
海外の取引所やDEXを使っているから税金の申告は曖昧でも大丈夫、そう思っていませんか?2026年1月から始まる新制度「CARF」によって、その考えは通用しなくなる可能性が高まっています。日本を含む48カ国で取引情報が自動共有される、この国際的な制度変更について、仮想通貨(暗号資産)トレーダーとして知っておくべき情報をお届けします。
本記事で分かること
- CARF制度の具体的な内容と施行スケジュール
- CEX・DEX・Perp DEX別の報告対象範囲
- 今すぐ始めるべき3つの対策アクション

なぜ今このニュースが重要なのか~個人投資家への情報周知が不十分な現状

税務専門誌と一般メディアの報道格差
このCARF制度について、税理士や会計士向けの専門誌では2025年9月~10月にかけて詳細解説が掲載されました。KPMGやEY、デロイトといった大手会計事務所も実務対応サービスを開始しています(※デロイト トーマツ 2025年7月17日プレスリリース、KPMG Japan e-Tax News No.338 2025年9月24日)。
一方で、主要な仮想通貨メディアの報道を確認すると、2023年11月の初期報道以降、詳細な続報や個人投資家向けの実務解説は限定的な状況です(※各メディアのサイト検索による確認、2025年11月2日時点)。
| メディア分類 | 確認できた最終報道 | 2024-2025年の詳細続報 |
|---|---|---|
| 主要仮想通貨メディア | 2023年11月頃 | 限定的 |
| 税理士向け専門誌 | 2025年9-10月 | 詳細解説多数 |
| 個人ブログ(税理士監修) | 2025年10月2日 | 個人投資家向け詳細解説あり |
その結果、2024年以降に仮想通貨を始めた投資家の多くがこの制度変更を認識していない可能性があります。
CARF制度とは何か~国際的な税務透明性の枠組み
国際的な脱税防止策として策定
CARF(Crypto-Asset Reporting Framework/暗号資産等報告枠組み)は、OECD(経済協力開発機構)が策定した、仮想通貨取引情報を国境を越えて自動的に交換できるようにするための国際的な枠組みです(※OECD公式発表 2022年10月)。
OECDとは?
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)は、先進国を中心とした38カ国が加盟する国際機関。税制や経済政策の国際協調を進めています。背景には、仮想通貨の「国境を越えて迅速に価値を移転できる」という特性が、各国の税務当局による資産把握を困難にし、国際的な税務コンプライアンスの課題となっていたことがあります。G20からの要請を受け、この課題に対応するために策定されたのがCARF制度です(※OECD CARF Commentary参照)。
日本の施行スケジュール~公表されている日程
日本はCARFの早期導入を表明し、国内法(実特法)の整備も完了しています。
| 時期 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 2022年10月 | OECDがCARF枠組みを正式承認 | OECD公式発表 |
| 2023年11月10日 | 日本を含む48の国・地域が共同声明を発表 | OECD Joint Statement |
| 2023年12月22日 | 令和6年度税制改正大綱で日本導入を決定 | 財務省 |
| 2025年9月22日 | 国税庁が詳細なFAQを公表 | 国税庁CARFコーナー |
| 2026年1月1日 | 制度施行・記録開始(※日本国内規定) | 国税庁FAQ |
| 2027年4月30日 | 事業者から国税庁への初回報告期限(※日本国内規定) | 国税庁FAQ |
| 2027年中 | 国際的な初回情報交換の実施予定 | OECD・PwC解説 |
重要なポイント:2027年には、2026年分の取引情報が各国税務当局間で交換される見込みです(※OECD CARF実施スケジュールによる)
何が報告されるのか~具体的な対象範囲
報告される4つの取引カテゴリー
CARFに基づき、報告義務を負う事業者(RCASP:Reporting Crypto-Asset Service Provider)が税務当局に報告する情報は以下です(※国税庁FAQ参照):
① 交換取引:仮想通貨と法定通貨(円・ドルなど)との売買
② 暗号資産同士の交換:ビットコインでイーサリアムを買う、など
③ 移転:取引所から個人ウォレットへの送金
④ リテール決済取引:仮想通貨での商品・サービス購入
報告される具体的な情報(※国税庁FAQ Q9参照):
- ✅ 氏名、住所、居住地国
- ✅ 納税者番号(マイナンバー)
- ✅ 年間の取引種類ごとの売却・購入額の合計
- ✅ 取引の総数量と件数
重要:報告義務は「事業者」が対象
CARF制度において報告義務を負うのは、暗号資産交換業者などの事業者(RCASP)です(※OECD CARF Commentary参照)。個人ユーザーに直接の報告義務があるわけではありませんが、事業者が収集した情報が各国税務当局に提供される仕組みです。
「円にしなければ把握されない」は誤解?
