
米連邦準備制度理事会(FRB)が3会合連続の利下げを決定したものの、市場の反応は一筋縄ではいきません。ビットコインは一時9万4,000ドルまで急騰後に反落、米国株は上昇したものの日本株は終値でマイナス転落。2026年の利下げペースが「年1回」に大幅減速する見通しが示され、投資家は「これは買い材料?それとも警戒信号?」と困惑しています。FRB内部では異例の反対票3票という分裂状態も浮き彫りに。この利下げ決定が、仮想通貨(暗号資産)市場、米国株、日本株、為替市場にどう影響するのか──最新データと出典を明示しながら詳しく解説します。
本記事で分かること
- FRBの利下げ決定内容と2026年の金融政策見通し
- ビットコインなど仮想通貨市場への具体的な影響
- 米国株・日本株・為替市場の反応と今後の展望

FRBが3会合連続で0.25%利下げ決定!だが内部は大荒れ

政策金利は3.50~3.75%へ、しかし反対票3票の異常事態
2025年12月10日(米国時間)、🇺🇸FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げ、誘導目標を3.50~3.75%とすることを決定しました。
これで3会合連続の利下げとなります(出典:Reuters、2025年12月10日)。
しかし、今回の利下げ決定は平和的なものではありませんでした。投票権を持つメンバーから3票もの反対票が出たのです。内訳は以下の通り:
| 投票者 | 反対理由 |
|---|---|
| カンザスシティー連銀ジェフリー・シュミッド総裁 (Jeffrey Schmid) |
据え置きを主張 |
| シカゴ連銀オースタン・グールズビー総裁 (Austan Goolsbee) |
据え置きを主張 |
| FRB理事ベス・ハマック (Beth Hammack) |
より大幅な利下げ(0.5%)を主張 |
出典:CNBC, Bloomberg, Reuters(2025年12月10日報道)
FOMCとは?
FOMC(連邦公開市場委員会)は米国の金融政策を決定する会合で、年8回開催されます。FRB理事会メンバー7名と地区連銀総裁5名(うちニューヨーク連銀は常に投票権を持つ)が投票し、政策金利(FFレート)を決定します。この金利が世界中の株式・債券・仮想通貨市場に影響を与えるため、投資家が最も注目するイベントの一つです。
「無言の反対」も多数──ドット・プロットが示す内部の亀裂
ブルームバーグの報道によると、投票権を持たない地区連銀総裁らにも反対意見が多く、金利予測分布図(ドット・プロット)では6人が「今回の利下げは不要だった」ことを示唆しています。
これは「無言の反対(Silent Dissents)」とも呼ばれ、FRB内部の深刻な分裂を浮き彫りにしています(出典:Bloomberg, "Silent Dissents Reveal Growing Fed Resistance to Powell's Cuts", 2025年12月11日)。
さらに、12地区連銀のうち、公定歩合引き下げを要請したのはわずか4地区のみ。残る8地区は据え置きを望んでおり、地区連銀レベルでも利下げ反対が多数派だったことがわかります。
ドット・プロットとは?
ドット・プロット(金利予測分布図)は、FOMCメンバーが「適切だと考える将来の政策金利水準」を点(ドット)で表した散布図。年4回(3月・6月・9月・12月)に公表され、メンバーの意見のバラつきが一目でわかります。今回は6人が「今回の利下げは不要」と示唆しており、内部の意見対立が鮮明になっています。
2026年は利下げ「年1回」予想に大幅減速!市場の期待を裏切る
9月予想を維持も、市場は失望売り
FOMCと同時に公表された経済見通し(ドット・プロット)では、2026年の利下げ予想は年1回(0.25%)にとどまりました。
これは9月のFOMC予想と同じですが、市場の一部では「年2回以上」を期待していたため、タカ派的な内容と受け止められました(出典:Reuters, CNBC, 2025年12月10日)。
| 項目 | 2025年実績 | 2026年予想 |
|---|---|---|
| 利下げ回数 | 3回(計0.75%) | 1回(0.25%) |
| 年末政策金利 | 3.50~3.75% | 3.25~3.50% |
| インフレ見通し(PCE) | やや高止まり | 緩やかな低下 |
出典:FRB Summary of Economic Projections(SEP), 2025年12月10日
🇺🇸パウエル議長は記者会見で、
「米国経済は展開を様子見できる良い状況にある(We're well-positioned to wait and see)」
と述べ、追加利下げは「データ次第」との慎重姿勢を強調しました。つまり、利下げペースの大幅鈍化を示唆したわけです(出典:WSJ, 2025年12月10日)。
タカ派とハト派とは?
