
【前編】で2025年の急騰と警告サインを、【中編】でアナリスト予測と投資戦略を解説しました。最終回の【後編】では、なぜこのバブルが起きているのかという構造的要因、「調整」が来た場合の具体的なアクション、損切りルールの設定方法、長期投資家のための最終チェックリストを実践的に解説します。
本記事で分かること
- 銀・プラチナ急騰の構造的要因(供給不足の真実)
- 調整が来た時の具体的な買い増しルール
- 投資を始める前の最終チェックリスト

【速報】銀(シルバー)価格、12月30日に回復

70ドルから74ドルへ──約4ドルの回復
12月29日に83ドルから70ドルへ急落(8.7%下落)した銀価格は、12月30日に74ドル台まで回復しました。
12月29-30日の値動き:
この回復が示す可能性:
テクニカル分析では、下落幅の一部を戻すことで「調整の一時的な終了」を示唆する場合がありますが、これは確定的なシグナルではありません。
重要な注意点: 2017年ビットコインバブルでも、史上最高値から急落した後、何度も「戻し」を入れながら、最終的には83%下落しました。今回の回復が「底打ち」を意味するとは限りません。
👉:合わせて読みたい【貴金属バブル|前編】銀79ドル・プラチナ史上最高値の衝撃
急騰しているのは何故?──構造的供給不足の真実
銀(シルバー)の構造的供給不足──5年連続の赤字
The Silver Institute(銀協会)の公式データ:
・2025年の銀需要:11.2億オンス
・2025年の銀供給:10.3-10.7億オンス
・供給不足:約9,500万オンス(約2,953トン)(2025年予測)
・5年連続で供給不足が継続
なぜ供給が増えないのか?──3つの理由
①銀の70%は副産物として生産される
銀鉱山の大部分は、銅・鉛・亜鉛などの副産物として銀を生産します。
つまり、銀価格が上がっても、銅や亜鉛の価格が低ければ増産されないという構造です。
②主要銀鉱山の寿命が尽きつつある
・メキシコの規制変更:2024-2025年に約5%の生産減
・ロシアの制裁:鉱山セクターが資本制約に直面
・新規大型プロジェクトの不足
③リサイクルだけでは供給不足を補えない
2025年の供給不足2億オンスに対し、リサイクル銀の供給は不十分。
産業需要の急増──太陽光パネルとEVが牽引
①太陽光パネル需要:2014年の3倍
・2014年:世界の銀需要の5%
・2025年:世界の銀需要の14%
・新型太陽光パネル:従来型より50%多く銀を使用
②電気自動車(EV)需要:ガソリン車の2-3倍
・ガソリン車:1台あたり約15-28グラムの銀
・EV:1台あたり約40-60グラムの銀
・Silver Instituteの予測:2025-2030年の自動車銀需要は年平均3.4%増加
③AI・データセンター需要
サーバーや半導体製造に不可欠な銀需要も増加中。
プラチナの構造的供給不足──3年連続の赤字
World Platinum Investment Council(WPIC)の公式データ:
・2025年のプラチナ供給:740.4万オンス(前年比-2%)
・2025年のプラチナ需要:782.1万オンス
・供給不足:約69.2万オンス(3年連続)
プラチナの地上在庫も急減:
・2022年から2025年にかけて46%減少
・市場で最も浅い在庫水準
金(ゴールド)の需給状況──中央銀行の爆買いが続く
World Gold Councilの公式データ:
・2025年第3四半期の金需要:1,313トン(前年同期比+3%)
・過去最高の四半期需要を記録
中央銀行の金購入が牽引:
・2025年第3四半期:220トン(前四半期比+28%)
・2025年1-9月累計:634トン
なぜ中央銀行は金を買い続けるのか?
・ドル依存からの脱却
・地政学リスクへの備え
・インフレヘッジ
J.P.モルガンの分析によると:
「2025年第3四半期、投資家(ETF、先物、地金・コイン)と中央銀行の金需要は合計約980トンに達し、過去4四半期の平均より50%以上高い」(出典: J.P.Morgan)
金の需給状況の特徴
銀やプラチナと異なり、金は投資需要と中央銀行需要が価格を牽引しています。産業需要は全体の約10%にすぎません。つまり、金は「安全資産」としての性格が強いのが特徴です。
「調整」が来た場合の具体的アクション