特に注意すべきは、②仮想通貨同士の交換や、③自分のウォレットへの送金も報告対象の取引となっている点です(※国税庁FAQ Q10参照)。
これまで「日本円に換金しなければ把握されない」と考えていた方もいるかもしれませんが、その認識は制度上は正確ではない可能性があります。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】メタマスクの使い方完全ガイド|2025年最新機能と初心者向け設定方法
取引所タイプ別の報告対象範囲

取引所の分類はとても重要です。どこで取引しているかで報告義務の対象が変わってきます。
海外 中央集権型取引所(CEX)利用者
・海外企業が運営し、ユーザーの資産を預かって取引を仲介する従来型の取引所
・Bybit、Bitget、MEXC、BTCCなど
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 報告義務(事業者) | 対象となる可能性が高い |
| 情報交換開始予定 | 2027年から(※OECD共同声明による)* |
| 影響度 | 🔴 大きい |
*注意:2027年からということは、日本での確定申告は2026年1月1日からのデータから対象になります
特に注意が必要なケース
- デリバティブ取引を頻繁に行っている場合
- レバレッジをかけた取引の損益計算が複雑になる
- 取引履歴を正確に説明する準備が重要
👉:合わせて読みたい【最新ニュース】Bybit 新規登録停止!今すぐ知りたい資産移動の4パターン【初心者必見】
国内 中央集権型取引所(CEX)利用者
・国内企業が運営し、ユーザーの資産を預かって取引を仲介する従来型の取引所
・bitFlyer、Coincheck、GMOコイン、SBI VCなど
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 報告義務(事業者) | あり(国内法で規定) |
| 情報提供 | 既に国税庁への報告体制が整備済み |
| 影響度 | 🟠 中~大 |
比較的対応しやすい点
- 年間取引報告書で確定申告の準備が可能
- 取引所側のサポート体制が充実
- 国内の税理士も対応に慣れている
分散型取引所(DEX)利用者
・中央管理者がおらず、スマートコントラクトで自動的に取引が成立する取引所
・Uniswap、PancakeSwapなど
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 報告義務(事業者) | 現時点では中央管理者がいないため直接の対象外 |
| 間接的な把握 | CEXからの送金記録などから把握される可能性 |
| 影響度 | 🟡 中(間接的) |
重要な注意点
- DEX自体には中央管理者がいないため、現行のCARFでは直接的な報告義務の対象ではない(※OECD CARF Commentaryによる)
- ただし、CEXからDEXへの資金移動(移転)はCEX側で記録される
- ブロックチェーン上の取引履歴は公開されており、必要に応じて追跡可能
- 将来的にDEXに対する報告枠組みが拡大される可能性も議論されている
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】PancakeSwapの始め方を徹底解説!初心者にもわかりやすい使い方・稼ぎ方
分散型永続先物取引所(Perp DEX)利用者
・DEXの一種で、無期限先物取引(パーペチュアル取引)に特化した分散型プラットフォーム
・決済期限がなく、レバレッジをかけて取引できるため、ボラティリティの高い相場で利用されています
・Hyperliquid、edgeX、dYdXなど
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 報告義務(事業者) | 現時点では直接の対象外(DEXと同様) |
| 間接的な把握 | CEXからの資金移動やKYC導入事例から把握される可能性 |
| 影響度 | 🟠 中~大(取引量による) |
留意点
- DEXの重要な注意点と同様
- 高レバレッジで大きな損益が発生しやすい
- 損益計算が複雑になりやすい
- 税務申告の際は専門家への相談を検討
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】edgeX完全ガイド|安全性とリスク徹底比較!パーペチュアルDEX選び方決定版
申告漏れが発覚した場合のペナルティ
追徴課税の3つのペナルティ
もし情報交換をきっかけに申告漏れが発覚した場合、以下のペナルティが課される可能性があります(※最新の税率は国税庁ウェブサイトで確認してください):
