
12月2日、激動の48時間を経てビットコインが9万ドル台を回復しました。しかし安心するのは早い——を開けば「ここから爆上げ」「いや、まだ下がる」と意見が真っ二つ。著名アナリストのレポートを読んでも、誰一人として同じ見通しを語っていません。なぜ今、これほど専門家の予想が割れているのか? そしてこの「せめぎ合い」の先に何が待っているのか?徹底解説します。
本記事で分かること
- ビットコイン12月激動の48時間で何が起きたか
- なぜ専門家の予想がここまで割れているのか
- レンジ相場のブレイクポイントと今後の注目材料

12月1〜2日、ビットコイン市場で起きた激動の48時間

8.3万ドルへの急落、そして9.1万ドルへの反発
2025年12月1日 月曜日(米国時間)、ビットコインが突如として急落を開始しました。日本では12月1日深夜から2日未明にかけての出来事で、朝起きたら「BTCが8万ドル台に急落!」というニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。
| 時系列(UTC) | 価格推移 | 出来事 |
|---|---|---|
| 12月1日早朝〜午前(UTC) | 8.3万ドル台まで急落(Bloomberg報道) | DeFiプラットフォーム「Yearn Finance」不正流出報道 |
| 12月1日終日(UTC) | 8.5〜8.7万ドルで推移 | 約10億ドル規模の証拠金清算が連鎖発生(Bloomberg) |
| 12月2日(UTC) | 9.1〜9.2万ドル台へ反発(複数メディア) | 利下げ観測の再燃でリスクオン |
価格の補足説明:
取引所や時刻によって価格は異なりますが、Yahoo Finance(12月2日付)によれば、CME先物では12月2日に一時92,285ドルの高値を記録。Investing.comも同日の高値を92,285ドルと報じています。本記事では「9万ドル台回復」として表記しています。
急落のトリガー:
DeFiプラットフォーム「Yearn Finance」のyETH製品が攻撃を受け、約900万ドル相当のETHが流出しました(Yahoo Finance、The Defiant等複数メディア報道)。攻撃者は「無限ミント」の脆弱性を悪用し、約1,000ETHをTornado Cash(ミキシングサービス)へ送金しました。
清算規模の詳細:
Bloomberg(12月1日報道)は「約10億ドルのレバレッジポジションが清算された」と報じています。別のソースでは「24時間で20億ドルの清算」という報道もありますが(Yahoo Finance, Crypto Market Wipeout記事)、これは仮想通貨市場全体の数字です。ビットコイン単体では「約10億ドル規模」が妥当な表現です。
反発の背景:FRB利下げ観測の再燃
しかし翌12月2日、ビットコインは一転して9万ドル台へ反発。
反発材料:
- ✅ FRB(米連邦準備制度)の12月追加利下げ観測が高まる
- ✅ オプション市場でセンチメント改善のシグナル
- ✅ イーサリアムも同時に反発し3,000ドル台を回復
Bloomberg報道によると、「リスクオフ・センチメントから一転、利下げ期待の高まりが投資家心理を改善させた」とのこと。
センチメントとは?
市場参加者の心理状態や感情を指します。「Fear & Greed Index(恐怖と欲望指数)」などで数値化され、0に近いほど恐怖(売りたい)、100に近いほど欲望(買いたい)が強いことを示します。ファンダメンタルやテクニカルとは別に、投資家の「気持ち」が価格を動かす重要な要因です。
なぜ今、専門家の予想がここまで割れているのか?
事実:主要金融メディアが「アナリストの意見が分裂」と報道
Yahoo FinanceやPhemexなど複数の金融メディアが「アナリストの意見が分断されている(divided/split)」と報じています。
実際、著名アナリストの予想を並べてみると、その「バラつき具合」が一目瞭然です。
| アナリスト | 所属 | 予想 | 発言時期・ソース |
|---|---|---|---|
| トム・リー | Fundstrat | 25万ドル予想を実質撤回し「年末までに10万ドル超」へ下方修正 | 11月27日(Yahoo Finance, CNBC報道) |
| アーサー・ヘイズ | 元BitMEX CEO | 20〜25万ドルを維持 | 11月(Yahoo Finance報道) |
| Mike McGlone | Bloomberg | 5万ドルまで40%暴落リスク | 11月21日(DL News報道) |
| マイク・ノボグラッツ | Galaxy Digital | 最低でも10万ドルは維持 | 10月23日(Bitbo報道) |
トム・リーの発言の正確性:
Yahoo Finance(11月27日付)の記事タイトルは「Tom Lee Cuts Bitcoin Price Prediction to $100K」。記事内で「Lee said he still expects Bitcoin to trade above $100,000 by year-end」と明記されています。25万ドルという当初目標は事実上撤回され、「10万ドル超」という現実的ラインへ修正されました。
同じ市場データを見ているはずなのに、結論が真逆。一体なぜこんなことが起きているのでしょうか?
