
2025年12月22日、世界2位の暗号資産取引所Bybitが、日本居住者向けサービスの終了を正式発表しました。10月末の新規受付停止から約2ヶ月、ついに「完全撤退」の道を選んだのです。この動きは単なる1社の撤退ではなく、金融庁が12月10日に公表したワーキング・グループ報告が示す「日本の暗号資産市場の構造転換」の最前線なのです。
本記事で分かること
- Bybit撤退の3段階スケジュール
- バイナンス・Coinbaseと何が違うのか
- 金融庁ワーキング報告が示す2028年以降の市場

Bybit撤退が日本市場に与える衝撃

2025年12月22日、世界第2位の暗号資産取引所Bybitが日本居住者向けサービスの完全終了を正式発表しました。2026年1月22日までにKYC Level 2(住所証明を含む本人確認)を完了しないユーザーは段階的に利用制限を受けます。
金融庁から過去3回(2021年5月、2023年3月、2024年11月)の警告を受けた末の決断で、今後MEXC・BTCC・KuCoinなど他の海外取引所も同様の撤退を迫られる可能性があります。この動きは、金融庁が12月10日に公表した「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告」に沿った、日本市場の構造転換の始まりです。
Bybit 2025/12/22|日本居住者の皆様への重要なお知らせ
撤退の全スケジュール
Bybitの撤退は、3段階で進行します。
第1段階:2025年10月31日 21時
→ 日本居住者の新規受付停止(既存ユーザーは利用継続可能)
第2段階:2025年12月22日
→ 完全撤退を正式発表(CoinPostなど各メディア報道)
第3段階:2026年1月22日
→ KYC Level 2(本人確認第2段階)未完了ユーザーに対して段階的な利用制限を開始
なぜBybitは撤退を選んだのか?──金融庁との対立
Bybitは過去3回、金融庁から警告を受けています。
| 警告回数 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2021年5月 | 無登録営業に対する警告 |
| 第2回 | 2023年3月 | 改善が見られないとして再警告 |
| 第3回 | 2024年11月 | 最終警告(登録または撤退の二択) |
金融庁は「無登録業者の排除」を加速させており、Bybitはこの最終警告を受けて「まず撤退」という判断を下しました。バイナンスのように日本法人を設立する可能性は残されていますが、現時点では完全撤退の方向で動いています。
KYC Level 2とは?
Bybitが2026年1月22日以降制限をかける「KYC Level 2」とは、以下の本人確認です。
| KYC Level | 必要書類 | できること |
|---|---|---|
| Level 1 | 顔写真付き身分証(運転免許証・パスポートなど) | 出金上限:1日2万ドル |
| Level 2 | Level 1 + 住所確認書類(公共料金明細・銀行取引明細など) | 出金上限:1日10万ドル |
つまり、Level 2未完了のユーザーは2026年1月22日以降、出金や取引に制限がかかります。
Bybit・バイナンス・Coinbaseの決定的な違い
海外取引所の日本撤退には、実は2つのパターンがあります。
パターン①:完全撤退型(Coinbase型)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 撤退時期 | 2023年1月に撤退を発表(サービス停止は2月16日) |
| 理由 | 市場環境の変化(仮想通貨市場の低迷) |
| 金融庁との関係 | 警告なし(自主的撤退) |
| その後 | 完全撤退(日本再参入なし) |
Coinbaseは金融庁と対立せず、市場判断で撤退しました。
パターン②:Japan設立型(バイナンス型)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 撤退時期 | 2023年11月30日(グローバル版完全停止) |
| 理由 | 金融庁の警告(無登録営業) |
| 金融庁との関係 | 2回警告→グローバル版撤退→バイナンスジャパン設立 |
| その後 | バイナンスジャパンとして正式に金融庁登録(2023年8月1日サービス開始) |
バイナンスは「グローバル版撤退→日本法人設立」という戦略的撤退を選びました。
バイナンスジャパンは「別物」になった
