
11月19日、ビットコインは一時8.85万ドルまで急落し、市場には恐怖が広がりました。しかしその裏で、クジラ(大口投資家)たちの動きが今年最大規模に急増していたのです。市場分析プラットフォームのサンティメントによると、今週のクジラ取引は2025年で最も活発なペースとなる可能性があり、10万ドル以上の取引が10万2000件超、100万ドル以上の取引が2万9000件超も確認されています。さらにブロックチェーン分析のグラスノードデータでは、1000BTC以上を保有するウォレット数が4カ月ぶりの高水準に達しました。一体、大口投資家は何を見ているのでしょうか?
本記事で分かること
- クジラ取引が今年最大規模に急増した具体的データと背景
- 1000BTC以上保有アドレス増加が示す市場の底打ちシグナル
- 個人投資家が今取るべき行動と3つのシナリオ別戦略

クジラ取引が2025年最大規模に急増──数字が語る「異変」

今週だけで13万件超の大口取引を記録
市場分析プラットフォームのサンティメントは11月19日、ビットコインが9万ドルを割り込む中で、クジラによる大口取引が今年最多ペースで急増していると報告しました。
具体的な数字を見てみましょう:
| 取引規模 | 取引件数 | 金額換算(概算) |
|---|---|---|
| 10万ドル以上 | 10万2000件超 | 約102億ドル以上 |
| 100万ドル以上 | 2万9000件 | 約290億ドル以上 |
| 合計 | 13万1000件超 | 約392億ドル以上 |
この数字がどれほど異常かというと、通常の週では10万ドル以上の取引は数万件程度にとどまります。今週はその3倍以上のペースで大口取引が行われているのです。
サンティメントは次のように述べています:
「今週は2025年で最もクジラの活動が活発な週となる可能性が高い。最近のクジラの動きは"売り"から徐々に"買い集め"へと転換しつつある」
ただし、ここで重要な注意点があります。サンティメントの「クジラ取引」指標は、ブロックチェーン上での大口資金移動の件数を計測したものです。つまり「クジラが活発に動いている」ことは確実ですが、それが売りなのか買いなのかは、この指標だけでは判断できません。
オンチェーン指標の限界とは?
👉:合わせて読みたい【オンチェーンデータ】買い時か、逃げ時か──2025年ビットコインの未来を決める2つの事実とは?
流れは変わったのか?
当ブログでも11月9日に「ビットコイン市場で進む『大分断』クジラは売り続け、小口は買い増す異常事態」という記事を公開しました。その時点では、1万BTC以上を保有するクジラが8月から3カ月連続で売却を続けていました。
しかし今回のデータは、その流れに変化が起きている可能性を示唆しています。では、「買い集め」が本当に起きているのか、より確実なデータで検証してみましょう。
クジラとは?
クジラ(Whale)は、仮想通貨(暗号資産)市場で大量の資産を保有する大口投資家のこと。一般的に1000BTC以上を保有するアドレスを指し、その売買行動は市場全体に大きな影響を与えます。
グラスノードデータが裏付ける「買い集め」の実態
1000BTC以上保有アドレスが4カ月ぶりの高水準
ブロックチェーン分析プラットフォームのグラスノードによると、1000BTC以上を保有するウォレット(クジラウォレット)の数が急増しています。
11月17日時点でクジラウォレット数は1,436に達し、これは7月以来の高水準です。わずか1週間で2.2%増加しており、10月末からは一貫して増加が続いています。
| 期間 | クジラウォレット数 | 変化 |
|---|---|---|
| 10月末 | 約1,350 | - |
| 11月10日 | 約1,380 | +30 |
| 11月17日 | 1,436 | +56 |
| 累計増加 | +86ウォレット | +6.4% |
これは何を意味するのでしょうか?
クジラウォレット数の増加は、以下の2つの可能性を示します:
- 新規の大口投資家が市場に参入している
- 既存の中堅保有者が買い増して1000BTC以上のクジラになった
いずれにしても、大口レベルでの保有量が増えていることは確実です。これはサンティメントの「取引活発化」データと組み合わせると、「下落局面でクジラが買い集めている可能性が高い」という解釈を支持します。
取引所からの資金流出も増加傾向
さらに複数のオンチェーン分析レポートによると、11月中旬以降、取引所からの純流出(取引所から出ていく資金が入ってくる資金を上回る状態)が確認されています。
取引所から資金を引き出すということは、「すぐには売らない」という意思表示です。大口投資家が長期保有の姿勢を強めている可能性を示唆しています。
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なぜクジラは今、動き始めたのか?──4つの理由

