
【前編】では、銀79ドル超・プラチナ史上最高値の衝撃と、2017年仮想通貨(暗号資産)バブルとの類似性を解説しました。今回【中編】では、主要機関の2026年予測を徹底分析し、エビデンスに基づいた投資戦略を解説します。「調整」と「長期上昇」、両方のシナリオにどう備えるべきか――データが示す答えを明らかにします。
本記事で分かること
- 主要機関の2026年予測の詳細分析と見解の相違
- J.P.モルガンが予測する金5,055ドルの根拠
- 鉱山株・リサイクル企業の実際のパフォーマンス

【速報】銀、12月29日に激しい値動き──史上最高値83ドル台から急落
記事執筆中の2025年12月29日、銀(シルバー)市場で激しいボラティリティが発生しました。

12月29日の銀価格の動き:
・早朝:史上最高値83.62ドルを記録
・午前中:急落し、78ドル台まで下落(約5ドル、6%超の下落)
・日中レンジ:75.44ドル~82.67ドル(7ドル以上の変動幅)
この急激な値動きは、以下の要因によるものと見られています:
✓ CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が12月29日から銀先物の維持証拠金を25,000ドルに引き上げ
✓ 年末の流動性低下による価格変動の増幅
✓ 80ドル超という心理的節目での利益確定売り
✓ 中国が2026年1月1日から銀輸出規制を導入するとの報道への反応
2026年予測の全貌──なぜアナリストの見解は割れているのか?
👉:昨日12/28記事【貴金属バブル|前編】銀79ドル・プラチナ史上最高値の衝撃

主要金融機関の公式予測:41-65ドルのレンジ
2026年銀価格について、主要金融機関の公式予測を整理すると以下の通りです。
| 機関名 | 2026年予測 | 予測根拠 |
|---|---|---|
| J.P. Morgan | Q4平均58ドル/年間平均56ドル | 構造的な供給不足 |
| Bank of America | 65ドル | 供給不足継続 |
| World Bank | 41ドル | 産業需要の正常化 |
3機関の平均は約55ドルです。現在の価格(12月29日時点で78ドル前後)は、主要機関の予測を約42%上回っています。
なぜ予測が割れているのか?──3つの論点
論点1:「調整」は来るのか?
調整派の根拠:
・LBMA在庫が2025年11月に27,187トン(約874百万オンス)まで回復
・World Bank:「2026年に41ドルまで調整」と予測
・12月29日の急落(83ドル→78ドル)が示す過熱感
継続上昇派の根拠:
・5年連続の供給不足は構造的問題
・太陽光パネル、EV、AI・データセンター向けの需要拡大
・中国の2026年1月からの輸出規制
論点2:産業需要は加速するのか、正常化するのか?
加速派(J.P.モルガン、Bank of America):
・太陽光パネル需要は2020-2030年で約2倍に増加見込み
・EV関連の銀需要は年間20%増加ペース
正常化派(World Bank):
・世界経済成長率の鈍化が産業需要を抑制
・2025年の急騰が需要を先取りした可能性
論点3:投資需要は継続するのか?
継続派:
・J.P.モルガン:「投資家の金保有比率は現在2.8%だが、4-5%まで上昇する余地」
・金価格が5,000ドルに向かえば、銀への資金流入も継続
減速派:
・2025年の170%上昇で過熱感が極限に
・12月29日のCME証拠金引き上げ(25,000ドルへ)が投機を抑制
J.P.モルガンの金5,055ドル予測──その詳細な根拠
金価格予測が銀・プラチナに与える影響
J.P.モルガンの公式Market Outlook 2026によると、金価格は2026年第4四半期に平均5,055ドル/オンス、年間平均4,753ドル/オンスに達すると予測しています。
さらに、2027年末には5,400ドル/オンスまで上昇する見通しです。
J.P.モルガンの予測根拠(公式レポートより):
①中央銀行の金購入は継続
J.P.モルガンのグローバル・コモディティ戦略責任者Natasha Kanevaは以下のように述べています:
「公的準備金と投資家の金への分散という長期トレンドは、まだ尽きていない。金需要は2026年末までに5,000ドル/オンスに向けて価格を押し上げると予想している」
具体的なデータ:
・2026年の中央銀行購入予測:平均70トン/月(年間約840トン)
・これは2022-2024年のピーク時(1,000トン超)よりは低いが、依然として高水準
②投資家需要の構造的拡大
J.P.モルガンの貴金属戦略責任者Gregory Shearerの分析:
「2025年第3四半期、投資家(ETF、先物、地金・コイン)と中央銀行の金需要は合計約980トンに達し、過去4四半期の平均より50%以上高い」
重要な指標:
・投資家の金保有比率:現在2.8%(株式・債券・オルタナティブ資産の合計に対して)
・J.P.モルガン予測:「この比率は今後数年で4-5%まで上昇する余地がある」
③銀価格予測:58ドル
J.P.モルガンの公式予測では、銀は2026年第4四半期に58ドル/オンス、年間平均56ドル/オンスとしています。
金5,000ドル超が実現すれば、銀・プラチナはどうなるか?
歴史的な金銀比率から見る銀の可能性:
・現在の金銀比率(12月29日の高値基準): 約4,550ドル ÷ 78ドル = 約58
・歴史的平均: 約60-70
・金が5,055ドルに達した場合:
- 金銀比率60なら:5,055 ÷ 60 = 約84ドル
- 金銀比率70なら:5,055 ÷ 70 = 約72ドル
重要な考察:
現在の金銀比率58は歴史的に見て非常に低い水準です。これは「銀が金に対して相対的に高すぎる」可能性を示唆しています。もし金銀比率が歴史的平均の60-70に回帰するなら、金が上がっても銀は横ばいか下落するシナリオもあり得ます。
👉:合わせて読みたい【最新ニュース】ゴールド価格2.5万円突破!中央銀行争奪戦と2026年予測
貴金属関連株の実際のパフォーマンス──データで見る投資機会

