
2025年11月3日、仮想通貨(暗号資産)業界に激震が走りました。DeFi(分散型金融)プロジェクト「Stream Finance」が発行するステーブルコインxUSDが、わずか3日間で70%以上暴落し、一時0.26ドル前後まで急落したのです。事の発端は、Stream Financeが外部ファンドマネージャーによる9,300万ドル(約130億円)の損失を公表したこと。これを受けて連鎖し、ビットコインが一時10万ドルを割り込むなど、市場全体に信用不安を広げており、11月8日現在も収束していません。
本記事で分かること
- xUSD崩壊の詳細と波及した被害規模
- DeFi市場を動かす「キュレーター」の実態
- 日本の規制強化との関連性

⚠️ 最新状況(2025年11月8日現在)
本記事で報じた事件は現在も進行中です。xUSDの出金は依然として凍結されており、補償計画も未発表です。deUSDについてはElixirによるUSDC補償が進行中ですが、完了していません。注意喚起が必要なため、11月8日時点での情報記事となります。
Stream Finance事件の全容:9,300万ドル損失から連鎖崩壊へ

何が起きたのか
Stream Financeは、ユーザーの預金を外部ファンドマネージャーに運用委託していましたが、11月3日にその運用で約9,300万ドルの損失が発生したことを公表。同時にすべての出入金を停止し、約1億6,000万ドルのユーザー資金が凍結されました。
この発表を受けて、Stream Financeが発行するステーブルコインxUSDへの信用が崩壊。本来1ドル=1xUSDであるべきところ、わずか3日間で最安値0.16ドルまで急落しました。
問題はこれだけにとどまりませんでした。xUSDは複数のDeFiレンディングプロトコルで担保として利用されており、その崩壊は連鎖的に他のプロトコルへと波及。別のステーブルコインUSDXやdeUSDもデペッグ(価格乖離)を起こし、DeFi市場全体が流動性危機に陥ったのです。
補足
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事件のタイムライン
| 日時 | 出来事 | 市場への影響 |
|---|---|---|
| 11月3日 午後 | Stream Financeが9,300万ドル損失を公表、出入金停止 | xUSD価格が1.26ドル→0.80ドルへ急落 |
| 11月4日 | 0.26ドル前後まで急落*、1億6,000万ドルの預金凍結 | 複数のプロトコルで流動性危機 |
| 11月5日 | USDX(別のステーブルコイン)も連鎖デペッグ | 1.00ドル→0.60ドルへ下落 |
| 11月6日 | Lista DAOがUSDX担保の緊急清算実施 | 一部プール金利が800%超に |
* 報道により0.18〜0.30ドルと幅あり
出典:Yahoo Finance / CryptoRank
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危険な「再帰的ループ」の実態
今回の事件で最も問題視されているのが、Stream Financeが行っていた「再帰的ループ投資」です。オンチェーン分析により以下が判明しました。
- 実質的な自己資金:約190万ドル(約2.7億円)
- 生成されたxUSD:約1,450万ドル(約20億円)
- レバレッジ倍率:約7.6倍
これは同じ資産を担保にして何度も借入を繰り返す手法で、見かけ上の資産は膨張しますが、わずかな価格変動で連鎖的に崩壊する極めて脆弱なシステムです。わずか190万ドルの自己資本で1,450万ドル規模の市場を作り出していたのです。
再帰的ループとは?
波及した被害規模:推定2億8,500万ドル
DeFi調査グループ「YAM」の分析によると、Stream関連の債務露出は複数プロトコル全体で約2億8,500万ドル規模に達していると推定されています。
| プロトコル | 推定エクスポージャー | 主な問題 |
|---|---|---|
| Elixir | 約6,800万ドル | deUSDの廃止を決定 |
| Morpho | 数千万ドル規模 | 複数Vaultで高利用率に |
| Euler | 数千万ドル規模 | 清算機能に支障 |
| 合計 | 約2億8,500万ドル | 間接露出を含む推計値 |
出典:The Block
注:この約2億8,500万ドルは推定値であり、直接凍結されたのはStream自体の約1億6,000万ドルです。
連鎖崩壊:USDXとdeUSDも巻き添えに
USDXの緊急事態
xUSD崩壊の影響は、別のステーブルコインUSDXにも波及しました。USDXはStable Labsが発行する合成ステーブルコインで、11月5日に1.00ドルから0.60ドルまで急落。
Lista DAOは11月6日、緊急ガバナンス投票を実施し、USDX担保ポジションの強制清算を決定。一部のレンディングプールでは金利が800%を超える異常事態が発生しました。
出典:ForkLog
deUSDの完全崩壊
さらに深刻だったのが、Elixirプロトコルが発行するdeUSDです。StreamはdeUSDの残存供給量の約90%(約7,500万ドル相当)を保有していましたが、返済やポジションクローズを行わなかったため、deUSDは1.5セント(0.015ドル)まで暴落。
Elixirは11月7日、deUSDのサポートを完全に停止することを発表しました。
次の標的は?USDeへの懸念
市場が注目するUSDe
xUSD、USDX、deUSDと連鎖的な崩壊が続く中、市場の関心は次のターゲットとしてUSDe(Ethena Labs発行)に向かっています。
USDeが注目される理由は明確です。
- 高い利回り:15〜30% APYを提供
- 急速な成長:2024年ピーク時にTVL約149億ドル
- レンディング市場での利用:約5億ドルが流入
- 急激な縮小:2025年11月時点でTVL約91億ドル(-39%)
TVLの急減は、市場に不安心理が広がっている証拠です。
TVLとは?
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xUSDとUSDeの決定的な違い
ただし、重要なのはUSDeとxUSDは根本的に異なるという点です。
| 要素 | xUSD | USDe |
|---|---|---|
| 担保構造 | 不透明(再帰的ループ) | 明確(ETH/BTCの現物) |
| 収益源 | 不明瞭な「外部運用」 | ファンディングレート |
| レバレッジ | 7.6倍以上 | 実質1倍(デルタニュートラル) |
| 透明性 | 極めて低い | 高い(リアルタイムダッシュボード) |
USDeは2025年10月10日の市場暴落時に、24時間で約20億ドルの償還を滞りなく処理した実績があり、基本メカニズムは健全と評価されています。
デルタニュートラル戦略とは?
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それでも残る3つの懸念
構造的には健全なUSDeですが、市場アナリストは以下の懸念を指摘しています。
- 間接担保リスク:キュレーターがxUSD等を担保にUSDeを借入→清算によるUSDe売却圧力
- ループ解消リスク:USDeを使った再帰的レバレッジ戦略の一括巻き戻し
- 信用不安の連鎖:「高利回りステーブルコイン=危険」という市場心理の拡大
現時点では、USDeへの直接的な影響は限定的ですが、市場心理の悪化による予防的な償還が続く可能性があります。
「キュレーター」という新しい中央集権

