
2025年12月4日、仮想通貨(暗号資産)史上最大級の詐欺事件で新たな動きがありました。米連邦検察当局が、テラフォームラボ共同創設者のド・クォン被告に対し、懲役12年を科すよう求める書類を裁判所へ提出したのです。約400億ドル規模の投資家資金を消失させたテラUST崩壊事件。検察は「SBFやセルシウス創業者の事案を合わせたよりも大きい被害」と主張しています。12月11日の判決を前に、逃亡、逮捕、そして裁きの瞬間──史上最悪のステーブルコイン崩壊から学ぶべき教訓とは?
本記事で分かること
- テラ崩壊の全貌と約400億ドル消失のメカニズム
- ド・クォンの逃亡劇と12月11日判決の意味
- 次の詐欺を見抜くための5つのチェックポイント

2022年5月の悪夢──テラUSD崩壊で何が起きたのか

史上最大級のステーブルコイン崩壊
今から3年前、2022年5月9日、仮想通貨市場に激震が走りました。テラフォームラボが発行していたアルゴリズム型ステーブルコインUST(TerraUSD)と姉妹トークンのLUNAが、わずか数日間で完全崩壊したのです(BBC News)。
USTは本来1ドル=1USTであるべきところ、0.1ドル以下まで暴落。LUNAは120ドルから0.00001ドルへと99.99%以上の価値を失いました(Gigazine)。
複数の報道によると、この崩壊による損失規模は約400億ドルに達したとされています(Bloomberg、Gate.com)。市場全体が「クリプト・ウィンター(仮想通貨の冬)」と呼ばれる長期低迷期に突入する引き金となりました。
アルゴリズム型の致命的な欠陥
テラUSTの最大の問題は、法定通貨などの実物資産による担保を持たないアルゴリズム型ステーブルコインだったことです(CoinDesk Japan)。
| 項目 | 法定通貨担保型 (USDT/USDC) |
アルゴリズム型 (テラUST) |
|---|---|---|
| 担保 | 実際のドルや米国債 | なし(アルゴリズムのみ) |
| 安定化の仕組み | 1ドル=1コインで交換可能 | USTとLUNAの交換で調整 |
| 信用の源泉 | 実物資産の裏付け | アルゴリズムと市場メカニズム |
| パニック時の耐性 | 高い | 極めて低い(連鎖崩壊) |
テラの仕組みは「USTが1ドルを下回ったら、1ドル分のLUNAと交換できる」というものでした。しかし、大量の売りが発生するとデススパイラル(死のスパイラル)が始まりました。
- USTが0.9ドルに下落
- 投資家が1ドル分のLUNAと交換しようと殺到
- LUNA価格も急落
- さらなるパニック売りで両方が暴落
- 完全崩壊
検察が指摘する欺瞞──虚偽の説明を続けたド・クォン
12月4日に提出された検察資料によると、ド・クォン被告は投資家に対して虚偽または誤解を招く説明を繰り返していたとされています(Crypto Dnes)。
検察の主張するポイント:
- アルゴリズムの設計に欠陥があることを認識していた可能性
- 大口の引き出しに耐えられないリスクを過小評価
- 安定性や裏付けが十分であるかのように宣伝
- ペッグ回復メカニズムについて誤解を招く説明
さらに、テラは約35億ドル相当のビットコイン準備金を保有していると発表していましたが(CoinDesk Japan)、崩壊時にはほとんど売却できず、投資家保護に役立ちませんでした。
逃亡、逮捕、そして裁きの時──ド・クォンの3年間
9カ月間の国際逃亡劇
2022年5月の崩壊後、ド・クォンは韓国とアメリカの両方から逮捕状が発行されましたが、約9カ月間逃亡を続けました(Odaily)。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年5月9日 | テラUST崩壊開始 |
| 2022年9月 | 韓国ソウル南区検察がド・クォンに逮捕状発行 |
| 2022年9月〜2023年3月 | シンガポール、ドバイを経由して逃亡 |
| 2023年3月23日 | モンテネグロのポドゴリツァ空港で逮捕 (偽造コスタリカパスポート使用) |
| 2023年6月 | 文書偽造罪で懲役4カ月の実刑判決(モンテネグロ) |
| 2024年12月31日 | アメリカへ身柄引き渡し |
| 2025年8月12日 | 詐欺罪を認め有罪答弁 |
| 2025年12月4日 | 検察が懲役12年を求刑 |
| 2025年12月11日 | 最終判決言い渡し予定 |
