
2025年10月28日、フランス政治に激震が走りました。中道右派政党UDR(共和国のための右派連合)が、ビットコイン総供給量の2%にあたる42万BTCを国家戦略備蓄として保有する法案を国民議会に提出したのです。これは欧州の主要国では前例のない本格的な仮想通貨(暗号資産)国家備蓄提案であり、同時に欧州中央銀行(ECB)が推進するデジタルユーロの導入禁止も求めるという、極めて大胆な内容となっています。
本記事で分かること
- フランスが提案した42万BTC備蓄計画の全貌
- 原子力でマイニングする5つの財源戦略
- 実現可能性と投資家が注目すべきポイント

欧州初!フランスが提出した仮想通貨包括法案の全体像

エリック・シオッティ議員が主導する野心的プラン
🇫🇷フランス国民議会に10月28日に提出された「法案第2022号(Proposition de loi n°2022)」は、アルプ=マリティーム県選出のエリック・シオッティ議員と13名の共同提出者(計14名)によるもので、正式名称を「ビットコインと仮想通貨を受け入れ、新たな通貨秩序にフランスを適応させる法案」といいます。
この法案はまだ提出されたばかりで、法律として成立したわけではありません。
財政・経済・予算管理委員会に付託され、今後の審議を経る必要があります。フランス国民議会の公式記録(Légifrance)にも登録されていますが、実現には他党の賛成や政府承認、関係機関との調整が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出日 | 2025年10月28日 |
| 提出者 | エリック・シオッティ議員ほか14名 |
| 所属政党 | UDR(共和国のための右派連合) |
| 現在の議席数 | 577議席中16議席 |
| 付託委員会 | 財政・経済・予算管理委員会 |
| 現状 | 審議待ち(法律化は未確定) |
現地メディアBFM TV、Journal du Coin、Cryptoastなどが大きく報じ、仮想通貨業界だけでなく伝統的金融界にも衝撃を与えています。
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法案の3本柱と目標数値
提案の主要構成
| 柱 | 提案内容 | 目標 |
|---|---|---|
| 国家備蓄 | 42万BTC保有を目指す(7〜8年計画) | 金融主権の強化 |
| ステーブルコイン | ユーロ建て1日200ユーロまで非課税化を提案 | 決済インフラ構築 |
| 産業支援 | マイニング電力優遇、PEAでの仮想通貨保有許可 | 国内産業育成 |
数値の扱いについて
記事中の「42万BTC」「年間約5.5万0BTC」「1日1,500万ユーロ」などの数値は、法案に記載された目標値およびシミュレーションです。実際の購入スケジュールや金額は、法案が成立し実施段階に入るまで確定しません。また、ビットコイン価格の変動により円換算・ユーロ換算の金額は大きく変動します。
米国の3分の1を目指す戦略的比率
興味深いのは、42万BTCという数字の根拠です。法案の説明文書によると、🇫🇷フランスの金保有比率を参考にしているとされています。
金保有量の比較
| 国 | 金保有量 | ビットコイン目標(提案) | 全供給量比 |
|---|---|---|---|
| 🇺🇸米国 | 8,133トン | 141万BTC(議員提案) | 6.7% |
| 🇫🇷フランス | 2,437トン(世界4位) | 42万BTC(今回の提案) | 2.0% |
| 比率 | 約3分の1 | 約3分の1 | - |
🇺🇸米国ではルミス上院議員らが141万BTC(全供給量の6.7%)を目指す提案をしていますが、これも連邦議会での提案段階です。🇫🇷フランスはその3分の1の42万BTC(2%)を目標としています。
現在のビットコイン価格(約1,550万円、約10万ユーロ)で計算すると、42万BTCは約6兆5,100億円(約420億ユーロ)に相当しますが、価格変動により数兆円規模で変動する可能性があります。
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どうやって42万BTCを集める?5つの財源戦略
法案では、国家予算への影響を最小限に抑えながらビットコインを取得する5つの財源案が提示されています。
提案された財源(概要)
| 財源 | 内容 |
|---|---|
| ①余剰電力マイニング | 原子力・水力の余剰電力で公的マイニング(電力の70%が原子力) |
| ②押収BTCの保持 | 司法押収分(現在302件、1億9,400万ユーロ/約319億円)を売却せず国庫へ |
| ③国有資産売却 | 国有資産売却時の一部をBTC購入に充当 |
| ④貯蓄商品活用 | リブレA・LDDSの純増額25%をBTC購入(年間約5.5万BTC試算) |
| ⑤BTC納税 | 憲法承認を条件に税金のBTC払いを許可 |
⚠️ 重要:これらは提案段階であり、実現には既存法の改正や関係機関の合意が必要です。特に④の貯蓄商品活用は金融監督機関との調整が必須で、確定した運用方法ではありません。
マイニングとは?
