
2025年12月19日、政府・与党(自民党・日本維新の会)が発表した2026年度税制改正大綱に、現行の最大55%という重税から、株式と同じ一律20%の申告分離課税への転換が盛り込まれました。しかし、SNSやニュースを見ると「2027年から?」「いや2028年?」「デリバティブだけ?」と混乱が広がっています。さらに、2026年1月から先行して始まるCARF制度(国際的な取引情報共有)との関係も複雑で、多くのトレーダーが「結局いつから何が変わるの?」と戸惑っているのが現状です。今回の税制改正は本当にトレーダーの味方なのか、それとも条件付きの"見せかけ"なのか──最新情報を徹底的に深掘りし、実務への影響を解説します。
本記事で分かること
- 申告分離課税20%の適用開始は「2027年」か「2028年」か
- 2026年CARF制度と2028年税制改正の「2段階変化」
- トレーダーが2025年中にすべき具体的な行動

※本記事の施行時期(2028年1月)は、2025年12月時点の業界関係者の見解と複数メディアの報道に基づくものです。正式な施行時期は今後の国会審議で確定します。
2026年度税制改正大綱の全容──何が決まり、何が「保留」なのか?

正式決定された内容
12月19日に決定された2026年度税制改正大綱では、以下の内容が明記されました:
✅ 確定した内容
- 税率: 一律20%(所得税15%+住民税5%)の申告分離課税
- 損失繰越: 3年間の繰越控除制度を創設
- 損益通算: 暗号資産取引間での損益通算が可能
- 対象取引: 現物取引、デリバティブ取引、ETF(上場投資信託)から生じる所得
- 適用条件: 「金融商品取引法等の改正を前提に」措置を講ずる
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「特定暗号資産」の定義──どの銘柄が対象?
大綱では、分離課税の対象を「特定暗号資産」に限定しています。具体的には:
- 金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等
- 国内の暗号資産取引業者で取り扱われる銘柄
- 「国民の資産形成に資する暗号資産」という表現
⚠️ 注意点:
- 海外取引所での取引は対象外の可能性が高い
- DeFi(分散型金融)での取引も除外される見込み
- 具体的な銘柄リストは金商法改正後に決定
特定暗号資産とは?
特定暗号資産は、株式投資における「特定口座」の暗号資産版。国内取引所で取り扱い、金融商品取引法の規制下にある銘柄のみが対象となる。海外取引所での取引やDeFiは、現在の定義では対象外となる可能性が高い。
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現行制度との比較──税負担はどう変わる?
| 項目 | 現行制度(雑所得) | 新制度(申告分離課税) |
|---|---|---|
| 課税方式 | 総合課税(給与等と合算) | 分離課税(独立計算) |
| 税率 | 累進課税(最大55%) | 一律20% |
| 損益通算 | 不可 | 暗号資産取引間で可能 |
| 損失繰越 | なし | 最大3年間繰越可能 |
| 適用開始 | 現在も継続 | 2027年または2028年(後述) |
| 対象銘柄 | 全ての暗号資産 | 「特定暗号資産」のみ |
| 海外取引所 | 対象(申告義務あり) | 対象外の見込み |
「2027年」か「2028年」か──施行時期の混乱を解消する
なぜ「2027年説」と「2028年説」が並存するのか?
税制改正大綱の記載では、適用開始時期を以下のように定めています:
「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡等について適用する」
この文言が、混乱の原因です。
想定される2つのシナリオ
シナリオ①:2027年1月施行(楽観シナリオ)
前提条件:
- 2026年1月:通常国会開会
- 2026年3月:金商法改正案が成立
- 2026年4月〜12月:施行準備期間
- 2026年中に金商法が施行
結果: → 2026年中に金商法施行 → 翌年2027年1月1日から分離課税適用
可能性: 低い(準備期間が不足)
シナリオ②:2028年1月施行(現実的シナリオ)
前提条件:
- 2026年1月:通常国会開会
- 2026年3月:金商法改正案が成立
- 2026年4月〜2027年12月:施行準備期間(約1年半)
- 取引所のシステム改修
- インサイダー規制の整備
- 特定口座制度の構築
- 投資家保護体制の確立
- 2027年中に金商法が施行
結果: → 2027年中に金商法施行 → 翌年2028年1月1日から分離課税適用
可能性: 高い(業界関係者の見解、CoinDesk・日経報道)
今後の予想スケジュール
| 時期 | 内容 | 確度 |
|---|---|---|
| 2025年12月下旬 | 政府「税制改正の大綱」閣議決定 | ✅確定 |
| 2026年1月 | 通常国会開会 | ✅確定 |
| 2026年1月1日 | CARF制度施行(取引情報記録開始) | ✅確定 |
| 2026年1〜2月 | 金商法改正案を国会提出 | ◎ほぼ確実 |
| 2026年3月 | 金商法改正案成立 | ◎ほぼ確実 |
| 2026年4月〜2027年12月 | 施行準備期間(システム整備・規制構築) | ○可能性大 |
| 2027年中 | 金商法改正法施行 | ○可能性大 |
| 2027年中 | CARF国際情報交換開始(2026年分) | ○可能性大 |
| 2028年1月1日 | 申告分離課税適用開始 | ○最有力 |
CARF制度との関係──「監視強化」→「税率軽減」の2段階変化

