「米国政府は大量のビットコインを保有している」という話を仮想通貨(暗号資産)ホルダーの皆さんは、一度は耳にしたことがあるはず。でも実際には、その認識は大きな誤解に基づいていることが、ここ最近の報道で明らかになりました。本記事では、なぜこの誤解が生まれたのか、そして🇺🇸ビットコインの本当の保有量はどのくらいなのか、事実ベースで解説していきます。ビットコイン市場の見通しを知るために、この話は非常に重要です。

本記事で分かること
- 米政府の実保有量と誤解の原因
- 保有の85%が“管理資産”だった真実
- ベッセント財務長官の火消しコメント読み解き
アメリカ政府のビットコイン、実は思ってたより全然少なかった
「アメリカ政府は世界一ビットコインを保有している」
そんなイメージを持っていた人は少なくないはず。でも、ここにきて“実はそうではなかった”という事実が明らかになり、仮想通貨業界を揺るがしています。
みんなが思ってた「アメリカ政府=BTC大富豪説」
これまで信じられていた情報はこちら:
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アメリカ政府が自由に使える資産としてビットコイン約20万枚を保有している
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日本円で 約3.7兆円の価値に相当(2025年8月時点のレート)
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世界一の保有国
でもこれは、大きな誤解でした。
しかし、その大部分(約17万枚)は事件関連の押収資産で、政府が自由に使えるわけではありません。本当に政府の「財産」として自由に使えるビットコインは、たったの 2.9万枚 しかなかったのです。
NEW: 🇺🇸 US Marshalls reveal the government now only holds 28,988 Bitcoin worth $3.4 billion, instead of the estimated ~200,000 BTC 👀 pic.twitter.com/6a4UcPFiHc
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) July 16, 2025
預かっているだけのビットコインは政府のものじゃない
ここで誤解の原因を分かりやすく説明しましょう。
図書館にたとえると…
【パターン1】図書館が預かっている本(=管理)
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誰かから預けられた本
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図書館は保管・管理はするけれど、所有権は持っていない
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勝手に売る・捨てることはできない
【パターン2】図書館が自分で買った本(=所有)
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図書館が費用を出して買ったもの
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完全に自分の所有物
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古くなったら売ったり捨てたり自由にできる
つまり「管理」と「所有」は全く違う概念だということ。これと同じことがアメリカ政府のビットコインにも起きていたのです。
米国がビットコインを売りすぎた? ルミス上院議員の警鐘
米国上院議員のシンシア・ルミス氏が、2025年7月17日に投稿したX(旧Twitter)での発言が波紋を呼んでいます。
彼女は、これが「国家の戦略的なミス」であり、アメリカをビットコイン競争で数年後退させることになると警告。
この発言は、米政府がビットコインという戦略資産を軽視してきたのではないかという問題提起にもつながります。
I’m alarmed by reports that the U.S. has sold off over 80% of its Bitcoin reserves—leaving just ~29,000 coins.
If true, this is a total strategic blunder and sets the United States back years in the bitcoin race. https://t.co/ciYf1uhy0x
— Senator Cynthia Lummis (@SenLummis) July 16, 2025
政府が管理しているビットコインの多くは、押収・管理資産であり、自由に活用できない状態でした。このため、政策上の戦略資産としての活用には制約があります。
この問題の本質は「保有していたはずの約20万枚が、実は政府の正式な"所有"資産ではなかった」という認識のズレにあります。しかしルミス議員の懸念は、“仮に保有していたとしたら?”という未来志向に基づいた戦略的視点に立っているのが特徴です。
つまり、単なる数字の話ではなく、「国としてどんなビットコイン戦略を持つべきか?」という本質を問うているのです。

ビットフィネックスとシルクロード事件の資産が大半
「政府が持っている」と言われていた20万枚のうち、約17万枚は実は事件に関係する“預かり資産”(管理資産)です。

Bitfinex事件(2016年)
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暗号資産取引所がハッキングされ、約9.4万枚のBTCが盗まれる
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政府が押収・保管中だが、これは被害者に返すための資産
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政府の自由にはならない
Silk Road事件
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違法薬物などを扱っていた闇市場から押収したBTC
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約7万枚が対象
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一部は政府所有、一部はまだ裁判中
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自由に売却できるのはごく一部のみ