理由①:「4年周期理論」の有効性をめぐる論争
ビットコインには長年、半減期を軸とした4年周期が存在すると考えられてきました。
従来の4年周期パターン:
- 半減期(供給量が半減)
- 約18ヶ月後にピーク
- その後、大幅調整(平均78%下落)
- 次の半減期に向けて底固め
しかし、2024年の半減期(4月)以降、このパターンが崩れ始めています。
何が起きたのか?
✅ 史上初: 半減期「前」に過去最高値(7.3万ドル)を更新(2024年3月)
✅ 従来と異なる: 半減期から18ヶ月後の「吹き飛ばし天井」が来ていない
✅ ボラティリティ縮小: 機関投資家参入で価格変動が抑制的に
BeInCryptoの分析(12月2日):
「ビットコインの4年周期は崩壊しつつある。流動性、マクロシグナル、センチメントが市場を再形成している」
21Sharesの報告書(11月4日):
「2024年半減期後の展開は従来と異なる。RSI(相対力指数)は抑制的成長を示し、従来の"吹き飛ばし天井"が来ていない」
:合わせて読みたい【テクニカル分析】初心者から上級者まで使える”実践マニュアル”|RSI編
この状況に対し、専門家は二つに割れている
「4年周期はまだ生きている」派:
- 代表: JPモルガン
- 根拠: 11月26日、半減期サイクルを前提としたIBIT連動型仕組債を発行(CoinDesk Japan報道)
- 予想: 2026年に下落局面、2028年の次期半減期で再急騰
「4年周期はもう終わった」派:
- 代表: Bitwise CEO(ハンター・ホースリー氏)
- 根拠: 「今は整理局面で買い手の質が入れ替わる期間。ETFフロー主導の2年周期へ移行中」(11月22日発言)
- 予想: 従来パターンは通用しない
4年周期とは?
理由②:複数要因の複雑な絡み合い
BeInCryptoの最新分析(12月2日)は、専門家の意見が割れる理由を以下のように説明しています。
「センチメント・流動性・マクロ経済など複数要因が絡み合い、どれが主導権を握るか不透明」
具体的には、以下の3つの要因が同時に市場を動かしています。
| 要因 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| センチメント | 投資家の感情・恐怖と欲望 | 短期的な価格変動を主導 |
| 流動性 | 世界的なマネーサプライ・FRB政策 | 中期的なトレンドを形成 |
| マクロ経済 | 米PMI・雇用統計・インフレ率 | 長期的な方向性を決定 |
リン・オールデン氏(投資ストラテジスト)の分析(11月24日):
「今回のサイクルは半減期主導ではない。サイクルが長期化している」
つまり、従来の単純な「半減期→18ヶ月後にピーク」という図式は通用しなくなったというのが専門家の共通認識です。
しかし、「では何が主導権を握るのか?」については意見が完全に割れているのが現状なのです。
理由③:市場構造の歴史的変化
2024年1月、米国でビットコイン現物ETFが承認されたことで、市場構造が根本から変わりました。
ETF時代の新しい市場環境:
- 機関投資家の大量参入(BlackRock、Fidelityなど)
- 24時間365日取引→伝統的金融市場との連動性向上
- レバレッジ取引の増加→ボラティリティの増幅
Bitwiseの見解(11月22日):
「買い手の質が入れ替わる整理局面。従来の個人投資家主導から、機関投資家主導の市場へ移行中」
この「移行期」だからこそ、専門家でさえ見通しが立てられない——これが今の市場なのです。
今、市場で何が起きているのか?レンジ相場の攻防

現在のテクニカル状況:8.5〜9.5万ドルのレンジ
複数のテクニカル分析が、ビットコインがレンジ相場(横ばい推移)に入っていることを指摘しています。
主要サポート・レジスタンスライン:
| 価格帯 | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| 9.5〜10万ドル | 強力なレジスタンス | 心理的節目 |
| 9.0〜9.2万ドル | 現在の推移ゾーン | レンジ上限(12月2日時点) |
| 8.8万ドル | 第1サポートライン | ここを割ると下落加速リスク |
| 8.5万ドル | 重要サポートライン | 12月1日の安値付近 |
| 8.0万ドル | 最終防衛ライン | ここを割ると7.5万ドルへ |
Coinpediaの分析(12月2日):
「ビットコインは8.6万ドルまで下落したが、重要なサポートレベルが12月の反発を導く可能性がある。レンジは9.1〜9.6万ドル」
AInvestの見解(12月1日):
「9.1万ドルがピボット(分岐点)。ここを明確にブレイクすれば上昇、割り込めば8.5万ドルへ下落リスク」
:合わせて読みたい【仮想通貨】チャートパターンで未来を予想する!初心者でも分かる18の型完全ガイド
注目の動き①:機関投資家の慎重姿勢
ストラテジー社の衝撃的な予想変更(12月1日発表):
ビットコインを大量保有する米企業「Strategy(旧MicroStrategy)」が、通期見通しを大幅に下方修正しました。
| 項目 | 従来予想 | 修正後予想 |
|---|---|---|
| BTC年末価格 | 15万ドル | 8.5〜11万ドル |
| 通期純損益 | 240億ドルの黒字 | 最悪55億ドルの赤字 |
何を意味するのか?
