
12月4日、ドバイで開催された「バイナンス・ブロックチェーン・ウィーク2025」で、仮想通貨(暗号資産)業界の巨人と伝統的資産の守護者が正面衝突しました。バイナンス創設者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏と、ゴールド(金)支持派エコノミストとして知られるピーター・シフ氏による公開討論──テーマは「ビットコイン対トークン化ゴールド、どちらが真の価値保存手段か」。約40分に及ぶ討論では、CZ氏がゴールドバーを舞台に持ち出し、検証可能性を巡る議論が白熱しました。この対決の裏には10月から続くX(旧ツイッター)上での激しい論争があり、ついに両者が直接対決する歴史的瞬間が訪れたのです。
本記事で分かること
- CZとピーター・シフの公開討論の全貌とゴールドバー検証シーンの真実
- トークン化ゴールドとビットコインの根本的な違いと投資家へのインパクト
- 2025年のビットコインとゴールドの価格パフォーマンス比較と投資の教訓

発端はX上の論争──10月から始まった「信頼」をめぐる攻防
Arm wrestling starting soon. Getting ready backstage. @PeterSchiff pic.twitter.com/et9eESH0cQ
— CZ 🔶 BNB (@cz_binance) December 4, 2025
シフ氏がトークン化ゴールドプロジェクトを発表、CZは「"信じてくれ"トークンだ」と痛烈批判
この歴史的討論の火種は、2025年10月にX(旧ツイッター)で始まりました。著名なゴールド支持派エコノミストであるピーター・シフ氏が、自身のトークン化ゴールドプロジェクト「TGold.com」を発表したのです。シフ氏は「トークン化により、ゴールドの携帯性、分割可能性、検証の問題がすべて解決される。さらにDeFi(分散型金融)への応用も可能になる」と主張しました。
出典:CoinPost過去記事
ところがこれに対し、バイナンス創設者のCZ氏は容赦ない一撃を放ちます。「それは"信じてくれ(trust me)"トークンだ」──つまり、トークン化ゴールドは第三者保管者への依存と信頼が必要であり、ビットコインのような信頼不要(trustless)な仕組みとは根本的に異なると指摘したのです。
シフ氏もすぐさま反論。「ビットコインは投機的資産に過ぎず、ゴールドのような内在価値を持たない。トークン化ゴールドこそが、何千年もの歴史に裏打ちされた真の価値保存手段だ」と応酬しました。
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論争エスカレート、ついにドバイでの公開討論へ
両者のやり取りはSNS上で加熱し、ついにシフ氏がCZ氏に公開討論を申し込みます。CZ氏はこれを快諾し、12月4日のバイナンス・ブロックチェーン・ウィークでの開催を提案。こうして、仮想通貨業界を代表する起業家と、伝統的資産の信奉者による世紀の対決が実現したのです。
トークン化ゴールドとは?
トークン化ゴールドとは、物理的なゴールド(金)をブロックチェーン上のデジタルトークンとして表現したもの。1トークン=1グラムのゴールドといった形で、実物のゴールドに裏付けられたデジタル資産です。保管庫にゴールドを預け、その証明書としてトークンが発行されます。利点は分割可能性と送金の容易さですが、発行者と保管庫を信頼する必要があるため「中央集権的」と批判されることもあります。
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12月4日ドバイ討論会──CZの「ゴールドバー登場」で検証可能性を巡る議論が白熱
討論のハイライト:キルギスタン産のゴールドバーを持ち出し「これは本物か?」
12月4日、ドバイのコカ・コーラ・アリーナで開催された討論会は、約40分間にわたる白熱したやり取りとなりました。中でも注目を集めたのは、討論開始から約7分後(タイムスタンプ6:58)、CZ氏がキルギスタン産と刻印された1キログラムのゴールドバーを舞台に持ち出したシーンです。
出典:YouTube公式動画
CZ氏はゴールドバーをシフ氏に見せながら、「これが本物のゴールドかどうか確認できますか?」と尋ねました。シフ氏は「色が少し違うように見えるが、専門の設備がなければ確認できない。これは私が知らない造幣局のものだ」と回答。
この瞬間、CZ氏の意図が明確になりました。「物理的なゴールドは真贋確認に高度な設備と専門知識が必要だが、ビットコインはブロックチェーンを通じて誰でも即座に検証できる」──この点を視覚的にアピールしたのです。
CZの主張:「ビットコインは信頼不要で国境のないネットワーク」
討論の中で、CZ氏はビットコインの優位性を次のように説明しました:
| ビットコインの特徴 | CZ氏の主張内容 |
|---|---|
| 検証可能性 | ブロックチェーンで誰でも即座に真贋確認可能。ゴールドは専門設備が必要 |
| 信頼不要 | 中央集権的な発行者や保管庫を必要としない。トークン化ゴールドは第三者への信頼が前提 |
| 実用性 | 国境を越えた送金が数分で完了。世界中で数億人が利用 |
| 希少性 | 2,100万枚の供給上限が数学的に保証されている |
特にCZ氏が強調したのは、ビットコインが「コード(プログラム)による信頼」を実現している点です。「トークン化ゴールドは結局、"このゴールドは保管庫に本当にあります"と信じるしかない。でもビットコインは、コードとブロックチェーンが透明性と検証可能性を保証している」と述べました。
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シフ氏の反論:「ゴールドは何千年も価値を保ち続けてきた」
一方のシフ氏も負けていません。彼はゴールドの「内在価値」と「歴史的信頼性」を武器に、こう反論しました:
- 産業用途の存在:ゴールドは電子機器や医療機器、宝飾品として実需がある。ビットコインには物理的用途がない