DeFiの運用を担うプロ集団
今回の事件で注目されているのが、「Curator(キュレーター)」と呼ばれる存在です。彼らはDeFiで複数のプロトコルを組み合わせて高利回りの運用戦略を提供するプロフェッショナル管理者。
MorphoなどのプラットフォームでVault(運用プール)を設計・管理し、リスクパラメータの設定から資産配分まで幅広い権限を持っています。主要キュレーターには以下があります。
- Steakhouse Financial:約15.6億ドル管理(Morpho内シェア約32.5%)
- Gauntlet:約11.4億ドル管理(同約34%)
- MEV Capital、Re7 Labs:各数億ドル規模
主要レンディングプロトコル内では高いシェアを占めており、その影響力は無視できません。
レンディングとは?
利益相反を生む報酬体系
キュレーターのビジネスモデルには構造的な問題があります。
- パフォーマンスフィー:運用益の5〜50%
- 管理手数料:TVLの年率0〜5%
- 損失時のペナルティ:基本的になし
つまり、「元本はユーザー、利益は分配、損失もユーザー」という非対称構造です。今回、複数のキュレーターがxUSD市場に資金を投入した背景には、20〜30%という市場平均の2〜3倍のAPYへの魅力がありました。
オラクル更新遅延が清算を麻痺させた
Stream Finance事件で深刻な問題となったのが、オラクル(価格情報源)の更新遅延です。xUSDが0.16ドルまで暴落したにもかかわらず、一部プロトコルでは価格反映が遅れ、適切な清算が行われませんでした。
この結果、不良債権リスクが蓄積し、貸し手が資金を引き出せない事態となったのです。
オクラルとは?
日本の規制強化:投資家保護へ舵を切る
興味深いことに、Stream Finance事件とほぼ同じタイミングで、日本の金融庁が仮想通貨レンディングサービスを金融商品取引法の規制対象とする計画を発表しました(2025年11月7日)。
規制強化の主なポイント:
- 仮想通貨レンディングを金融商品取引法で規制
- IEOに購入上限を設定
- 早ければ2026年にも施行予定
金融庁は過去の海外レンディング破綻を教訓とし、同様のリスクを国内で防ぐ狙いです。2025年7月時点で国内の仮想通貨保有額は5兆円に達しており、市場拡大が規制整備を後押ししました。
日本の規制は、米国SECの「執行優先」型とは異なり、欧州のMiCAを参考にした投資家保護と市場育成のバランスを重視する姿勢です。
出典:Crypto News
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投資家が今すぐ取るべき対策
リスク管理のチェックリスト
✅ ステーブルコイン選びの基準
- 担保構造が明確か(USDT、USDCなど法定通貨担保型が基本)
- 発行体の透明性(定期的な監査報告書の公開)
- 過去のデペッグ履歴と回復実績
- 流動性の厚さ
✅ DeFiレンディング利用時の注意点
- APYが市場平均の2倍以上なら要警戒
- キュレーターの運用実績を確認
- 清算メカニズムとオラクルの仕組みを理解
- 資金の一部のみを預け、分散投資を徹底
✅ 危険信号の見極め方
- TVLが短期間で急増
- 担保資産の構成が不透明
- オラクルの設定や更新頻度が不明確
- SNSで疑惑や懸念が拡散
テラ・ルナショックとの類似点
今回の事件は2022年のテラ・ルナショック(約400億ドル消失)と構造的に類似しています。いずれも担保不足と信用崩壊が根本原因であり、歴史は繰り返されています。
テラ・ルナショックとは?
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まとめ:DeFiの理想と現実のギャップ
Stream Finance事件は、DeFiの「分散化の理想」と「効率性を求める現実」の矛盾を浮き彫りにしました。
今回の事件で明らかになったこと:
- 主要レンディングプロトコルで高いシェアを持つキュレーターの影響力
- 利益相反を生む報酬体系がリスクテイクを誘発
- オラクル更新遅延が清算メカニズムを機能不全に
- 再帰的ループという危険な手法の存在
- 推定約2億8,500万ドル規模の波及リスク
- USDXやdeUSDなど連鎖的な崩壊
重要なのは、自分でリスクを理解し、判断する力を身につけることです。日本の規制強化は、こうした構造的問題への一つの回答といえるでしょう。
投資家として銘記すべきこと:
- 高利回りには必ず高リスクが伴う
- 透明性のない投資商品は避ける
- 分散投資を徹底し、失っても良い範囲で投資する
- 市場の噂や不安に敏感になる
- 規制動向と技術的な仕組みを理解する
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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