
10月29日、米FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が放った一言が、仮想通貨(暗号資産)市場に最後の一撃を加えました。「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」——このタカ派発言を受け、ビットコイン(BTC)は11.5万ドル台から一気に10.9万ドルまで急落。年末に向けた期待が一気にしぼんだ瞬間でした。
SNSや市場には悲壮感が漂っています。10月を「Uptober(上昇する10月)」として期待していた投資家たちにとって、2025年10月は忘れられない"呪われた月"となりそうです。しかし本当に年末ラリーは来ないのでしょうか?楽観しすぎずに分析していきます。
 
本記事で分かること
- なぜ2025年10月は「呪われた月」になったのか
- 市場の悲壮感を生んでいる構造的変化とは
- 11月以降の反発を示す明るい材料とデータ

パウエル発言で市場に最後の一撃、年末期待がしぼむ

10月最後に待っていた「悪いニュース」
10月29日、FRBは予想通り0.25%の利下げを決定しましたが、パウエル議長の記者会見が市場を失望させました。
🇺🇸パウエル議長の発言要旨:(出典:Reuters、Bloomberg)
- 「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」
- 「見解は大きく分かれた」(FOMC内部の意見対立を示唆)
- 投票結果:10対2(反対2名の異例の分裂)
この発言を受け、市場の12月利下げ期待は大幅に後退しました。CME FedWatchによると、会見前(10月29日午前時点)の90%超から会見後(同日夕方時点)には60-68%台まで急低下したと複数メディアが報じています(出典:CNBC、Phemex、Binance等)。ビットコインは11.5万ドル台から10.9万ドル(-5%)まで下落しました。
※CME FedWatchの確率は時刻ごとに変動します。報道各社の時刻により数値が異なる場合があります
量的引き締め(QT)が12月1日で終了するという好材料もありましたが、パウエル発言の衝撃で完全にかき消されました。
 
2025年10月は過去10年で最悪になる見込み
「Uptober」は根拠なき楽観だった?
仮想通貨界隈では、10月は「Uptober(アップトーバー)」と呼ばれ、過去の統計から上昇しやすい月として期待されていました。しかしこれは明確な根拠があるというより、確率論的な傾向に過ぎませんでした。
過去の10月パフォーマンス:(出典:CoinGlass月次統計、2013-2024年の12年間)
| 年度 | BTC 10月のパフォーマンス | 備考 | 
|---|---|---|
| 過去12年平均 | +21.89% | 年間2位の好成績月 | 
| 2021年 | +40% | 典型的なUptober | 
| 2020年 | +28% | 強気相場 | 
| 2023年 | +28% | 復調局面 | 
| 2024年 | +10% | 堅調推移 | 
| 2015年 | -10% | 稀な下落月 | 
| 2018年 | -5% | 弱気相場 | 
| 2025年(見込) | 約-5% | 過去10年で最悪 | 
※2025年10月は31日時点で確定。現時点(10月30日)での見込み数値。集計はCoinGlassの月次BTCパフォーマンスデータ(対ドル、月初終値→月末終値)に基づく
過去12年で10月がマイナスで終わったのはわずか3回のみ(2014、2015、2018年)。2025年は2015年、2018年に次ぐ"呪われた10月"になる見込みです。
10月10日の大暴落が市場に残した深い傷
2025年10月の悲劇は、月の中盤に起きた史上最大級の清算イベントから始まりました。
10月10-11日、約191億ドル(約2.9兆円)もの清算が発生し、160万人ものトレーダーが強制決済されました。BTCは12.6万ドルから10.4万ドルへ18%急落し、アルトコインは60-80%も暴落する壊滅的な展開となりました(出典:CoinGlass、Bloomberg)。
👉この大暴落の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています:
この大暴落が市場参加者に与えた心理的ダメージは大きく、その後も市場は慎重姿勢から抜け出せないまま月末を迎えることになりました。
 
