ビットコインキャッシュETFの承認も将来的に可能性がある(ただし不確実)。
投資のリスク要因
1. 認知度の低さ ビットコインやイーサリアムと比較すると、一般投資家の認知度は低い。公式情報発信も分散的で統一されたマーケティング戦略が弱い。
2. 競合の多さ 決済通貨としてはライトニングネットワーク(ビットコイン)、リップル(XRP)、ステラ(XLM)などが競合。DeFiではイーサリアム、ソラナが圧倒的。
3. 価格ボラティリティ 仮想通貨全般に言えることだが、価格変動リスクは依然として高い。
4. 過去の分裂騒動 2018年にビットコインキャッシュ自体がBCHとBSV(ビットコインSV)に分裂した歴史があり、コミュニティの分断リスクが過去に存在した。
価格予想:2025〜2030年
複数のアナリストによる価格予想:
| 予想機関 | 2025年末予想 | 2026年予想 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Changelly | 590ドル | 620ドル | 緩やかな上昇トレンド |
| 99Bitcoins | 500ドル | 550ドル | 保守的な予想 |
| Kraken | 620ドル | 750ドル | 年率5%成長を想定 |
長期的には:
• 2050年: 3,000〜4,000ドル
ただし、これらはあくまで予想であり、市場環境やプロジェクトの進展に大きく左右される。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】チャートパターンで未来を予想する!初心者でも分かる18の型完全ガイド
投資判断のチェックリスト
ビットコインキャッシュへの投資を検討する際は、以下をチェックしよう:
☑ ポートフォリオの5〜10%程度に抑える - 高リスク資産として扱う
☑ 長期保有を前提とする - 短期トレードには不向き
☑ 技術開発の進捗を定期的に確認 - CashTokensやDeFiエコシステムの成長をモニタリング
☑ 他のL1と比較検討する - イーサリアム、ソラナなどとのバランスを考慮
☑ 余剰資金で投資する - 生活資金には手をつけない
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まとめ:ビットコインキャッシュは「静かな勝者」として注目すべき
2025年、ビットコインキャッシュは年初来+40%で主要レイヤー1ブロックチェーンの中で最高のパフォーマンスを記録しました。その背景には、プリマインや定期的なトークンアンロックがない「クリーンな供給構造」と、CashTokens + Velmaアップグレードによる技術革新があります。
ETFが承認されても価格が上がらない銘柄が多い中、ビットコインキャッシュは静かに実力を積み上げています。派手なマーケティングはないが、シンプルで健全なトークノミクスと実用性の高い技術が、投資家の信頼を獲得しつつあります。
ただし、認知度の低さや競合の多さなど、リスク要因も存在する。投資を検討する際は、ポートフォリオのバランスを考慮し、長期的な視点で判断することが重要です。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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