しかし、バイナンスジャパンはグローバル版とは全く別物です。
| 比較項目 | バイナンス・グローバル | バイナンスジャパン |
|---|---|---|
| レバレッジ | 最大125倍 | なし(現物のみ) |
| 取扱銘柄 | 約400種類 | 64銘柄(2025年12月時点) |
| 先物取引 | 可能 | 不可 |
| 手数料 | 0.1%(低い) | 0.1%前後(JPY建て無料キャンペーン中) |
| KYC | 緩い | 厳格 |
Bybitはどうなる?──Bybit Japanの可能性
Bybitも「Bybit Japan」を設立する可能性はゼロではありません。しかし、もし設立されてもバイナンスと同じ運命をたどるでしょう。
予想されるBybit Japanのスペック(予測)
| 項目 | Bybitグローバル | BybitJapan(予測) |
|---|---|---|
| レバレッジ | 最大100倍 | なし(現物のみ) |
| 取扱銘柄 | 約300種類 | 30〜50種類 |
| 先物取引 | 可能 | 不可または制限あり |
| 手数料 | Maker 0.02% / Taker 0.055% | 0.1〜0.15% |
| KYC | 緩い | 厳格 |
金融庁ワーキング報告が示す日本市場の未来

2025年12月10日、金融庁は「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(PDF)」を公表しました。
この報告書が示す3つの方向性を読み解けば、Bybit撤退の真の意味がわかります。
👉:合わせて読みたい【ニュース深掘り】仮想通貨税制が歴史的転換!申告分離20%で日本市場に何が起きる?
方向性①:ステーブルコイン規制は「完了」──促進フェーズへ
2023年6月、ステーブルコイン規制が施行されました。
金融庁は「ステーブルコインは促進する」姿勢を明確にしており、以下の動きが加速しています。
国内外の動き:
- 三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンクが円建てステーブルコイン実証実験を開始
- VISAが米国でUSDC決済を開始(2025年12月16日)
- FRBが暗号資産企業に決済システム「ペイメントアカウント」提案
→ 関連記事:FRBが仮想通貨企業に門戸開放──日本の決済が変わる転換点
方向性②:無登録業者・DEX対応の強化──海外CEXの排除加速
金融庁は報告書で無登録業者への取り締まり強化を明記しています。
今後の展開予想:
- MEXC・BTCC・KuCoinなどもBybitと同じ道をたどる可能性
- DEX(分散型取引所)に対しても監視体制を強化
DEXとは?
DEX(Decentralized Exchange)= 分散型取引所。管理者がいないため、現状は金融庁の規制対象外。しかし、金融庁はEUの「MiCA規制」を参考に、DEXも今後規制対象にする方向で動いています。
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】DEXとは?仮想通貨取引の新時代を切り開く仕組み
方向性③:事業規制の基本的方向性──デリバティブは「金融商品」
金融庁は報告書でデリバティブ取引を「金融商品」と明確に位置づけました。
これが意味するのは、金融規制の適用対象になるということです。
具体的には:
- 先物取引・レバレッジ取引は「金融商品取引法」の規制対象
- 海外CEXでの高レバレッジ取引は「無登録営業」と見なされる
金融庁の意図を読み解く──「国内回帰」を促進
金融庁の戦略を整理すると、以下のようになります。
| 施策 | 狙い |
|---|---|
| ステーブルコイン規制完了 | 決済インフラとしての普及促進 |
| 無登録業者の排除 | 海外CEXの排除 |
| DEX監視強化 | 抜け道を塞ぐ |
| 税制改正(20%申告分離課税・2028年~) | 国内CEXへの資金回帰を促す |
→ 関連記事:仮想通貨税制が歴史的転換!申告分離20%で日本市場に何が起きる?
2028年は「二極化元年」──富裕層の海外脱出 vs 国内回帰
金融庁の規制強化により、日本の仮想通貨市場は「二極化」します。
富裕層が日本を離れる3つの理由
理由①:CARF制度で海外取引がすべて丸見えに
2026年1月から「CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)」という国際情報共有制度が始まります。
CARFとは?
