
12月3日午後9時49分(UTC)/ 12月4日午前6時49分(日本時間)、イーサリアムが2025年2回目となる大型アップグレード「Fusaka(フサカ)」を実装完了しました。最大の目玉はPeerDAS(Peer Data Availability Sampling)で、レイヤー2のデータ処理能力を段階的に拡大し、理論上は最大8倍のブロブ容量を実現する基盤が整いました。アナリストたちは「Pectraの20〜30%上昇を超える可能性」と期待を寄せています。このアップグレードは仮想通貨(暗号資産)市場にどのような影響を与えるのでしょうか?
本記事で分かること
- イーサリアムFusakaアップグレードの全貌と技術的詳細
- レイヤー2手数料削減の仕組みと段階的な容量拡大計画
- 市場への影響と今後の価格シナリオ(複数要因の検証)

イーサリアム「Fusaka」アップグレードが無事完了

エポック411392で正式稼働、約15分で最終確定
イーサリアム財団の公式発表によると、Fusakaアップグレードは2025年12月3日21時49分11秒(UTC)、エポック411392において正式に稼働しました。約15分後に最終確定され、コアデベロッパーたちがEthStakerのライブストリームで実装完了を祝いました。
今回のアップグレードは、イーサリアムにとって2025年2回目の主要プロトコル変更です。5月に実施された「Pectra(ペクトラ)」に続く大規模改善であり、イーサリアムが1年に2回も大型アップグレードを成功させたことは、ネットワークの開発速度が大幅に加速している証拠と言えます。
Fusakaという名称は、カシオペア座の恒星「Fulu(フル)」とDevcon Vが開催された都市「Osaka(大阪)」を組み合わせたものです。イーサリアムでは、実行レイヤーのアップグレードにはDevcon開催都市名を、コンセンサスレイヤーには星の名前を使う伝統があります。
Fusaka is live on Ethereum mainnet!
- PeerDAS now unlocks 8x data throughput for rollups
- UX improvements via the R1 curve & pre-confirmatons
- Prep for scaling the L1 with gas limit increase & moreCommunity members will continue to monitor for issues over the next 24 hrs.
— Ethereum (@ethereum) December 3, 2025
「Fusaka」の最重要機能:PeerDAS(Peer Data Availability Sampling)
今回のアップグレードの目玉は、間違いなくPeerDAS(EIP-7594)です。
これまでイーサリアムのバリデーター(検証者)は、レイヤー2が提出する「ブロブデータ」全体をダウンロードして検証する必要がありました。しかしPeerDASは、ブロブデータを小さなセル(断片)に分割し、各ノードは全体のわずか1/8だけをサンプリングして検証できる仕組みです。
イーサリアム財団は公式ブログで、PeerDASについて次のように説明しています:
「PeerDASは消去符号化を用いてノードがブロブデータの一部をサンプリングするだけで済むようにし、同時に完全なデータがネットワーク全体で利用可能であることを暗号学的に保証します。これにより、現在の上限を超えてブロブ目標値を引き上げる道筋を作ります」
ブロブとは?