「ビットコインを誰よりも信じている」はずの企業でさえ、慎重姿勢に転じている——これが市場の不透明感を象徴しています。
注目の動き②:ETF資金フローの変化
BlackRockのビットコインETF(IBIT):
- 11月に22億ドルの記録的流出(CoinDesk Japan報道)
- 12月に入り流出ペースがやや鈍化
Glassnodeの警告(11月28日):
「ビットコインの需要低迷が続いている。新たな資金流入が回復するまで、市場は狭いレンジで推移する可能性が高い」
注目の動き③:大口投資家の動向
取引所への大量入金が1年ぶりの高水準:
11月下旬以降、大口投資家(クジラ)が保有ビットコインを取引所へ大量に移動させています。
何を意味するのか?
取引所への入金増加=「売却準備」の可能性。ただし、「買い場を狙った資金待機」とも解釈できるため、専門家の見方は割れています。
投資家はどう判断すべきか?複数の視点で相場を見極める
「せめぎ合い」の先にあるシナリオ
現在のレンジ相場は、次の大きな動きへの準備期間と言えます。
上昇ブレイクのシナリオ:
- ✅ 9.5万ドルを明確に突破
- ✅ FRB12月利下げが実現
- ✅ ETF資金流入が再開
- ✅ ターゲット:10万ドル→12万ドル
下落ブレイクのシナリオ:
- ❌ 8.5万ドルを割り込む
- ❌ 追加の悪材料(規制強化・ハッキング事件など)
- ❌ 機関投資家の売り圧力継続
- ❌ ターゲット:8.0万ドル→7.5万ドル
現時点では、どちらに転ぶか誰にも分からない——これが正直なところです。
:合わせて読みたい【仮想通貨】トレンドフォロー×移動平均線が最強と言われる理由【初心者講座】
複数の視点で相場を見極める重要性
専門家でさえ意見が割れる相場では、一つの見方に偏るのは危険です。
推奨アプローチ:
-
ファンダメンタル分析
- FRBの金融政策動向
- 機関投資家の動き
- 規制環境の変化
-
テクニカル分析
- サポート・レジスタンスライン
- オンチェーンデータ
- 出来高の推移
-
センチメント分析
- 投資家心理指数(暗号資産恐怖と欲望指数)
- SNSでのトレンド
- オプション市場の動向
すべての視点を総合して判断することで、リスクを最小化できます。
まとめ:「せめぎ合い」の今こそ冷静な判断を
12月初旬のビットコイン市場は、まさに歴史的な転換点にあります。
今分かっていること:
- ✅ 専門家の予想が大きく割れている
- ✅ 4年周期理論の有効性に疑問符
- ✅ ETF時代の新しい市場構造への移行期
- ✅ 8.5〜9.5万ドルのレンジ相場が継続中
今分からないこと:
- ❓ 次の大きな動きは上か下か
- ❓ レンジブレイクのタイミング
- ❓ 年末までに10万ドルを回復できるか
だからこそ、一方的な見方は危険です。
ファンダメンタル・テクニカル・センチメント——すべての視点で相場を見極め、冷静に判断することが求められています。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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