- 時代を超えた信頼:ゴールドは何千年も前から価値保存手段として使われてきた実績がある
- 価格の実需基盤:中央銀行がゴールドを準備資産として保有し続けており、これが需要を支えている
シフ氏は「ビットコインは投機的なバブルであり、その価値は"誰かがもっと高く買ってくれる"という期待に依存している。ゴールドは違う。数千年の歴史が証明している」と主張しました。
2025年の価格パフォーマンス──データが示す「ゴールドの圧勝」という現実

ゴールドは年初来+52%、ビットコインは年初来マイナス圏
討論の中でシフ氏が強調したポイントの一つが、2025年における両資産のパフォーマンス比較です。そして、データはゴールドの圧倒的優位性を示しています。
出典:Trading Economics | StatMuse Bitcoin Data
| 資産 | 2025年のパフォーマンス(12月5日時点) | 直近1ヶ月の動き |
|---|---|---|
| ゴールド | 年初来 +約61% | +6.2%〜7.0%(11月比) |
| ビットコイン | 年初来 約-1〜2% | -17.5%(11月比) |
2025年は、多くの専門家が「ビットコイン半減期後の強気相場」を予想していましたが、蓋を開けてみると見事に外れました。ゴールドは10月に1オンスあたり4,381ドルの史上最高値を記録し、年間で約61%の上昇を達成。一方、ビットコインは1月に約9万4千ドルでスタートしたものの、12月には9万ドル台前半まで下落し、年初来リターンは約-1〜2%のマイナス圏に沈んでいます。
出典:MarketWatch Gold Futures | Economic Times
討論でシフ氏が示した「過去4年間の比較」も事実
討論の中で、シフ氏は「過去4年間で、ビットコインはゴールド建てで40%下落した」と主張しました。この主張は事実です:
- 2021年11月(4年前):ビットコイン1BTCで37.2オンスのゴールドが買えた
- 2025年12月4日:ビットコイン1BTCで22.15オンスのゴールドしか買えない
- 下落率:約40%
出典:YouTube討論トランスクリプト(タイムスタンプ25:26〜25:48)
なぜゴールドがビットコインに勝っているのか?3つの要因
複数のアナリストが指摘する、2025年にゴールドがビットコインを上回った理由は以下の通りです:
-
地政学リスクの高まり:中東情勢の緊迫化や米中対立の激化で、「安全資産」としてのゴールドに資金が集中した
-
FRBの利下げ観測:米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測がゴールド価格を押し上げた一方、ビットコインは大口投資家の売りで圧迫された
-
流動性と取引環境:ゴールド市場の方が流動性が高く、機関投資家にとって取引しやすい環境が整っている
特に注目すべきは、ビットコインの大口保有者(クジラ)が8月から3カ月連続で売却を続けている点です。1万BTC以上を保有するクジラが売り続ける一方、1,000BTC未満の小口投資家は買い増しを続けており、市場の「大分断」が起きています。
クジラ(Whale)とは?
仮想通貨市場において大量の資産を保有する大口投資家のこと。ビットコインの場合、1万BTC以上(約14,000億円相当)を保有する投資家を指すことが多い。クジラの売買は市場に大きな影響を与えるため、その動向が注目されます。
討論が投資家に示した3つの重要な教訓
結論は出ず、しかし「哲学の違い」が浮き彫りに
約40分に及ぶ白熱した討論は、明確な勝者を決めることなく終了しました。しかしこの討論が浮き彫りにしたのは、投資哲学の根本的な違いです:
| CZ氏(ビットコイン派) | シフ氏(ゴールド派) |
|---|---|
| 「コードによる信頼」を重視 | 「歴史による信頼」を重視 |
| デジタルネイティブ、国境を超えるグローバルネットワーク | 物理的実体、産業用途の存在 |
| イノベーションと未来志向 | 伝統と安定性志向 |
投資家が学ぶべき3つの教訓
この討論から、私たち投資家が学ぶべきポイントは以下の通りです:
✅ 短期と長期の視点を分ける:2025年はゴールドが優位だが、過去15年で見ればビットコインのリターンは圧倒的。投資期間によって最適解は変わる
✅ 分散投資の重要性:ビットコインもゴールドも、それぞれ異なるリスク・リターン特性を持つ。どちらか一方に賭けるのではなく、両方を保有することでポートフォリオのバランスを取る
✅ 検証可能性vs実体性の価値:デジタル資産の「透明性」と物理資産の「実需」、どちらにも一長一短がある。自分の投資スタイルと目標に合った資産を選ぶ
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まとめ──デジタルvs物理、価値保存手段の未来を考える
12月4日にドバイで繰り広げられたCZ氏とシフ氏の討論は、単なるエンターテインメントを超えて、投資家に重要な問いを投げかけました。「真の価値保存手段とは何か?」──その答えは、時代とともに変化するかもしれません。
ゴールドは何千年もの歴史を持つ実績ある資産であり、2025年も見事な上昇を見せました(年初来+約61%)。一方、ビットコインは誕生から16年の若い資産で、2025年は苦戦していますが、過去15年の累積リターンでは依然として驚異的なパフォーマンスを記録しています。
どちらが「正しい」のかを決めるのではなく、両者の特性を理解し、自分の投資目標とリスク許容度に合わせて選択することが賢明でしょう。そして今回の討論が示したように、対立だけでなく「共存」の視点も重要なのかもしれません。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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