金融政策の姿勢を鳥に例えた表現です。
- タカ派(Hawkish):インフレ抑制を優先し、利上げや引き締め政策を支持する立場。金利上昇で株式・仮想通貨には逆風。
- ハト派(Dovish):景気・雇用を優先し、利下げや緩和政策を支持する立場。金利低下で株式・仮想通貨には追い風。
今回は「利下げはしたが、来年の利下げペースを大幅減速」という意味で「タカ派的な利下げ」と呼ばれています。
FRB内部分裂の深刻さ──次期議長は誰がなっても困難
ブルームバーグは、
「パウエル議長のような尊敬される人物の下ですら3票の反対が出た。次期議長(2026年5月任期満了後)は誰がなってもFOMCの意見集約に苦労するだろう」
と分析しています(出典:Bloomberg, 2025年12月11日)。
次期FRB議長候補には、トランプ政権のケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長が最有力視されていますが、このような分裂状態では、誰が就任しても舵取りは困難でしょう(出典:Reuters, CNBC, 2025年12月報道)。
仮想通貨市場の反応:ビットコインは「事実確定売り」で急反落

一時9.4万ドル急騰も、デリバティブ市場で売り圧力
ビットコイン(BTC)はFOMC発表直後、一時9万4,000ドル台まで急騰しました。利下げ決定を好感した現物市場の買いが入ったためです(出典:CoinPost, 2025年12月11日)。
しかし、その後は急反落。執筆時点(12月11日午前10時)では24時間比でマイナス圏に沈んでいます。
暗号資産アナリストの仮想NISHI氏によると、デリバティブ市場でのロングポジション解消(事実確定売り)が現物買いを上回った可能性があるとのことです。
| 市場 | 動向 |
|---|---|
| 現物市場 | 買い継続(FOMC後も流入) |
| デリバティブ市場 | 売り優勢傾向(ポジション整理の動き) |
| オプション市場 | プット・コールレシオ低下(強気姿勢) |
出典:CoinPost Market Report, 2025年12月11日(分析:仮想NISHI)
⚠️重要な注意点:上記の市場動向は複数の要因が同時に作用している可能性があり、デリバティブのロング解消が唯一の要因とは断定できません。CoinglassやThe Blockなどのオンチェーンデータによれば、FOMC前後で清算(liquidation)が発生しており、これが価格変動の一因となっている可能性があります(出典:Coinglass, The Block, 2025年12月10-11日データ)。
デリバティブとは?
デリバティブ(派生商品)とは、現物資産(ビットコイン本体)を直接取引せず、価格変動を利用して利益を狙う金融商品です。主な種類は、先物(Futures):将来の価格で売買する約束、オプション:一定価格で買う/売る権利、永続契約(Perpetual):期限のない先物。
レバレッジをかけられるため、少額で大きな取引ができる反面、価格が逆に動くと強制決済(清算/liquidation)されるリスクがあります。
オプション市場の動向──10万ドル vs 8万ドルのレンジ相場予想
オプション市場のデータを見ると、高ストライク価格帯のコール(買いオプション)建玉が目立つ傾向にあります。
特に12月満期のオプションでは、複数の報道によると10万ドル付近のコール建玉が大きいことが確認されています(出典:Deribit市場データ, Yahoo Finance, AInvest, 2025年11月下旬報道)。
ただし、「どのストライクが最大建玉か」は日々変動するため、最新データは取引所(Deribit等)の公式OI(Open Interest)データを確認することを推奨します。
一方で、8万~8.5万ドル帯のプット(売りオプション)も増加傾向にあり、市場参加者は「10万ドル~8万ドル」のレンジ相場を中短期的な主要シナリオとして意識していると推察されます(出典:CoinPost, 2025年12月11日)。
コールとプットとは?