理由①:エヌビディア好決算でAIバブル崩壊懸念が後退
11月19日、半導体大手エヌビディアが第3四半期決算を発表し、売上高570億ドル(前年同期比62%増)という予想を上回る結果を報告しました。
ここ数週間、AI関連の投資熱が過熱しすぎて「バブルが弾けるのではないか」という懸念が広がり、テック株が売られていました。この流れでリスク資産である仮想通貨(暗号資産)も連動して下落していたのです。
しかしエヌビディアの好決算により、AI需要が依然として健全で成長が続いていることが証明されました。「バブル崩壊」という最悪のシナリオが遠のいたことで、市場にも安心感が戻ったのです。
エヌビディアの株価は時間外取引で5%上昇し、それに連動してビットコインも8.85万ドルから9.15万ドルへと反発しました。
理由②:テクニカル的に重要な底値圏に到達
チャート分析の観点からも、ビットコインは重要な価格帯に到達していました。
- 8.8万~9万ドル:多くのアナリストが指摘する強力なサポートライン
- 200日移動平均線:約8.7万ドル付近で推移
- NVT比率:11月中旬に低下し「割安シグナル」を点灯
仮想通貨取引所スウィフトXのリードアナリスト、パブ・フンダル氏はコインテレグラフの取材に対し、こう語っています:
「エヌビディアの好決算を受けてBTCが反発したことから、クジラも個人投資家も買いに動いているようだ。スウィフトXの注文板では、序盤の取引で買い10に対して売り1という記録的な比率となり、通常の3対1を大きく上回った。投資家は押し目を買っている」
この「買い10:売り1」という比率は、取引所の注文板における一時的な状況を示したものですが、市場参加者の心理が買い優勢に傾いていることを示す一つの指標と言えるでしょう。
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理由③:機関投資家の見方が「底入れ」に転換
複数の機関投資家やアナリストが、ビットコインの底入れを示唆し始めています。
ビットワイズ・アセット・マネジメントの欧州マネージングディレクター、ブラッドリー・デューク氏は11月19日のX投稿で、次のようにコメントしています:
「恐怖に陥る投資家が多い一方で、BTCクジラの数は直近で急増している。大口保有者は冷静さを保ち、パニック売りから安値で買い集めている。耐えるべき時だ」
またスタンダードチャータード銀行も11月18日のレポートで、「ビットコインの調整は終了に近づいており、年末に向けた上昇がベースシナリオ」と分析しています。
理由④:短期保有者の「ふるい落とし」が完了
投資会社マルチコイン・キャピタルの共同創業者トゥシャール・ジェイン氏は、今回の下落を「必要なリセット」と位置づけています。
「市場には大口の強制売りが入っているように見える。特定の時間帯に体系的な売りが出ている。10月10日の大量清算の余波だろう。この規模の強制売りが長く続くとは考えにくい」
また同氏は別の投稿で次のようにも述べています:
「ここ数週間で短期保有者の前例のない"ふるい落とし"が起きた。データを見る限り、この調整は機械的な洗い出しであり、必要なリセットだ」
実際、オンチェーンデータでは短期保有者(購入後155日未満の保有者)の損失実現が急増しています。これは「弱い手」が市場から退出したことを意味し、クジラにとっては絶好の買い場となった可能性があります。
短期保有者とは?
個人投資家は今、何をすべきか?──3つのシナリオ別戦略
シナリオ①:積極的に買い増したい投資家
クジラの動きに注目し、押し目買いを検討するシナリオです。
| メリット | リスク | 推奨行動 |
|---|---|---|
| 底値圏で仕込める可能性 | さらなる下落リスク | 分散買付(DCA) |
| 年末ラリーに乗れる可能性 | 8.5万ドル割れの可能性 | 8.8~9.2万ドルで段階的購入 |
| クジラと同じタイミング | 資金拘束期間の長期化 | 余剰資金の範囲内で |
推奨する買付戦略:
- 9万ドル付近で投資予定額の30%
- 8.7万ドルで30%
- 8.5万ドルで残り40%
このように段階的に買い下がることで、平均取得単価を下げつつリスクを分散できます。
シナリオ②:様子見を続けたい慎重派
もう少し明確なシグナルが出るまで待ちたい投資家向けです。
待つべき明確なシグナル:
- ✅ ビットコインが9.5万ドルを明確に突破
- ✅ 1週間以上9.5万ドル以上で安定推移
- ✅ 出来高を伴った上昇トレンド確立
- ✅ クジラウォレット数がさらに増加継続
このシナリオのメリットは「失敗のリスクを減らせる」こと。デメリットは「底値では買えない」ことです。しかし、確実性を重視するならこの選択肢も合理的です。
シナリオ③:リスク回避で現金比率を高めたい投資家
まだ下落が続く可能性を重視し、現金比率を高めるシナリオです。
警戒すべきシグナル:
- ❌ 8.5万ドルを明確に下抜け
- ❌ クジラウォレット数が再び減少に転じる
- ❌ 取引所への純流入(売り圧力)が増加
- ❌ 短期保有者の損失実現がさらに加速
このシナリオを選ぶ場合、8.5万ドルを「損切りライン」として設定し、それを割ったら一旦撤退という明確なルールを持つことが重要です。
重要:感情ではなくデータで判断する
どのシナリオを選ぶにしても、感情的な判断は禁物です。
| ❌ 感情的判断 | ✅ データに基づく判断 |
|---|---|
| 「怖いから全部売る」 | クジラ動向とオンチェーンデータを確認 |
| 「みんな買ってるから買う」 | 自分のリスク許容度を確認 |
| 「必ず上がるから全力買い」 | 分散投資と損切りラインを設定 |
市場は常に不確実です。しかし今回のように「クジラウォレット数が急増している」「大口取引が活発化している」という明確なデータがあるときは、少なくとも「大口投資家が底だと判断している可能性がある」という事実を知った上で判断できます。
ただし、データは「事実」を示しますが「未来」を保証するものではありません。最終的な投資判断は、ご自身のリスク許容度に基づいて行ってください。
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まとめ:クジラの動きが示す「転換の可能性」に注目せよ
ビットコインが9万ドルを割り込み、市場には恐怖が広がりました。しかしその裏で、クジラたちは今年最大規模の取引を行っていました。10万ドル以上の取引が10万2000件超、1000BTC以上を保有するウォレットは1,436と4カ月ぶりの高水準に達しています。
エヌビディアの好決算でAIバブル崩壊懸念が後退し、テクニカル的にも重要な底値圏に到達。機関投資家も「調整終了」を示唆し始めています。これらすべてが、相場転換の可能性を示唆しているのです。
ただし、まだ確実ではありません。8.5万ドルを割り込めば、さらなる下落の可能性もあります。重要なのは、自分のリスク許容度に合わせて、感情ではなくデータに基づいて判断することです。クジラの動きは一つのシグナルに過ぎませんが、無視できない重要なシグナルです。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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