ブロブ(Blob)とは、レイヤー2がイーサリアムのメインネットに提出する取引データのパッケージです。2024年3月の「Dencun」アップグレードで導入され、レイヤー2のコスト削減に大きく貢献しました。Fusakaはこのブロブ処理能力をさらに拡大させます。
レイヤー2手数料削減の仕組み
理論上最大8倍、段階的に実装するBPOフォーク
PeerDASにより、理論上は現在の約8倍のブロブ容量まで引き上げが可能になります。ただし、これは即時に実現するわけではなく、ネットワークの安定性を確認しながら段階的に拡大していく計画です。
Fusakaの実装後、イーサリアムはBPO(Blob Parameter Only)フォークと呼ばれる小規模アップグレードを複数回実施します。これは通常の大型アップグレードを待たずに、ブロブパラメータだけを調整できる画期的な仕組みです。
| アップグレード | 実施日時(UTC) | ブロブ目標値 | ブロブ最大値 |
|---|---|---|---|
| Dencun(2024年3月) | - | 3 | 6 |
| Fusaka実装 | 2025年12月3日 | 6 | 9 |
| BPO1 | 2025年12月9日 | 10 | 15 |
| BPO2 | 2026年1月7日 | 14 | 21 |
| 理論上の最大値 | 将来的に段階実施 | 48 | 72 |
イーサリアム財団の技術解説によると、最終的な理論上の目標はブロブ目標値48、最大値72ですが、これは将来的に段階的に引き上げられる数値です。各段階で開発者がネットワークの健全性を監視しながら慎重に拡大していきます。Ethereum.org
レイヤー2手数料削減の見込み──アナリスト試算では40〜60%
複数のブロックチェーン分析企業や取引所のリサーチレポートによると、FusakaとBPOフォークの組み合わせにより、レイヤー2のデータ(ブロブ)コストは大幅に低下すると予測されています。
CoinGeckoやOptimismなどの分析では、以下のような改善が見込まれています:
✅ 取引データ投稿スペースが3.5倍に拡大(BPO1実装後)
✅ ブロブ手数料が40〜60%低下(複数のモデル試算)
✅ 取引処理速度が「ほぼ即時」に(事前承認技術の導入)
ただし、40〜60%という数値は外部アナリストによるモデル試算であり、実際の手数料削減幅は市場の需給バランスやネットワークの利用状況に依存します。イーサリアム財団自身は「手数料低下の余地ができる」と述べていますが、具体的なパーセンテージは明示していません。CoinGecko
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開発者向けの新機能:パスキー対応とガス上限引き上げ
Fusakaは、ユーザー体験を大幅に改善する機能も搭載しています。
① secp256r1プリコンパイル(EIP-7951)
AppleのSecure Enclave、Android Keystore、FIDO2/WebAuthn対応デバイスとの直接統合が可能になります。これにより、Face IDや指紋認証でイーサリアムの取引に署名できるようになります。シードフレーズを管理する必要がなくなるため、一般ユーザーにとってのハードルが大幅に下がります。
② ガス上限の引き上げ(EIP-7935)
ブロックガス上限が4,500万から6,000万に引き上げられました。これは約33%の処理能力向上を意味し、より複雑なスマートコントラクトやバッチ処理が可能になります。
③ トランザクションガス上限設定(EIP-7825)
個別の取引ガス上限を1,677万に設定し、極端に大きな取引がネットワーク全体を圧迫するのを防ぎます。これにより、DoS攻撃へのリスクが軽減されます。
ビットコイン急騰とFusaka──複数要因が重なった市場回復

BTC8.3万ドルから9.3万ドルへ──マクロ要因との複合的影響
CoinPost市況レポートによると、12月2日に8万3,000ドル台まで急落していたビットコインが、12月3〜4日にかけて9万3,000ドル付近まで約1万ドル急騰しました。
ただし、この価格変動はFusaka単独の影響ではなく、複数のマクロ経済要因が同時に作用した結果と考えられます。主な要因は以下の通りです:
✅ イーサリアムFusaka実装成功による市場センチメント改善
✅ FRB次期議長に仮想通貨友好的なハセット氏就任の可能性報道
✅ 日本銀行のタカ派姿勢後退による円安進行
✅ 中国PMI指標の弱含みによる安全資産需要の高まり
✅ 米国とベネズエラの軍事的緊張
複数の市場分析記事(CoinDesk、Investing.com等)は、ビットコインの回復が「マクロショックからの立ち直り」「FRBの政策期待」「日銀の姿勢変化」など複数の要素によるものと指摘しています。CoinDesk
⚠️重要な注意点: Fusakaの実装成功は仮想通貨市場全体へのポジティブセンチメントを生み出した可能性はありますが、ビットコインの価格変動を単一の要因に帰することは過度な単純化です。
Pectra後の価格上昇実績──20〜30%の上昇を記録
5月のPectraアップグレード後、イーサリアム価格がどの程度上昇したかについて、複数の報道機関が以下のように報じています:
- CoinDesk: 「Pectra実装後、ETHは約20%上昇し、2,200ドルを超えた」
- Crypto.com: 「5月8日、Pectra後にETHは21%急騰し、2021年5月以来最大の日次上昇を記録」
- Yahoo Finance: 「Pectraは数日間で30%超の価格上昇を引き起こした」
これらの報道から、Pectraアップグレード後の短期的な価格上昇は20〜30%程度だったことが確認できます。
一部のアナリスト(例:MerlijnTrader氏)は「Pectraが58%押し上げた」と主張していますが、これは個人の見解であり、主要メディアの報道とは数値が異なります。58%という数値は中長期的な上昇幅を含めた独自の見解と考えられます。The Block
今後の価格シナリオ──オプション市場が示す10万ドル目標
CoinPostのX-Bankクリプトアナリスト・仮想NISHI氏の分析によると、オプション市場ではプット・コールレシオが低下しており、市場心理は強気に傾いています。
重要なのは、10万ドルのコールポジションが最大建玉となっている点です。市場参加者の中心的な見立ては、10万ドル付近が上昇の目標値となっています。
一方、下値は8万5,000ドルおよび8万ドル水準のプットポジションが支持線として機能する見込みです。CoinPost
プット・コールレシオとは?