オプション取引の2つの基本タイプ:
- コール(Call):「買う権利」。価格上昇を期待する投資家が購入。
- プット(Put):「売る権利」。価格下落を予想する投資家が購入。
例えば「10万ドルのコール」とは、「10万ドルでビットコインを買う権利」を意味し、建玉が多いほど「そこまで価格が上昇する」と予想する投資家が多いことを示します。
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年末にかけて軟調リスク──クリスマス休暇で流動性低下
暗号資産アナリストの仮想NISHI氏は「今後目立ったイベントが予定されておらず、年末にかけて軟調基調となるリスクがある」と警鐘を鳴らしています(出典:CoinPost, 2025年12月11日)。特に注目すべきは以下の点:
- 12月16日:米小売統計・雇用統計(次の材料)
- 12月19日以降:欧米クリスマス休暇で機関投資家の新規資金流入は期待薄
- 過去8年の動向では、2020年(CME ETH先物上場)を除き、クリスマス期は軟調
- 流動性低下により**急騰・急落が発生しやすい**
BTCと伝統資産の相関──「過去2か月」は変動傾向に
興味深いのは、ビットコインと伝統資産(株式・金)の相関が時期によって大きく変動している点です。
CoinPostのレポートでは「過去2か月間、BTCはダウ・S&P500・金と逆相関傾向」と記載されていますが、相関係数は計測期間・頻度・価格データによって大きく変わるため、注意が必要です。
実際、複数の研究機関のデータを見ると:
- Newhedge(2025年12月データ):BTC vs S&P500の30日ローリング相関は約+0.3(正の相関)
- Reuters(2025年12月9日報道):2025年の大半でBTCとS&P500は正の相関を維持
- The Block, State Street(2025年データ):相関は時期によって変動し、一定期間で負の相関が出ることもある
出典:Newhedge Bitcoin vs US Equities Correlation Chart, Reuters "Bitcoin's 2025 rollercoaster may end on a low", The Block BTC Pearson Correlation (30D)
重要な結論:ビットコインと株式市場の相関は一定ではなく、時期・期間によって大きく変動します。短期的には負の相関が見られる時期もあれば、長期的には正の相関が優勢な時期もあります。投資判断の際は、最新の30日ローリング相関データ(30日ごとに移動しながら計算した相関係数)を参照することを強くお勧めします。
仮想通貨市場固有の内部要因も影響か
CoinPostの分析では、BTCの独自動向について以下の内部要因を挙げています:
- 2025年10月のバイナンスでのフラッシュクラッシュ
- 2025年11月のBalancer流出事故を契機とした一部ステーブルコインのデペッグ懸念
これらの事象により一部投資家が損失を被り、仮想通貨市場全体への資金流入が鈍化している可能性が指摘されています(出典:CoinPost, 2025年12月11日)。
米国株・日本株・為替市場の反応:明暗分かれる複雑な展開
米国株は上昇──ダウ497ドル高で3日ぶり反発
🇺🇸米国株式市場は、FOMC後にダウ工業株30種平均が497ドル(1%)高の4万8,057ドルで取引を終え、3日ぶりに反発しました(出典:Nikkei, Reuters, 2025年12月10日)。
S&P500とナスダック総合指数も上昇。パウエル議長の「展開を様子見できる良い状況」発言が好感され、「急激な緊縮はない」との安心感が広がりました。
ダウ・S&P500・ナスダックとは?
米国株式市場を代表する3つの指数:
- ダウ工業株30種平均(Dow Jones):米国を代表する大企業30社(Apple, Microsoft等)の株価平均。歴史が長く、伝統的な指標。
- S&P500:米国の主要500社の株価を時価総額で加重平均した指数。最も信頼されている米国市場全体の指標。
- ナスダック総合指数:ハイテク企業中心の約3,000社を含む指数。IT・AI企業の動向を反映。
これらが上昇すると「リスクオン(投資家がリスクを取りやすい環境)」と見なされ、仮想通貨にも追い風となることが多いです。
日本株は「朝方は反発も午後に失速」──日経平均は453円安で続落
🇯🇵一方、12月11日の東京株式市場では、日経平均株価が反発スタートも午後に失速し、前日比453円98銭(0.90%)安の5万0,148円82銭で続落しました(出典:Nikkei, 2025年12月11日)。
朝の取引開始直後(寄り付き)は前日比215円高で始まり、一時273円高まで上昇したものの、その後は売りが優勢に。米国株高を好感した買いが続かず、利益確定売りに押されました。
| 市場 | FOMC後の反応 |
|---|---|
| 米国株(ダウ) | +497ドル(+1%) |
| 日本株(日経平均) | -453円(-0.9%) |
| ビットコイン | 9.4万ドル急騰後に反落 |
出典:Nikkei, Reuters, CoinPost(2025年12月10-11日)
利益確定売りとは?