達成シミュレーション
✓ 現在のBTC価格(約10万ユーロ)で計算
✓ 1日約150BTC → 年間約5.5万BTC
✓ 7〜8年で42万BTC到達(価格変動により変わる可能性あり)
デジタルユーロ禁止とステーブルコイン優遇の真意
欧州決議案第1984号:デジタルユーロ反対の政治メッセージ
法案と並行して10月22日に提出された「欧州決議案第1984号(Proposition de résolution européenne n°1984)」は、ECBが推進するデジタルユーロの導入禁止を求めています。
決議案が指摘する問題点
| 懸念事項 | 内容 |
|---|---|
| プライバシー侵害 | すべての取引が中央銀行に記録される |
| 政府による監視 | 支出パターンの追跡が可能 |
| バンクラン | 国民が銀行預金をECBに直接移すリスク |
| 中央集権化 | ECBが商業銀行の役割を侵す |
決議案は中国の信用スコア制度とデジタル人民元を例に挙げ、「個人の自由への重大な脅威」と警告しています。
CBDC(デジタルユーロ) とは?
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⚠️ 重要な注意点
この決議案は「政治的メッセージ」であり、法的拘束力はありません。EU全体でデジタルユーロが即座に中止されるものではなく、ECBや欧州理事会の決定は別のプロセスで行われます。フランス議会が採択したとしても、EU全体への直接的な影響力は限定的です。
ステーブルコイン市場の現状:米ドルが91%支配
世界のステーブルコイン市場規模(2025年10月時点)
| 通貨 | 市場規模 | シェア | 主要銘柄 |
|---|---|---|---|
| 米ドル建て | 約2,100億ドル | 91% | USDT(テザー)、USDC(サークル) |
| ユーロ建て | 約2億5,900万ドル | 0.19% | EURCなど |
| その他 | - | 8.81% | - |
| 合計 | 約2,300億ドル | 100% | - |
法案は「米国がステーブルコインで世界をドル化している」と警鐘を鳴らします。
米国のステーブルコイン戦略
✓ 2025年7月に「ジーニアス法(GENIUS Act)」成立
✓ ステーブルコイン発行者に米国債保有を義務付け
✓ IMFデータ:米国債の1.6%がステーブルコイン経由で発行済み
✓ テザー(USDT)だけで約1,500億ドル規模
1日200ユーロまで非課税の大胆税制提案
現状 vs 提案
| 項目 | 現状 | 提案内容 |
|---|---|---|
| 少額決済 | 金額問わず年次申告必要 | 1日200ユーロまで非課税 |
| 税務負担 | 所得税・社会保障負担 | 対象外 |
| 申告義務 | すべての取引で必要 | 免除 |
| 納税手段 | 法定通貨のみ | ユーロステーブルコインも可 |
この提案により、ビザ・マスターカードの手数料(約2〜3%)を回避した日常決済が可能になります。
ステーブルコイン優遇の戦略
エリック・シオッティ議員は現地メディアCryptoastのインタビューで述べています:
「需要を促せば、欧州の事業者による供給が後に続く。MiCA規制は基盤だが、さらに前進できる。米国のように事業者を信頼し、重すぎる規制を避けるべきだ」
つまり、まず使いやすい環境を整備してユーロ建てステーブルコインの需要を喚起し、それによって欧州企業による発行を促そうという「需要先行型」戦略です。
投資家必見!注目すべき3つのポイント

①市場への影響:年間約5.5万BTCの買い圧力
提案が実現した場合の市場インパクト
| 比較対象 | 購入規模 | 期間 |