なぜ市場にこれほどの悲壮感が漂っているのか?
「今までのパターンが通用しない」という不安
現在の市場に広がる悲壮感の本質は、単に10月が悪かったことではありません。仮想通貨を取り巻く環境が構造的に変化しつつあり、過去のパターンが機能しなくなっている可能性という不安が根底にあります。
市場構造の変化を示す3つの兆候:
1. 機関投資家主導の市場へ移行
ETF(上場投資信託)承認以降、機関投資家の影響力が圧倒的に強まりました。彼らはビットコイン中心の投資戦略を取り、アルトコインには資金を回しません。その結果、従来の「BTC上昇→アルト爆騰」というパターンが機能しにくくなっているとの指摘があります。
2. 4年周期の性質が変わりつつある?
ビットコインの半減期に基づく4年周期が、機関投資家の参入により従来と異なる性質に変化しつつあるという分析が増えています(出典:K33 Research、Fidelity)。K33は「周期の終焉」ではなく「周期の性質変化」と慎重に表現しています。「今回は違う」という言葉が現実になりつつある可能性を、市場は警戒しています。
3. アルトコインの構造的低迷
アルトコイン市場は2021年のピーク(1.6兆ドル)から約8000億ドル縮小したまま回復していません。ビットコイン・ドミナンス(BTC時価総額シェア)は約59%まで上昇し、アルトへの資金循環が起きていません。
| 指標 | 2021年ピーク | 2025年10月 | 
|---|---|---|
| アルトコイン時価総額 | 約1.6兆ドル | 約0.8兆ドル | 
| BTC ドミナンス | 約40% | 約59% | 
「年末ラリーも来ないのでは?」という疑念
こうした構造変化を背景に、市場参加者の間では「例年の年末ラリーも今年は来ないのではないか?」という疑念が広がっています。
従来なら10-11-12月は上昇する時期として期待されていましたが、10月が予想を裏切った今、その期待が大きく揺らいでいるのです。
年末ラリーとは?
年末ラリー(Santa Rally)は、例年11-12月に見られる、年末に向けた価格上昇トレンドのこと。機関投資家の年末ポジション調整や、個人投資家の買い増しなどが要因とされます。仮想通貨でも株式市場と同様、年末は上昇しやすい傾向がありました。
 
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】チャートパターンで未来を予想する!初心者でも分かる18の型完全ガイド
11月反発を示す「明るい材料」を徹底検証

11月は統計上「強い月」という事実
悲観論が渦巻く今だからこそ、冷静にデータを見る必要があります。実は11月は過去の統計で非常に強い月なのです。
11月の歴史的パフォーマンス:(出典:CryptoRank、2013-2024年の12年間)
| 統計指標 | 11月のリターン | 特記事項 | 
|---|---|---|
| 平均値 | +40.5% | 2013年の+453.9%が大きく押し上げ | 
| 中央値 | +11.2% | 外れ値を除いた現実的な期待値 | 
| 2013年11月 | +453.9% | 歴史的ラリー(平均を大きく歪める) | 
| 2020年11月 | +42.9% | 強気相場 | 
| 2017年11月 | +59% | バブル前夜 | 
※統計期間はビットコイン取引開始以降の全11月データ。CryptoRankの月次BTCパフォーマンスデータ(対ドル)に基づく。⚠️重要:平均値は2013年の超大幅上昇(+453.9%)により歪みがあるため、中央値(+11.2%)の方が現実的な期待値として参考になります
注目すべきは、中央値でも+11.2%と二桁成長を示している点です。「10月が悪かったから11月も悪い」という単純な連想ではなく、むしろ10月の調整が11月の反発を準備している可能性があります。
明るい材料1:売られすぎからのリバウンド期待
10月の大幅下落により、市場は売られすぎ(oversold)の状態にあります。テクニカル分析の観点からは、こうした状況は反発の好機とされます。
- RSI(相対力指数)が売られすぎ水準に接近
- Fear & Greed Index(恐怖と欲望指数)が「Extreme Fear(極度の恐怖)」を記録
- 歴史的に、極度の恐怖局面は買いのチャンスとされる
👉:合わせて読みたい【テクニカル分析】初心者から上級者まで使える”実践マニュアル”|RSI編
明るい材料2:FRBの量的引き締め(QT)終了
パウエル発言に隠れてしまいましたが、FRBは12月1日をもって量的引き締めを終了することを発表しました。
これは市場への資金供給が再開されることを意味し、リスク資産である仮想通貨にとっては中長期的な好材料です。短期的な利下げ期待は後退しましたが、金融緩和の大きな流れは継続しています。
明るい材料3:機関投資家の年末ポジション調整
機関投資家は年末に向けてポートフォリオのパフォーマンス向上を図ります。ビットコインETFへの資金流入が11-12月に加速する可能性があり、これが価格を押し上げる要因となり得ます。
実際、マイクロストラテジーは10月の下落局面でもBTCを買い増し続けており、長期投資家の買い姿勢は揺らいでいません。
👉:合わせて読みたい【テクニカル分析】FX資金管理の基本|2%ルールで生き残るトレーダーになる方法
明るい材料4:アナリストたちは強気予想を維持
悲観ムードが広がる中でも、主要アナリストたちは年末に向けた強気予想を維持しています。
主要アナリストの年末価格予想:
- マイケル・セイラー(MicroStrategy CEO):15万ドル
- VanEck:18万ドル
- 10xリサーチ:短期的には回復基調
- K33 Research:11月以降の反発を予測
現在のBTC価格が約11万ドルであることを考えると、年末15万ドルなら約36%の上昇、18万ドルなら約64%の上昇が必要です。
もし11月に中央値リターン(+11.2%)を達成すれば、BTCは12.2万ドルに到達します。これは現実的な期待値として参考になります。
明るい材料5:ビットコインETFの累積資金流入は堅調
短期的な流出入はあるものの、ビットコインETFの累積純資金流入は依然としてプラスを維持しています。機関投資家の長期的な買い姿勢は変わっておらず、一時的な調整局面と見る向きが多数です。
 