米国のBTC保有数を数字で整理
種類 | 枚数 | 日本円換算 | 政府が自由に使える? |
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本当に政府のもの | 2.9万枚 | 約5,400億円 | ✅ YES |
預かってるだけ | 17万枚 | 約2兆7,000億円 | ❌ NO |
合計 | 約20万枚 | 約3兆2,000億円 | 一部のみ |
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なぜこんな誤解が広がったのか?
主な原因は以下の2つです。
データ会社 Arkham Intelligence のミスリード
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ブロックチェーン上で政府のウォレットに入っているビットコインを すべて「所有」とカウント
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実際は「管理」と「所有」が混同された形
メディア報道の連鎖
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多くの仮想通貨メディアがそのまま報道
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「アメリカはビットコイン大国!」というキャッチーな言葉が広がり、事実とズレたイメージが定着
すでにビットコインの85%を売っていた?
実は、バイデン政権の間にアメリカ政府は 保有ビットコインの約85%をすでに売却 したと報じられました。実際には、売却というより、使えない資産(管理資産)になっていったという状況です。
年ごとの動き
2021年:約20万枚保有
2022年:報道では“売却”と報じられたが、実際には押収資産(管理資産)として会計上使えない状態に
2023年:報道では追加売却とされたが、実際には押収資産(管理資産)として会計上使えない状態が継続
2024年:本当に政府の財産として自由に使えるBTCは最終的に 2.9万枚まで減少
つまり、今後の政策に活かせる資産(所有資産)としてのBTCは、すでにほとんど残っておらず、わずか2.9万枚となっています。
トランプの国家戦略に大きな誤算
🇺🇸トランプ前大統領は「ビットコイン超大国」を掲げ、政府による戦略的なBTC備蓄を目指していました。
しかし前提となる自由に使える保有量が想定の7分の1以下であることが分かり、構想は振り出しに。
新たな備蓄には巨額の追加購入が必要ですが、それには議会の承認も必要。つまり、相当ハードルが高い状況です。
ベッセント財務長官の“数字ミス”も浮き彫りに
🇺🇸アメリカ時間で2025年8月14日午前、ベッセント財務長官は「政府は150〜200億ドル相当のビットコイン(約20万枚)を保有している」とコメント。
ですが、これは明らかにミスリードです。
実際の自由に使える保有額は 約2.9万枚(約35億ドル/約5,400億円) に過ぎません。
「預かってる資産」(管理資産)も込みで話していた可能性が高く、ここにも「所有と管理の混同」が見られました。
👉:ベッセント財務長官の午前の発言は昨日8/15記事に詳しく書いてます
【ニュース解説】ビットコイン史上最高値更新!からの急落...米PPIショックと今後の展望
ベッセント財務長官が自ら「火消し発言」をすることに
同日の午後、ベッセント財務長官はSNS(X)上で発言を修正しました。以下のように述べ、「予算中立的(budget-neutral)」な方法であれば、ビットコイン取得の可能性を模索する余地があると明言したのです:
Bitcoin that has been finally forfeited to the federal government will be the foundation of the Strategic Bitcoin Reserve that President Trump established in his March Executive Order.
In addition, Treasury is committed to exploring budget-neutral pathways to acquire more…
— Treasury Secretary Scott Bessent (@SecScottBessent) August 14, 2025
この「火消し発言」によって、一度は完全に新規購入を否定した印象を後退させ、市場には「追加取得の可能性は消えていない」として一定の安心感をもたらしました。
なぜ「火消し発言」と呼ばれるのか?
市場や投資家の期待を事実上打ち砕いた午前の発言を、午後に「取得の可能性を完全に閉じたわけではない」と修正したことによります。一度広がった混乱を和らげる役割だったため、この“軌道修正コメント”が「火消し発言」として受け止められたのです。
時間帯 | 発言内容 | 市場・受け止めの反応 |
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午前(TV) | 追加購入はなし。没収資産で準備金構成し、売却も停止。価値は150–200億ドル。 | ビットコイン価格が急落(−3.7%) |
午後(SNS) | 「予算中立的手法」が可能ならば取得検討の余地あり。 | 市場に一部安心感。将来的な政策余地を示唆する発言 |
この記事で学べること
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政府が保有しているように見える資産でも、実際には自由に使えないことがある。
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報道(データ元)を鵜呑みにするのは危険。法的背景まで理解することが重要。
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政治的な発言や数字にも裏があることが多い。複数ソースで確認する習慣を持とう。
まとめ|今後の投資判断に活かすために
多くの人が信じていた「アメリカ政府は自由に使える資産としてビットコイン約20万枚を保有している」という情報。しかし実際に政府が自由に使えるBTCは、わずか2.9万枚にすぎませんでした。
事件で押収したビットコインは“預かりもの”であり、政府の自由にはできません。誤解の原因は、データ会社やメディアが「管理資産」と「所有資産」をごっちゃにして伝えたことにあります。
このズレを放置したまま「政府はBTCを山ほど持っている」と思い込むと、相場観や投資判断を誤る危険があります。だからこそ、私たち個人投資家も「数字の表面」ではなく「中身」を確認するクセをつけることが大切です。

重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。
仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。投資判断は自己責任で行ってください。
必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう。
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