| ペナルティ名 | 税率(参考値) | 備考 |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 15~30% | 50万円超は20%、300万円超は30%(令和6年度改正による) |
| 重加算税 | 最大40% | 意図的な所得隠しと判断された場合 |
| 延滞税 | 年度により変動 | 納税が遅れた日数に応じて加算(※最新の税率は国税庁で確認) |
※出典:国税庁「加算税の概要」、フリー株式会社「無申告加算税・重加算税の説明」
シミュレーション例(参考)
ケース:海外取引所で年間500万円の利益(給与所得500万円と合算、税率33%想定の場合)
- 本来の税額:約165万円
- 無申告加算税(20%想定):約33万円
- 延滞税(試算例):約48万円
- 合計:約246万円程度
さらに「意図的な脱税」と判断された場合:
・重加算税(40%)が加わる可能性があり、税負担はさらに増加
※これはあくまで試算例です。実際の税額は個別の状況により異なります。
今すぐ始めるべき3つの対策アクション

アクション①:過去の取引を確認し、必要に応じて申告を検討する
申告していない取引がある場合、自主的に「期限後申告」や「修正申告」を検討しましょう。自主申告することで加算税が軽減される可能性があります。[国税庁:期限後申告]
重要なのは、2026年1月から新たな取引記録が始まる前、つまり2025年中に対応を検討することです。指摘される前に自主的に動くことで、より有利な条件になる可能性があります。
個別の判断は税理士に相談しましょう。
アクション②:取引履歴とデータを収集・整理する
今すぐ集めるべきデータ:
- 取引所の年間取引報告書(CSVダウンロード)
- 銀行の入出金履歴
- ウォレットの送受信履歴(Etherscan、BSCScanなど)
- DEX取引の履歴(メタマスクなど)
今後の習慣化:
- 取引履歴を定期的(月1回など)にダウンロード
- 税金計算ツール(Gtax、クリプタクトなど)の活用検討
- CEXからDEXへの送金も記録
記録を習慣化すると、確定申告の負担がずっと軽くなります。
cryptact
仮想通貨(暗号資産)の自動損益計算ができるPCオンラインアプリ
アクション③:専門家への相談を検討する
仮想通貨の税務は複雑です。特に以下に該当する方は、早めの相談を推奨します:
- 年間利益が一定額(例:100万円)を超える
- 複数の取引所(CEX・DEX・Perp DEX)を使っている
- 過去数年間申告していない
- NFTやDeFi(流動性マイニングなど)も利用している
- 損益計算が複雑で自分では整理が難しい
早期の相談が、結果的に時間とコストを節約する可能性があります。仮想通貨の税務に詳しい税理士を選ぶことが重要です。
海外在住という選択肢も...
タックスヘイブン国への関心の高まり
CARF制度の施行を受けて、一部の投資家の間では海外在住を検討する動きも見られます。
関心を集めている国の例:
- 🇸🇬 シンガポール(仮想通貨のキャピタルゲイン課税なし)
- 🇦🇪 UAE・ドバイ(個人所得税なし)
- 🇵🇹 ポルトガル(仮想通貨のキャピタルゲイン課税なし)
- 🇹🇭 タイ(海外所得は条件により課税対象外)
- 🇲🇾 マレーシア(キャピタルゲイン課税なし)
⚠️ 重要な注意点:
・日本の非居住者となるには一定の要件を満たす必要がある(年間183日以上の海外滞在など)
・出国時に一定額以上の資産がある場合は「出国税」の対象となる可能性
・形式的な移住は税務上認められない可能性
・生活基盤の実質的な移転(住居、家族、仕事など)が必要
・移住先の国の税制や法規制を十分に理解する必要
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まとめ:2026年は仮想通貨税務の転換点
CARF制度の導入により、2026年1月1日以降の取引は、国税庁が把握する前提で制度が運用されます。実際の情報報告と各国間のデータ共有は2027年から始まる見込みであり、これは個人投資家にとって大きな転換点となります。
繰り返しになりますが、これは「規制で投資ができなくなる」という話ではありません。透明性が高まり、仮想通貨市場が成熟していく過程です。
適切に対応すれば、何も恐れることはありません。わからないことがあれば、専門家に相談しながら、しっかり準備していきましょう。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
海外取引所・DEX利用時の重要な注意事項
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