- 海外取引所での取引データが、日本の税務当局に自動報告される仕組み
- 2026年1月~:記録開始
- 2027年4月:国内取引所が税務署に報告
- 2027年以降:各国税務当局間で情報交換開始
つまり「海外で稼いだことを国税庁に把握される」時代が来ます。
👉:合わせて読みたい【ニュース深掘り】2026年1月1日からCARF制度が始まる!海外取引を国税庁が把握する時代へ
理由②:DEX監視強化で「抜け道」も塞がれる
金融庁のワーキング報告では、DEX(分散型取引所)への監視強化が明記されています。
今後の展開予測:
- EUの「MiCA規制」を参考に、DEXにも規制を適用
- 将来的に「DEX利用も金融規制対象」になる可能性
理由③:20%でも世界と比べると「高い」
日本は2028年1月から暗号資産の税率を「申告分離20.315%」に引き下げる方針ですが、世界と比べると依然として高い水準です。
| 国 | 暗号資産の税率 |
|---|---|
| シンガポール | 0%(非課税) |
| ドバイ(UAE) | 0%(非課税) |
| ポルトガル | 0%(非課税) |
| 香港 | 0%(非課税) |
| 日本 | 20.315%(2028年1月以降) |
富裕層にとって、日本に留まる理由はもうないのです。
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中間層・庶民はどうする?──現実的な3つの選択肢
選択肢①:国内CEXで安定運用(bitFlyer・GMO・SBI)
✅ メリット:
- 金融庁登録済みで安心
- 日本円の入出金が簡単
- 日本語サポートあり
❌ デメリット:
- レバレッジは最大2倍まで
- 取扱銘柄が少ない(主要通貨のみ)
選択肢②:DEXで高レバ取引(edgeX・Hyperliquid・dYdX)
✅ メリット:
- 高レバレッジ取引が可能(最大100倍〜)
- KYC不要
- 自己管理型(取引所倒産リスクなし)
❌ デメリット:
- 将来的に規制対象になる可能性
- 秘密鍵紛失リスク
- ガス代(手数料)が必要
- UI/UXに慣れが必要
👉:関連記事:Bybit資産移動完全ガイド|DEXへの移行方法
選択肢③:ハードウェアウォレットで長期保有(HODL)
✅ メリット:
- 税制改正(2028年)まで非課税で保有できる
- ハッキングリスクほぼゼロ
❌ デメリット:
- 短期売買には不向き
- 紛失リスクあり
🔒 おすすめハードウェアウォレット:
- Ledger Nano X(約2.5万円)
- Tangem Ring(約2万円)
👉:合わせて読みたい【仮想通貨】史上初!指輪型のハードウェアウォレットのTANGEMを徹底解説!
現実的な結論:日本の暗号資産市場は「縮小」する
金融庁の「利用者保護」は、以下の結果を招くでしょう。
| 結果 | 詳細 |
|---|---|
| 富裕層の海外脱出加速 | シンガポール・ドバイ・ポルトガルへ |
| 海外CEXの更なる撤退 | MEXC・BTCC・KuCoinも撤退か |
| DEXに資金流入→規制 | 一時的にDEXに流入するが、将来規制される |
| 国内CEXは魅力限定的 | レバレッジなし・銘柄少ない |
まとめ:Bybit撤退は始まりに過ぎない
Bybitの完全撤退は、金融庁の「無登録業者排除」戦略の最前線です。しかし、この流れは税制改正(2028年から20%)とステーブルコイン促進という追い風もあります。
2028年は、日本の暗号資産市場が「規制 × イノベーション」で再構築される転換点になるでしょう。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
海外取引所・DEX利用時の重要な注意事項
法的リスクについて
・日本居住者の利用は、完全に自己責任での利用となります
・資金保護や紛争解決において、日本の法的保護を受けられません
・エアドロップや取引利益は課税対象です。必ず税務申告を行ってください
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