ルール①:5%ルール── 一度に全額投資しない
基本戦略: 「銀価格が現在価格から5%下落するごとに、投資予定額の20%ずつ買い増す」
具体例(投資予定額100万円、現在価格74ドルの場合):
| 買い増しタイミング | 銀価格 | 投資額 | 累計投資額 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 70ドル(-5%) | 20万円 | 20万円 |
| 第2回 | 67ドル(-10%) | 20万円 | 40万円 |
| 第3回 | 63ドル(-15%) | 20万円 | 60万円 |
| 第4回 | 59ドル(-20%) | 20万円 | 80万円 |
| 第5回 | 56ドル(-25%) | 20万円 | 100万円 |
このルールのメリット:
✓ 感情に流されず機械的に実行できる
✓ 平均取得単価を下げられる
✓ 一度に全額失うリスクを回避
ルール②:30%ルール──「待機資金」を必ず確保
投資予定額の30%は、さらなる下落に備えて温存しておく。
具体例(投資予定額100万円の場合):
・段階的投資:70万円(上記の5%ルールで)
・待機資金:30万円(40ドル以下まで下落した場合に備えて)
ルール③:損切りライン──投資タイプ別
タイプA: 短期トレーダー(1年以内)
・損切りライン:購入価格から-15%
・例:74ドルで購入→63ドルで損切り
タイプB: 中期投資家(1-3年)
・損切りライン:購入価格から-30%
・例:74ドルで購入→52ドルで損切り
タイプC: 長期投資家(5年以上)
・損切りライン:設定しない(条件:生活防衛資金とは別の余裕資金のみ)
日本人投資家のための証券会社選び──正確な手数料比較
主要3社の詳細比較表(2025年12月最新)
| 項目 | 楽天証券 | SBI証券 | マネックス証券 |
|---|---|---|---|
| 買付手数料 | 買付代金の1.65%(税込) | 買付代金の1.65%(税込) | 買付代金の1.65%(税込) |
| 売却手数料 | 無料 | 無料 | 無料 |
| スプレッド | 業界最狭水準 | 標準的 | 標準的 |
| 最低投資額 | 1,000円〜 | 1,000円〜 | 1,000円〜 |
| 現物転換 | 可能 | 可能 | 可能 |
| 年会費 | 無料 | 無料 | 無料 |
重要な注意: 楽天証券とSBI証券は2019年に手数料改定を行い、売却手数料を無料化しました。ただし、買付時の1.65%は両社とも同じです。
ケース別おすすめ証券会社
①初めて貴金属投資をする人→楽天証券
・理由:スプレッドが最狭で、長期積立に有利
・追加メリット:楽天ポイントが使える、確定申告書類が分かりやすい
②SBI証券で既に株式投資をしている人→SBI証券
・理由:株式・投信など他の投資商品と一元管理できる
・追加メリット:売却手数料無料、年会費無料で使いやすい
③米国株投資も並行する人→マネックス証券
・理由:米国株との資金管理が一元化できる
・追加メリット:米国銀鉱山株(PAAS等)の情報も充実
長期投資家の最終チェックリスト──投資前に確認すべき7項目
投資を始める前に、以下の7項目を全てクリアしているか確認してください。1つでも「No」があれば、投資額を減らすか、準備を整えてから始めましょう。
【財務面】4項目
✅ 1. 生活防衛資金(6ヶ月分)は別途確保しているか?
月30万円の生活費なら、180万円を普通預金で保有。
この資金には絶対に手を付けない。
✅ 2. 投資資金は「ゼロになっても生活に影響しない」余裕資金か?
借金をして投資していないか?
子供の教育資金や住宅購入資金を使っていないか?
✅ 3. ポートフォリオ全体の5-15%に収まっているか?
総資産1,000万円なら、貴金属投資は50-150万円以内。
これを超えると、下落時の精神的ダメージが大きい。
✅ 4. 貴金属内での配分比率を決めているか?
貴金属投資額100万円の場合の推奨配分例:
| 配分タイプ | 金 | 銀 | プラチナ |
|---|---|---|---|
| 保守的な配分 (安全資産重視) |
60万円(60%) | 25万円(25%) | 15万円(15%) |
| バランス型配分 | 50万円(50%) | 30万円(30%) | 20万円(20%) |
| 成長重視配分 (上昇余地を狙う) |
40万円(40%) | 40万円(40%) | 20万円(20%) |
(参考: Pacific Precious Metals, Gainesville Coins)
配分のポイント:
・金:安定重視、中央銀行需要に支えられる
・銀:ボラティリティ高い、産業需要で上昇余地大
・プラチナ:供給不足、工業需要回復に期待
【心理面】2項目
✅ 5. 30-40%の下落に冷静に耐えられるか?
74ドル→52ドル(30%下落)になっても、狼狽売りしない覚悟があるか?
むしろ「買い増しのチャンス」と思えるか?
✅ 6. ドルコスト平均法を「下落時も」実行できるか?
74ドル→60ドルに下落しても、予定通り買い続けられるか?
「もっと下がるかも」と思って買いを止めないか?
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】超初心者のためのドルコスト平均法&賢い出口戦略
【知識面】1項目
✅ 7. 主要機関の予測の「幅」を理解しているか?
・World Bank:41ドル(2026年)
・J.P.Morgan:58ドル(2026年Q4平均)
・個人投資家予測:100ドル超(Kitco調査で57%が支持)
👉:合わせて読みたい【貴金属バブル|中編】2026年アナリスト予測と投資戦略の全貌
つまり、「確実なシナリオ」は存在しない。予測の幅を理解した上で、複数のシナリオに備える必要があります。
まとめ:構造を理解し、ルールを守り、長期で勝つ
【後編】では、貴金属バブルの根本原因と実践的なリスク管理手法を解説しました。
後編の要点:
①バブル的な急騰だが、その背景には構造的要因がある
②調整時の具体的アクション
③日本人投資家の証券会社選び
④投資前の最終チェック7項目
12月30日に74ドルまで戻しましたが油断は禁物。構造的な供給不足を理解できれば、もう短期的な価格変動に右往左往しないでしょう。準備とルールを守って、賢く投資していきましょう。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の投資商品の購入を推奨するものではありません。貴金属投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。投資判断は自己責任で行ってください。
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