株価が上昇した後、投資家が「今のうちに利益を確定しておこう」と保有株を売却すること。特に上昇後の高値圏では利益確定売りが出やすく、一時的に株価が下がります。「材料出尽くし」とも呼ばれ、良いニュースが出た直後に売られる現象です。
ドル円は155円台後半へ──FOMC後の米金利低下で円高
為替市場では、ドル円が155円台後半まで円高に振れました。FOMC後に米長期金利が低下(債券価格は上昇)したため、円買い・ドル売りが優勢となりました(出典:Nikkei, Reuters, 2025年12月11日)。
一時156円台後半まで上昇する場面もありましたが、パウエル議長の慎重姿勢を受けて反落。東京市場午前には155円49銭まで円高が進みました。
ドル円と為替市場とは?
ドル円とは、1米ドルを何円で買えるかを示す為替レート。例えば「ドル円155円」は「1ドル=155円」を意味します。
- 円高:ドル円が下がる(例:156円→155円)。日本円の価値が上昇。
- 円安:ドル円が上がる(例:155円→156円)。日本円の価値が下落。
仮想通貨トレーダーにとって、ドル建てBTC価格と円建てBTC価格の差は為替の影響を受けるため、ドル円の動きも重要です。
今後の市場見通し──2026年は「データ次第」の不透明な時代へ

注目すべき3つのポイント
今回のFOMC決定を受け、今後の市場で注目すべきポイントは以下の3つです。
①12月16日の米小売統計と雇用統計
パウエル議長は「追加利下げはデータ次第」と明言しました。つまり、12月16日発表の米小売統計と雇用統計が極めて重要になります。
- 雇用が予想以上に悪化 → 追加利下げ期待が高まり、リスク資産(株式・仮想通貨)に追い風
- インフレが再燃 → 利下げ停止観測が強まり、株式・仮想通貨に逆風
②年末年始の流動性低下リスク
12月19日以降、欧米の機関投資家はクリスマス休暇に入ります。この期間は流動性が著しく低下し、急騰・急落が発生しやすくなります。
特にビットコインは、過去のクリスマス期に軟調な展開が多く、ポジション管理の慎重さが求められます(出典:CoinPost, 2025年12月11日)。
③FRB内部分裂と2026年の政治リスク
今回のFOMCで浮き彫りになったFRB内部の深刻な分裂は、2026年の金融政策に大きな不確実性をもたらします。
さらに、パウエル議長の任期満了(2026年5月)後、トランプ政権が指名する次期議長が誰になるかも焦点です。政治的な圧力が金融政策に影響する可能性もあり、市場は警戒を強めています(出典:Bloomberg, Reuters, 2025年12月報道)。
まとめ:FRB利下げでも市場は複雑──「データ次第」の時代へ
FRBの3会合連続利下げは、一見すると市場にポジティブな材料です。しかし、2026年の利下げペース鈍化、FRB内部の異例の分裂、パウエル議長の慎重姿勢という3つの要素が絡み合い、市場の反応は一筋縄ではいきませんでした。
ビットコインは現物買いとデリバティブ市場の動きが交錯し、米国株は上昇も日本株は失速、為替は円高に振れるなど、各市場で明暗が分かれる複雑な展開となっています。
2026年は「データ次第」の不透明な時代に突入します。投資家は、雇用統計・インフレ指標・FRB高官の発言といった経済データを注視しながら、慎重な姿勢で臨む必要がありそうです。
重要な投資リスク警告
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