|---|---|---|
| 🇫🇷フランス提案 | 年間約5.5万BTC(試算) | 7〜8年で42万BTC |
| Strategy社 | 約52.8万BTC | 約5年間 |
| 🇺🇸米国ルミス案 | 年間20万BTC | 2030年まで |
フランス提案が実現すれば、Strategyに匹敵する継続的な買い圧力が市場に生まれます。ただし「提案が実現し、計画通り進んだ場合」の試算です。
②政治的実現可能性:ハードルは高いが追い風も
🇫🇷最大の障壁
- UDRは577議席中わずか16議席(2.8%)で単独可決は不可能
- 過半数(289議席)確保には他党連携が必須
🇫🇷追い風要素
✓ フランス銀行総裁「通貨革命が進行中」発言(9月)
✓ 極右RNとの連携実績あり(7月マイニング法案)
✓ 欧州各国で同様の動き(スウェーデンなど)
✓ 米国の仮想通貨推進が世界的影響
③欧州規制緩和の可能性とインフラ整備
🇪🇺法案が求めるEUレベルの変革
| 分野 | 提案内容 |
|---|---|
| ステーブルコイン | 発行要件簡素化(MiCA規制緩和) |
| 担保ローン | リスクウェイト引き下げ(現行1,250%) |
| PEA | 仮想通貨連動ETN保有許可 |
🇫🇷フランスは2024年7月〜2025年6月に1,800億ドルの仮想通貨取引を処理(欧州3位)しており、インフラ整備も進行中です。
投資家のアクションプラン
| タイムフレーム | 重点項目 |
|---|---|
| 短期(3カ月) | 法案審議・他党連携動向の追跡 |
| 中期(1年) | ユーロステーブルコイン・欧州ETN研究 |
| 長期(3〜5年) | 国家備蓄トレンド・BTC長期保有戦略 |
日本への示唆:G7で唯一の出遅れ
🇯🇵日本と主要国の比較
| 国 | 国家戦略 | 押収資産 | 税制 |
|---|---|---|---|
| 🇺🇸米国 | 複数提案あり | 保有(21万BTC超) | キャピタルゲイン |
| 🇫🇷フランス | 42万BTC提案 | 保持提案 | 非課税枠提案 |
| 🇯🇵日本 | 動きなし | 売却方針 | 最高55% |
🇯🇵日本が学ぶべき3つのポイント
✓ 押収資産の戦略的保有:売却から保有への転換
✓ 余剰エネルギー活用:原子力・再エネ余剰でマイニング
✓ 税制改革:分離課税化・税率引き下げ(2025年度改正要望に含まれる)
まとめ:提案から実現へ、注視すべき歴史的転換点
🇫🇷フランスの法案第2022号は、ビットコインを「国家の戦略的資産」として正式に位置づけようとする野心的な提案です。原子力大国という強みを活かした独自のマイニング戦略、デジタルユーロ禁止を求める決議、そしてステーブルコインでのドル支配への対抗──これらすべてが、新しい通貨秩序の到来を予感させます。
たとえ今回の法案が修正されたり時間がかかったりしても、国家がビットコインを戦略資産として扱う流れは確実に加速しています。
投資家としては、提案→審議→修正→可決→実施という長いプロセスを理解した上で、欧州市場の動向を注視しながら、長期的な視点でポートフォリオを組み立てることが重要でしょう。
重要な投資リスク警告
本記事は情報提供を目的としており、特定の仮想通貨の購入や投資を推奨するものではありません。仮想通貨は価格変動が大きく、元本割れのリスクもあります。レバレッジ取引は特にリスクが高く、資金を全て失う可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。必ず信頼できる情報源を元にし、自分自身で十分なリサーチを行いましょう
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