銀鉱山株の2025年パフォーマンス
2025年、銀価格の急騰に連動して、銀鉱山株も大きく上昇しました。
主要銀鉱山株のパフォーマンス(2025年12月27日時点):
| 銘柄 | ティッカー | 株価 | 年初来パフォーマンス |
|---|---|---|---|
| Pan American Silver | PAAS | 約55ドル | +160-170%(52週高値更新) |
| Wheaton Precious Metals | WPM | 約124ドル | +86%(Forbes報道) |
アナリスト評価:
・Pan American Silver:保守的な価格目標として銀82ドルを想定(Seeking Alpha)
・Wheaton Precious Metals:6名のアナリストが「買い」推奨、目標株価平均132.50ドル
リサイクル企業株の動向──Umicore、Aurubis
Umicore(ベルギー):
・2025年上半期:収益18億ユーロ、調整後EBITDA 4.33億ユーロ
・2025年通年ガイダンス:EBITDA 7.9-8.4億ユーロ(上方修正)
・株価:2025年12月24日時点で約17.87ユーロ、年初来+85%
Aurubis(ドイツ):
・2024/2025年度(2024年10月~2025年9月):税引前利益 約3.55億ユーロ(約3.85億ドル)
・キャッシュフロー:約6.77億ドル(前年比+30%)
・米国リッチモンド工場が稼働開始、貴金属リサイクル部門が好調
リサイクル企業の強み:
✓ 貴金属価格上昇で利益率向上
✓ 価格下落時も安定需要
✓ 「上がっても下がっても儲かる」ビジネスモデル
ドルコスト平均法の実践──「調整」に備える具体的戦略
なぜドルコスト平均法が有効なのか?──2017年ビットコインの実例
2017年のビットコインバブルから学ぶべき教訓を、実際のデータで見てみましょう。
2017-2021年のビットコイン価格推移(実データ):
| 時期 | 価格 | 変化率 |
|---|---|---|
| 2017年12月17日 | 19,783ドル | 史上最高値 |
| 2018年2月5日 | 6,200ドル | -69% |
| 2018年12月 | 3,200ドル | -83% |
| 2020年12月 | 19,000ドル | +494% |
| 2021年11月 | 69,000ドル | +2,056%(2018年12月から) |
重要な教訓:
もし、2018年12月(3,200ドル)から毎月1万円ずつドルコスト平均法で購入していたら、2021年11月には大きなリターンを得られました。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】超初心者のためのドルコスト平均法&賢い出口戦略
貴金属投資でのドルコスト平均法──推奨配分例
具体的な配分例(月10万円の投資の場合):
| 投資先 | 配分 | 月額 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 銀ETF | 30% | 3万円 | 主要なエクスポージャー |
| プラチナETF | 20% | 2万円 | 分散効果 |
| 銀鉱山株(PAAS等) | 20% | 2万円 | レバレッジ効果(リスク高) |
| リサイクル企業株 | 20% | 2万円 | 防御的ポジション |
| 現金(買い場待ち) | 10% | 1万円 | 調整時の追加投資用 |
重要な原則:
✓ 生活防衛資金(6ヶ月分の生活費)は絶対に投資しない
✓ 余裕資金のみで投資
✓ 価格が下がっても買い続ける(ドルコスト平均法の真髄)
✓ 今から一括投資はしない──12月29日の急落が示すように、調整リスクが高まっている
まとめ:2026年は「データを見て冷静に判断する年」
【中編】では、主要機関の2026年予測を徹底分析しました。
重要ポイントのおさらい
✅ 公式予測は41~65ドルのレンジ(J.P.モルガン、Bank of America、World Bank)
✅ 100ドル超の予測は個人投資家の見解であり、金融機関の公式予測ではない
✅ 12月29日の銀価格は83ドルから78ドルへ急落──過熱感の兆候
✅ J.P.モルガンの金5,055ドル予測は需給データに基づいている
✅ 鉱山株・リサイクル企業株は既に年初来+80~100%上昇
✅ ドルコスト平均法で「調整」に備える──今から一括投資は避けるべき
次回【後編】では、「調整」が来た場合の具体的なアクション、リスク管理と損切りルール、長期投資家が押さえるべき最終チェックリスト、を解説します!
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の投資商品の購入を推奨するものではありません。貴金属投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。投資判断は自己責任で行ってください。
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