逮捕時、ド・クォンは同じく指名手配中の幹部ハン・チャンジュン氏とともに、偽造コスタリカパスポートを使用してドバイ行きのフライトに搭乗しようとしていました(JinaCoin)。
検察vs弁護側──12年vs5年の攻防
12月11日の判決を前に、検察と弁護側の主張は真っ向から対立しています。
【検察側の主張】懲役12年が妥当
12月4日に提出された量刑覚書で、検察は以下のように主張しています(CoinDesk):
- 被害規模は「巨大(colossal)」であり、検察はSBFやセルシウス創業者の事案を合わせたよりも大きいと主張
- 崩壊の急速さと市場全体への波及効果が甚大
- 意図的な欺瞞行為が存在した
- 「クリプト・ウィンター」を引き起こした要因の一つ
- 資産の没収も要求
【弁護側の主張】懲役5年以下が妥当
弁護側は以下の理由で軽減を求めています(BeInCrypto):
- モンテネグロでの拘束期間(約2年)を考慮すべき
- 崩壊の一部は第三者による攻撃が原因
- 顧客資金の個人的横領はしていない(FTXのSBFとは異なる)
- 証人妨害や贈収賄の罪はない
SBF、セルシウスとの比較──仮想通貨詐欺事件の系譜
ド・クォン事件は、近年の主要な仮想通貨詐欺事件の中でどう位置づけられるのでしょうか。
| 事件 | 主犯 | 被害額(報道ベース) | 判決/求刑 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| テラ崩壊 | ド・クォン | 約400億ドル | 懲役12年求刑 (判決12/11) |
アルゴリズム型ステーブルコイン崩壊 |
| FTX破綻 | SBF | 約80億ドル | 懲役25年 (2024年3月確定) |
顧客資金の不正流用 |
| セルシウス破綻 | アレックス・マシンスキー | 約47億ドル | 司法省が懲役20年提案 (係争中) |
レンディングプラットフォーム崩壊 |
重要なポイント:検察はテラ崩壊の被害規模がFTXとセルシウスを合わせたよりも大きいと主張していますが、SBFの25年刑よりも短い12年を求刑している理由は以下です。
- ド・クォンは顧客資金を個人的に横領していない
- 証人妨害や贈収賄などの追加犯罪がない
- 有罪を認めた(司法取引)
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2025年11月xUSD崩壊──テラの悪夢が再び

歴史は繰り返す──Stream Finance事件
テラ崩壊から3年半後の2025年11月3日、Stream Financeが発行するステーブルコインxUSDが、わずか3日間で70%以上暴落し、一時0.26ドルまで急落する事件が発生しました。
9,300万ドルの損失公表後、約1億6,000万ドルのユーザー資金が凍結。連鎖的に別のステーブルコインUSDXやdeUSDもデペッグを起こし、DeFi市場全体で推定約2億8,500万ドルの波及被害が発生しました(The Block)。
テラとxUSDの恐ろしい類似点
| 共通点 | テラUST(2022年) | xUSD(2025年) |
|---|---|---|
| 担保構造 | 実物資産による担保なし | 不透明(再帰的ループ) |
| 高利回り | 年利20%のAnchorプロトコル | 年利20〜30%のAPY |
| 実質資本 | ビットコイン準備金が不十分 | わずか190万ドルで1,450万ドル規模創出 |
| 崩壊速度 | 数日間 | 3日間 |
| 連鎖被害 | 市場全体が低迷 | USDX、deUSDなど複数崩壊 |
👉:合わせて読みたい【最新ニュース】ステーブルコイン崩壊で大損失!xUSD暴落で露呈したDeFiの構造的リスク
投資家が今すぐ学ぶべき5つの教訓
「高利回り」には必ず裏がある
- 市場平均の2倍以上の利回りは危険信号
- 2025年のDeFiレンディング平均APY:5〜10%
- テラのAnchor:20%、xUSD関連:20〜30%
- →「なぜこの利回りが可能なのか?」を必ず確認
担保構造の透明性を確認する
【安全性の高いステーブルコイン】
- USDT(Tether):米国債、短期社債で100%以上担保
- USDC(Circle):現金と米国債で100%担保、定期監査あり
- DAI(MakerDAO):イーサリアムなど仮想通貨で過剰担保
【危険信号】
- 「アルゴリズム型」と明記