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11月以降のシナリオ:楽観と慎重のバランス
強気シナリオ:歴史的パターンが継続
11月に中央値リターン(+11.2%)を達成すれば、BTC12.2万ドルとなります。さらに12月に向けた年末ラリーが加われば、年末15万ドルも視野に入ります。
- 11月:11万ドル→12.2万ドル(+11%、中央値)
- 12月:12.2万ドル→15万ドル(+23%、年末ラリー)
このシナリオでは、10月の悲観は「最高の買い場だった」と後から振り返られることになります。
慎重シナリオ:緩やかな回復
一方で、市場構造の変化を考慮すれば、過去のような急激な上昇は期待しにくいかもしれません。
- 11月:11万ドル→11.5万ドル(+5%、保守的)
- 12月:11.5万ドル→12.5万ドル(+9%、緩やか)
このシナリオでも年末12.5万ドルなら、10月の水準(約11万ドル)から約14%の上昇となり、十分なリターンです。
懸念シナリオ:年末上昇が来ない場合
最悪のケースとして、構造変化により年末ラリーが来ない可能性も視野に入れるべきです。
- パウエル発言による12月利下げ期待の後退が長引く
- 地政学リスク(米中貿易摩擦等)が再燃
- 機関投資家が年末に向けて利確売りを進める
このシナリオでは、BTCは10-11万ドルのレンジで推移し、大きな上昇は2026年に持ち越される可能性があります。
重要なのは、どのシナリオでもリスク管理を徹底することです。過度な楽観も悲観も避け、データと市場動向を注視しながら判断することが求められます。
 
まとめ:呪われた10月の後に来るもの
2025年10月は、過去10年で最悪の月になる見込みです。10月10日の史上最大級清算、パウエル発言による月末の追い打ちと、市場参加者にとって忘れられない"呪われた月"となりました。しかし、だからこそ11月に期待する理由があります。
歴史的データは、11月の中央値リターンが+11.2%であることを示しています。10月の大幅下落により市場は売られすぎの状態にあり、リバウンドの条件は整いつつあります。FRBの量的引き締め終了、機関投資家の年末調整、主要アナリストの強気予想——明るい材料は確かに存在します。
一方で、市場構造が変化しつつある可能性を考慮すれば、過去のパターンが必ずしも再現されるとは限りません。慎重姿勢を維持しつつ、データを注視する必要があります。10月は確かにつらい月でした。しかし、最も暗い夜の後に夜明けが来る——歴史はそう教えてくれています。11月が本当にその夜明けになるかどうか、市場の動きを冷静に見守りましょう。
 
金ちゃんがトレーダーとして勝てるようになった覚えるべき3要素
1️⃣ ラインの強度(覚えるべき4つのチャート)https://erovers.jp/2024/04/21/chart
2️⃣ ロールリバーサル https://erovers.jp/2024/04/21/3206/
3️⃣ 真空地帯 https://erovers.jp/2023/10/25/fxsinkuu/
 重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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