プット・コールレシオとは、オプション市場で「売る権利(プット)」と「買う権利(コール)」のどちらが多く取引されているかを示す指標です。
計算式: プット取引量 ÷ コール取引量
- 1.0より小さい → コール(買い)が多い → 投資家は「価格上昇」を予想
- 1.0より大きい → プット(売り)が多い → 投資家は「価格下落」を予想
例えば、この数値が「1.2から0.8に低下」した場合、「売り予想から買い予想に転換した」ことを意味します。つまり市場心理が弱気から強気に変わったサインとなります。
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今後の展望:次のアップグレードとイーサリアムの未来
Fusakaは「The Surge」ロードマップの一部
イーサリアムは、創設者ヴィタリック・ブテリン氏が提唱する長期ロードマップ「The Surge」に沿って開発が進められています。その目標は、レイヤー1とレイヤー2を合わせて10万TPS(秒間取引数)以上を実現することです。
Fusakaは、この野心的な目標に向けた重要なステップです。PeerDASによってブロブ容量を段階的に拡大できる基盤が整ったことで、イーサリアムは将来的にさらに高いスループットを実現できる可能性が高まりました。
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次期アップグレード「Glamsterdam」の行方
CoinDeskによると、開発者たちはすでに次の大型アップグレード「Glamsterdam」のスコープ策定を開始しています。ただし、具体的な実施時期や内容はまだ確定していません。
重要なのは、イーサリアムが1年に2回の大型アップグレードというペースを維持できたことです。これは、2024年までの「遅延が常態化していた開発体制」から大きく脱却したことを意味します。
Fidelity Digital Assetsは11月に公開したレポートで、Fusakaを「より戦略的に整合し、経済的に一貫性のあるロードマップへの決定的な一歩」と評価しています。CoinDesk
ノード運営者への影響:分散性を維持しながらスケール
Fusakaの特筆すべき点は、ネットワーク容量を拡大しながらも、個人がノードを運営しやすい環境を維持していることです。
PeerDASにより、フルノードが保存するブロブデータは全体の1/8に削減されます。ダウンロード帯域幅も約80%削減される見込みです。ただし、ソロステーカーのアップロード帯域幅は2〜3倍増加し、将来的には5倍になる可能性があります。
それでも、イーサリアム財団は「データセンター級のハードウェアがなくてもノード運営が可能」と強調しています。分散性を犠牲にせずにスケールする──これこそがイーサリアムの哲学です。
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まとめ:仮想通貨市場全体への追い風
イーサリアムのFusakaアップグレードは、仮想通貨市場にとって歴史的な転換点となりました。
✅ PeerDASによる段階的な容量拡大(理論上最大8倍)
✅ レイヤー2手数料の推定40〜60%削減(アナリスト試算)
✅ パスキー対応による一般ユーザーへの普及加速
✅ ビットコイン急騰の一因にも(複数マクロ要因が重なった結果)
5月のPectraに続き、1年に2回の大型アップグレード成功は、イーサリアムの開発速度が劇的に加速していることを証明しました。Pectra後の20〜30%上昇実績を踏まえ、市場アナリストたちは今回も同等以上の上昇を期待しています。
レイヤー2のコスト削減は、DeFi、NFT、ゲーム分野への普及を大きく後押しするでしょう。そして何より、イーサリアムが「分散性を維持しながらスケールする」という難題に正面から挑戦し続けている姿勢は、仮想通貨業界全体への希望となっています。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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