- 担保資産の詳細が不明
- 監査レポートが公開されていない
- TVL(総預かり資産)が短期間で急増
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】2025年注目のステーブルコイン徹底解説|仕組み・メリット・主要銘柄まとめ
過去のデペッグ履歴をチェック
ステーブルコインが過去に1ドルから乖離したことがあるか、その際にどう回復したかは重要な判断材料です。
| ステーブルコイン | 過去の最大デペッグ | 回復実績 |
|---|---|---|
| USDT | 0.95ドル(2022年) | 数時間で回復 |
| USDC | 0.88ドル(2023年SVB危機時) | 数日で回復 |
| DAI | 0.89ドル(2020年) | 数日で回復 |
| テラUST | 0.1ドル以下(2022年) | 回復せず崩壊 |
| xUSD | 0.16ドル(2025年) | 出金凍結継続中(2025年11月8日時点) |
分散投資を徹底する
- 単一のステーブルコインに全資産を集中させない
- 複数のプロトコルに資金を分散
- 「失っても生活に影響しない範囲」で投資
- DeFiレンディングは総資産の10〜20%以内に
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】AAVEとは?DeFi危機で注目のレンディング市場と初心者が知るべき安全性
SNSの噂と不安に敏感になる
テラもxUSDも、崩壊の数日前からSNSで懸念の声が上がっていました。
🚥危険信号のサイン:
- Twitter/Xで「○○からの出金が遅い」という報告が増加
- 大口投資家(クジラ)が資金を引き上げている
- TVLが急激に減少している
- 公式発表で「問題ない」と繰り返し強調
アメリカのステーブルコイン規制が変える未来
2025年に成立したGENIUS法
テラ崩壊やxUSD事件を教訓に、アメリカでは2025年7月18日に「GENIUS法(米国における新規金融商品の出現を統治する法)」が成立しました(SBI金融経済研究所)。
GENIUS法の主なポイント:
- ステーブルコイン発行にライセンス制導入
- 100%以上の準備金保有を義務化
- 定期的な監査と透明性レポートの提出
- アルゴリズム型ステーブルコインへの厳しい規制
- 違反時の重いペナルティ
この法律により、テラのような実物資産による担保を持たないステーブルコインは事実上発行が困難になりました。
👉:合わせて読みたい【最新】トランプ政権が仮想通貨新法可決!GENIUS法でアルトコイン市場に追い風
日本でも規制強化が進行中
日本でも2025年11月7日、金融庁の金融審議会ワーキング・グループで仮想通貨レンディングサービスを金融商品取引法の規制対象とする方向性について議論が行われました。早ければ2026年施行が見込まれています。(Crypto News)。
- 早ければ2026年施行予定
- 海外レンディング破綻を教訓
- 投資家保護と市場育成のバランスを重視
規制は「イノベーションの敵」ではなく、健全な市場を育てるための土台なのです。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】edgeX完全ガイド|安全性とリスク徹底比較!パーペチュアルDEX選び方決定版
まとめ──来たる12月11日の判決が意味するもの
2025年12月11日午前(米国時間)、ポール・A・エンゲルマイヤー判事がド・クォン被告に最終判決を言い渡します。
この判決は単なる一個人への処罰ではなく、仮想通貨業界全体への重要なメッセージとなります。
この事件から学ぶべきこと
- 「高利回り」という甘い言葉の裏には常にリスクがある
- 担保構造が不透明なプロジェクトは避ける
- 分散投資とリスク管理を徹底する
- SNSの評判と市場の動きに敏感になる
- 規制は投資家を守るために存在する
テラ崩壊から3年半。xUSD崩壊からわずか1カ月。歴史は繰り返されています。
しかし、賢明な投資家は歴史から学びます。次の「テラ」を見抜く力を身につけることで、あなたの資産を守ることができるのです。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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