多くのトレーダーが見落としている重要ポイント
今回の税制改正による申告分離課税20%の適用は2028年1月からですが、その前に2026年1月からCARF制度による国際的な取引情報の捕捉が始まります。
つまり、「税負担が軽くなる」前に「取引が見える化される」という順序です。
CARF制度とは?
CARF(Crypto-Asset Reporting Framework/暗号資産等報告枠組み)は、OECD主導の国際的な税務透明性制度です。
主なポイント:
- 海外取引所での取引情報が各国税務当局に自動報告される
- 日本を含む2023年時点で48カ国が参加
- 2026年1月1日から取引情報の記録開始
- 2027年から各国間で情報交換が開始される見込み
CARF制度とは?
CARF制度は、OECD(経済協力開発機構)が主導する、仮想通貨取引情報を国境を越えて自動的に交換する国際的な枠組み。2026年1月から取引情報の記録が始まり、2027年から各国税務当局間で情報共有が開始される。「申告していなければバレない」時代が終わる。
👉詳しくは関連記事をご覧ください:【ニュース深掘り】2026年1月1日からCARF制度が始まる!海外取引を国税庁が把握する時代へ
トレーダーにとっての「2段階の変化」タイムライン
【Phase 0: 2025年末まで】
├─ 旧税制継続(最大55%)
├─ 海外取引も捕捉されにくい状態
└─ ⚠️ 準備期間:取引履歴整理・過去申告検討
【Phase 1: 2026年1月〜 CARF施行】
├─ 海外CEX取引情報の記録開始
├─ 2027年に各国税務当局へ報告
├─ 旧税制継続(最大55%)
└─ ⚠️ 重要:情報捕捉が始まるが税率は変わらず
【Phase 2: 2027年】
├─ CARF情報交換開始(2026年分)
├─ 金商法改正法施行(見込み)
└─ 旧税制継続(最大55%)
【Phase 3: 2028年1月〜 税制改正施行】
├─ 申告分離課税20%適用開始
├─ 損失繰越・損益通算も開始
├─ CARF情報捕捉は継続中
└─ ✅ 税負担軽減+透明性確保
海外取引所利用者への影響
| 制度 | CARF(2026年〜) | 税制改正(2028年〜) |
|---|---|---|
| 海外CEX取引 | ✅ 情報捕捉対象 | ❌ 20%税率対象外 |
| 国内CEX取引 | ✅ 情報捕捉対象 | ✅ 20%税率対象 |
| DEX取引 | △ 間接的に捕捉 | ❌ 20%税率対象外 |
⚠️重要: 海外取引所を使っている方は、2026年から情報が捕捉されるが、税率20%の恩恵は受けられない可能性が高いです。
実際のインパクトと今すべき行動──2025年の戦略的準備
税負担はどう変わる?簡潔シミュレーション
年間利益500万円のケース(給与所得600万円)
| 状況 | 現行制度 | 新制度(2028年〜) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 国内CEX利用 | 税額224万円 | 税額100万円 | +124万円 |
| 海外CEX利用 | 税額224万円 | 税額224万円(対象外) | 変わらず |
損失繰越の威力(3年間)
- 2028年:△300万円の損失 → 2029年:+500万円の利益
- 繰越なし:500万円×20%=100万円納税
- 繰越あり:(500万円−300万円)×20%=40万円納税
- 節税効果:60万円
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2025年中にすべき5つの行動(優先順位順)
最優先:過去の未申告取引を2026年CARF施行前に整理
- 2026年1月からCARFで取引情報記録が始まる
- 指摘される前の自主申告で加算税軽減の可能性
- 仮想通貨税務に詳しい税理士に相談
重要:2026〜2027年は利益確定を抑える
- 2026〜2027年の利益 → 旧税制(最大55%)
- 2028年の利益 → 新税制(20%)
- 大きな利益確定は2028年まで見送りを検討
検討:「特定暗号資産」対象銘柄への資産移管
- 海外CEX銘柄は20%税率対象外の可能性
- 国内CEXの主要銘柄(BTC、ETH等)は対象の見込み
- 移管自体が課税イベントになる可能性(税理士要相談)
必須:取引履歴の徹底管理
- 損益計算ツール(Gtax、クリプタクト等)の活用
- 2026年分から特に正確に記録(CARF対象期間)
- 2027年末の損益把握(損失繰越に備える)
推奨:税理士への早期相談
- CARF施行と税制改正の2段階変化は複雑
- 個別の状況に応じた戦略が必要
- 年間利益100万円超、複数取引所利用者は特に推奨
Q&A:読者が混乱しやすいポイントを解説
Q1: 「2026年から新制度」と聞いたけど、税率20%はいつから?
A: 2026年から始まるのはCARF(情報捕捉制度)で、税率20%の適用は2028年1月からです。
Q2: 海外取引所を使っているけど、どうなる?
A: 両方の影響を受けます
- CARF(2026年〜): 取引情報が税務当局に報告される
- 税制改正(2028年〜): 海外CEXは20%税率対象外の可能性大
Q3: 結局、2025年中に何をすべき?
A: 優先順位の高い順に:
- 過去の未申告取引の整理(2026年CARF施行前)
- 取引履歴の整理と記録の習慣化
- 国内取引所への資産移管検討
- 税理士への相談
まとめ:「監視強化」と「税率軽減」の同時進行を理解する
2026年度税制改正大綱で仮想通貨の申告分離課税20%が明記されました。しかし施行は2028年1月が最有力で、その前に2026年1月からCARF制度で取引情報の捕捉が始まります。
覚えておくべき3つのポイント:
- 2026年〜: CARF で情報捕捉開始(税率は旧制度55%継続)
- 2028年〜: 申告分離20%適用(ただし「特定暗号資産」限定)
- 海外CEX利用者: 情報は捕捉されるが税率軽減対象外の可能性
「税率が下がる前に、取引が見える化される」という順序を理解し、2025年中に過去の申告状況確認と取引履歴の整理を進めましょう。準備期間は今しかありません。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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